上司と話す頻度が多いほど、部下は自信を持つ
近年、多くの企業が組織のコミュニケーション活性化や社員のエンゲージメント向上などを目的に、1on1の導入を進めています。しかし、1on1制度をつくった企業の多くでは、現場から「業務の進捗確認に終始してしまう」「指示命令や叱咤激励の場となり、部下のモチベーションが上がらない」「効果的な1on1のやり方が分からない」といった声が上がるようです。
一方で、ここに興味深い調査があります。
次の図は、コーチ・エィのコーチング研究所による「上司が部下のために時間を取って話す回数と個人の状態の関係性」に関する調査結果です。調査では、「直属の上司が話す時間を取ってくれていると感じる部下は、『よい仕事をしていく自信がある』と回答する割合が大きい」という結果が得られ、上司と話す頻度が高いほどその割合は増加していることが示されました。
さらに同調査では、上司と話す頻度と比例して、「自分から目標を立てて行動する」「仕事を通して成長を実感している」といった数値も増加することが分かりました。上司が部下と頻繁に1on1を行うことは、部下の成長に寄与するといえそうです。
1on1のスタート地点は「上司のマインドシフト」
しかし、ただ1on1制度を取り入れただけでは、前述したような悩みが現場に生まれてしまいます。どうすれば、上司と部下の中に「対話」を起こし、部下の成長や組織文化の変革につながる1on1にできるのでしょうか。
上司と部下がオープンに対話して、部下のエンゲージメントを高める1on1にするためには、まず、上司のマインドセットを変えて、指示命令型のコミュニケーションから脱却する必要があります。そして、上司と部下の両者で対話の目的を共有する。それが対話のための1on1のスタート地点です。