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インタビュー《人材育成》| ピープルアナリティクス人材の育成

ピープルアナリティクスを学ぶとき・実践するときに本当に重要なこと はまってはいけない沼とは

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 人事データを活用し、組織の課題解決や戦略立案に役立てる「ピープルアナリティクス」。管理者の勘や経験、度胸に頼るのではなく、データに基づいて現状を把握し、効果的な施策を考えたいという人事担当者が増えている。しかし、多くの人事担当者がピープルアナリティクスの技術を学ぶ機会を得られていないのが現状だ。本稿では、「ピープルアナリティクス実践キャンプ」を運営する株式会社シンギュレイト 代表取締役の鹿内学氏と、株式会社コーナー 取締役COOの小林幸嗣氏に、ピープルアナリティクスを行うメリットや学ぶうえで重要なこと、そして同キャンプの具体的な内容について聞いた。

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ピープルアナリティクスが企業にもたらす2つの大きなメリット

——鹿内さんは、ピープルアナリティクスを用いて多くの企業の組織開発を支援されていますが、企業がピープルアナリティクスを活用するメリットについて、改めて教えていただけますか。

鹿内学氏(以下、鹿内) 大きく2つのメリットがあります。1つ目は、自社に有効な人事施策の効果を検証し、データに基づく戦略的な意思決定が可能になることです。

鹿内 学氏

鹿内 学(しかうち まなぶ)氏

株式会社シンギュレイト 代表取締役、一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員

京都大学などの研究機関で教員・研究員として10年ほど、認知神経科学の基礎研究に従事。その後、大手人材企業でピープルアナリティクスの事業開発に取り組む中、2016年に株式会社シンギュレイトを設立。科学的知見とデータサイエンスの技術を活用し、組織開発を支援している。

 昨今、人的資本経営や人的資本の開示の流れから、「人事データ」の活用がますます重要になっています。しかし、多くの企業では、人事施策のデータを収集してもそれらがバラバラに管理され、「やりっぱなし」になっていることが少なくありません。ピープルアナリティクスを用いることでそれらのデータを統合し、どの施策が自社の組織に有効なのかを客観的に把握できます。その結果、戦略の幅が広がり、適切な施策を選択・実行できるようになります。

 メリットの2つ目は、データの活用により組織内外のコミュニケーションを促進し、組織のつながりを強化できることです。

 組織や人材に関するデータの可視化は、絶対的な「正解」を示すものではありませんが、組織や人材に関して理解を深めるための視点を提供します。それにより、人事部門の中では経験の差にかかわらず、全員が同じデータを基に議論できるため、経験の少ない新人でもフラットに意見を述べられます。

 また、他部署や現場との対話においても、データを共通基盤として具体的なコミュニケーションが可能です。さらに、経営層との対話にもデータが役立ち、経営層はデータに基づいて意思決定を行えます。

 このようにデータはバウンダリーオブジェクト[1]として機能し、企業内外のさまざまなグループやコミュニティ間の共通言語となります。その結果、株主や採用候補者、従業員といったさまざまなステークホルダーとの間で信頼関係を築き、コミュニケーションを促進することができるのです。

[1]: 何かと何か、誰かと誰かをつなげるもの。

小林幸嗣氏(以下、小林) データ活用のメリットは、特にグローバル展開している大企業において顕著です。多くの大企業では、リージョン(国や地域)ごとに人事管理の設定を変えているため、同じ「社員データ」を取っていても、日本とアメリカでは定義が異なり、コミュニケーションがうまくいかないことがあります。

 しかし、ピープルアナリティクスを活用して共通のデータ基盤を構築することで、地域や部署を越えたコミュニケーションがスムーズになり、結果として組織開発にも大きく貢献すると考えられます。

小林 幸嗣氏

小林 幸嗣(こばやし こうじ)氏

株式会社コーナー 取締役COO

人事プロフェッショナルブティック「CORNER」を運営する株式会社コーナーで、上場企業からスタートアップまで累計数百社以上の組織・人事課題の解決を行う。前職の大手人材サービス会社では、企業の中途採用支援や、求人メディアビジネスの事業開発の責任者を歴任。

——ピープルアナリティクスの重要性はよく分かりました。では、実際にピープルアナリティクスを企業に導入する際、どのように進めていけばよいでしょうか。

小林 ピープルアナリティクスの進め方は、企業の状況によって異なります。たとえば、タレントマネジメントやエンゲージメントサーベイなどを行うツールが導入されていない企業では、まずこれらのツールを導入し、データを収集できる環境を整えることから始めます。

 一方、すでにデータがある企業では、特定の問題に焦点を当てて分析を行います。たとえば「離職率が高い」という課題があれば、どのような人材が退職しているのかを特定するために適性検査の結果や勤怠データなどを組み合わせて分析します。そして、分析結果に基づいて、人材の定着率の向上や組織の活性化に向けた人事施策に取り組んでいきます。

 ただし、ピープルアナリティクスの導入において1回の取り組みで大きな成果が出ることはほとんどありません。重要なのは、日々の小さな改善を積み重ねていくことです。これらを継続的に取り組むことで徐々に大きな成果が生まれていくのです。

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ピープルアナリティクスはデータの解釈力が要

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この記事の著者

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

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