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自営型テレワークの適正な実施のためのガイドラインとは? 注文者が守るべき4つの事項など

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 自営型テレワークの適正な実施のためのガイドラインとは、自営型テレワークに発注する事業者と委託者のトラブルを未然に防ぐため、関係者が守るべき項目をまとめたものです。本記事では、自営型テレワークの定義や関係者が守るべきこと、ガイドラインの要旨を解説します。

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必ずチェック! ポイント

  • 自営型テレワークとは、情報通信機器を活用し、自宅で注文者から委託を受けた成果物の作成や役務の提供を行う就労形態を指す。
  • 平成30年2月に「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」が改正され、注文者と委託者などの契約トラブル防止策が明文化された。
  • 同ガイドラインでは、契約時に明示すべき事項や報酬額の取り決め、支払期日、契約条件変更時の注意点などが定められている。

関連サイト・資料

3分でチェック! 自営型テレワーク

 自営型テレワークとは、情報通信機器を活用し、注文者から委託を受けた成果物の作成や役務の提供を行う就労のことです。自営型テレワークで働く人は「自営型テレワーカー」と呼ばれ、主に自宅やコワーキングスペース、カフェなど、自分が選んだ場所で働くことが特徴です。

 自営型テレワーカーは個人事業主の中に位置付けられ、契約事項や社会保険、労働保険の扱いが、会社員等と異なります。また、口頭による契約のため報酬額や納期などが不明確であったり、一方的に契約が打ち切られたりするなど、トラブルが少なくありません。

 近年、クラウドソーシングの拡大により増加してきた自営型テレワーカーに適切に対応するため、厚生労働省は自営型テレワークの対象者や関係者が守るべき基本ルールを整備し、平成30年2月に「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」(以下、ガイドライン)を改正しました。

 ガイドラインでは、自営型テレワークに関連する用語の定義をはじめ、関係者が守るべき主な事項として以下について定めています。

  1. 募集に関する事項
  2. 契約条件の文書明示
  3. 契約条件の適正化
  4. その他(手数料や物品などの強制購入の禁止・ハラスメント措置や育児介護の配慮など)

自営型テレワークに関連する用語の定義

 ガイドラインに登場する、さまざまな用語の定義を解説します。

自営型テレワーク・自営型テレワーカー

 自営型テレワークとは、注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主として自宅または自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成または役務の提供を行う就労のことです。法人形態の場合や、他人を使用している場合などは除かれます。

 また、自営型テレワークを行う者を「自営型テレワーカー」と呼びます。

在宅ワーク・在宅ワーカーとの違い

 在宅ワークは、自営型テレワークと同じ意味です。これまで「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」において、在宅ワークは「情報通信機器を活用して、請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就労」と定義されていました。

 その後、平成30年2月に、自営型テレワークの適正な実施のためのガイドラインが改正されたタイミングで、自営型テレワークは「カフェやコワーキングスペースなども対象となること」「請負契約以外での形態(準委任契約など)も対象となること」が明確化され、在宅ワークの対象範囲が見直された経緯があります。

 すなわち、在宅ワークという名称で募集されている仕事の多くは、自営型テレワークと考えられます。

自営型テレワークの業務例

 自営型テレワークには、文章入力(ライティング)やデータ入力をはじめ、さまざまな業務があります。以下が業務の一例です。

【例】設計・製図、デザイン、画像加工、DTP、映像制作、Webサイト等の制作、プログラミングやシステム設計などのエンジニア業務、翻訳、リサーチおよび分析、インサイドセールスなど。

注文者

 注文者とは、自営型テレワークの仕事を自営型テレワーカーに直接注文する者です。発注を検討している者も含まれます。

仲介事業者

 仲介事業者とは、注文者と自営型テレワーカーの間に立ち、仕事をあっせんする者です。以下3つに該当する者が、仲介事業者となります。

  1. 他者から業務の委託を受け、当該業務に関する仕事を自営型テレワーカーに注文する行為を業として行う者
  2. 自営型テレワーカーと注文者との間で、自営型テレワークの仕事のあっせんを業として行う者
  3. インターネットを介して注文者と受注者が直接仕事の受発注を行うことができるサービス(いわゆる「クラウドソーシング」)を業として運営している者

注文者が守るべき事項

 注文者と自営型テレワーカーの間では、契約に係るさまざまなトラブルが少なくない状況でした。これらのトラブルを未然に防ぎ、自営型テレワークを良好な就業形態とするために、ガイドラインでは募集・契約締結時と契約後にかけてルールが定められています。

 ここでは、募集に関する事項、契約条件の文書明示、契約条件の適正化、その他の4つに分けて、ポイントを解説します。

1. 募集に関する事項

 注文者が仕事を募集する際は、次の6つの募集内容をすべて文書、電子メール、またはWebサイト上で明示することが必要です。応募者に誤解を与えないような表現を用いることが重要となります。

  1. 注文する仕事の内容
  2. 成果物の納期予定日(役務の提供である場合は、役務が提供される予定期日又は予定期間)
  3. 報酬予定額、報酬の支払期日及び支払方法
  4. 注文する仕事に係る諸経費の取り扱い
  5. 提案や企画、作品等に係る知的財産権(著作権等)の取り扱い
  6. 上記募集内容に関する問合せ先

2. 契約条件の文書明示

 契約を行う際は、自営型テレワーカーと協議のうえ、次の12項目を明らかにした文書の交付が必要です。これらの事項は電子メールやWebサイト上での明示も可能ですが、自営型テレワーカーが出力できる形式が求められます。また、契約条件の文書は3年間保存を行います。

  1. 注文者の氏名または名称、所在地および連絡先、委託した自宅型テレワーカーの氏名または名称
  2. 注文年月日
  3. 注文した仕事の内容
  4. 報酬額、報酬の支払期日および支払方法※報酬の支払期日は、成果物を受け取った日または役務の提供を受けた日から起算して30日以内、長くても60日以内とする。
  5. 注文した仕事に係る諸経費の取り扱い
  6. 成果物の納期(役務の提供である場合は、役務が提供される期日または期間)※作業時間の上限は1日8時間が目安。
  7. 成果物の納品先および納品方法
  8. 成果物の内容について検査をする場合は、その検査を完了する期日(検収日)
  9. 契約条件を変更する場合の取り扱い
  10. 成果物に瑕疵がある等不完全であった場合や、納入等が遅れた場合等の取り扱い(補修が求められる場合の取り扱い等)
  11. 成果物に係る知的財産権の取り扱い
  12. 自営型テレワーカーが業務上知り得た個人情報および注文者等に関する情報の取り扱い

3. 契約条件の適正化

 自営型テレワーカーに対する契約条件の明示にあたり、特に注意すべき事項を抜粋して紹介します。

報酬額の取り決め

同一の仕事または類似した仕事をする自営型テレワーカーの報酬や、注文した仕事の難易度、納期の長短、自営型テレワーカーの能力などを考慮して報酬額を決定します。

自営型テレワーカーの適正な利益の確保が可能となるように決定しなくてはなりません。

なお、成果物に瑕疵があっても、その瑕疵の補修がなされた場合には、注文者は自営型テレワーカーに報酬を支払う必要があります。

支払期日

報酬の支払期日は、検査をするかどうかを問わず、成果物を受け取った日、または役務の提供を受けた日から起算して30日以内に支払わなくてはなりません。長くても60日以内に支払うことが求められます。

諸経費

通信費、送料等仕事に係る経費において、注文者が負担する経費がある場合には、あらかじめその範囲を明確にしておくことが必要です。

契約条件の変更

あらかじめ契約変更の取り扱いを明らかにして、変更の際は文書等に明示し、合意を行います。

注文者は、自営型テレワーカーに不利益が生じるような変更を強要してはならず、自営型テレワーカーが契約条件の変更に応じない場合であっても、不利益な取り扱いを行わないようにして、当初の契約内容を守る必要があります。

頻繁な仕様変更を行い、実質的に契約条件の変更となる場合も、自営型テレワーカーに不利益が生じないような対応が求められます。

知的財産権

知的財産権を注文者へ譲渡させる場合は、対価をあらかじめ明確にしなければいけません。仲介事業者が、発注者に知的財産権を譲渡等をさせる場合は、その旨を明確にすることが必要です。

とくに、募集から契約までに注文者が取得した提案等の取り扱いにおいて、知的財産権の取り扱いに注意が求められます。応募者の知的財産権は、選考目的に限定して利用し、本人の同意なく他の目的に使用してはなりません。

また、知的財産権を契約時に譲渡等させる場合は、募集の際にその旨を明示することが求められています。

4. その他

 他にも、手数料負担や物品などの強制購入など、守るべきルールがあります。会社員と類似したルールが多数存在するため、注文者と自営型テレワーカーともに確認しておきましょう。

手数料

 クラウドソーシングのような仲介事業者を利用する場合、手数料が発生する場合があります。仲介事業者は、「手数料の額、発生条件、徴収時期等」をあらかじめ明示してから徴収しなければならず、契約成立時に徴収する場合には、契約締結の際に詳細を明示する必要があります。

 手数料は、仲介手数料、登録料、紹介料、システム利用料などの名称によって決まるものではありません。名称を問わず、自営型テレワーカーから仲介に係る手数料を徴収する場合には、必要事項をあらかじめ、文書または電子メールなどで明示してから徴収することが求められます。

物品の強制購入等

 注文者は、正当な理由がある場合を除き、応募者および自営型テレワーカーに対して、自己の指定する物を強制して購入させたり、役務を強制して利用させたりしてはいけません。

育児・介護の配慮

 注文者は、自営型テレワーカーからの申し出に応じて、自営型テレワーカーが育児や介護などと業務を両立できるように必要な配慮を行わなくてはなりません。

ハラスメント措置

 注文者は、業務委託におけるハラスメントにより自営型テレワーカーの就業環境を害することのないよう、相談対応を目的とした体制整備や、必要な措置を行わなくてはなりません。

 また、自営型テレワーカーがハラスメントに関する相談を行ったことなどを理由として、不利益な取り扱いを行うことも禁止されています。

相談窓口

 「自営型テレワーク相談室(自営型テレワークに係る就業環境の整備事業事務局)」にて相談が可能です。内容によっては、消費者相談室(経済産業省)や、消費生活センター(国民生活センター)、法テラス(日本司法支援センター)などに相談可能な場合もあります。

 ガイドラインに関する不明点は、都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)にて確認できます。

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この記事の著者

横内 さつき(ヨコウチ サツキ)

中小企業の採用コンサルタント/人事労務・金融など専門領域の編集者・ライターとして活動する複業フリーランス。パーソルキャリアで求人広告営業、人材系スタートアップにて子育て世代や外国籍向け人材事業を経験。生命保険やカフェ店長、Web制作会社など、異業種の経験も豊富に持つ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

内山 美央(ウチヤマ ミオ)

うちやま社会保険労務士事務所 代表。新卒3年目で社会保険労務士資格を取得。人事ベンチャーにて勤怠管理システムの導入コンサルティング、大手イベント会社の人事部にて人事制度改革や労務DX推進に携わる。独立後は経験を活かし、IT導入やテレワーク・フレックスタイム制など、社員が働き続けたくなる会社づくりを支援。

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