必ずチェック! ポイント
- 多様な働き方が広がる中で、フリーランスの方が安心して働ける環境整備のためにフリーランス新法が施行予定
- 発注事業者は、書面などによる取引条件の明示や報酬支払期日の設定、ハラスメント対策などを講じなければならない
- フリーランス新法の概要は公表されており、2024年秋ごろまでの施行開始に向けて順次情報が追加で定められる予定
関連サイト・資料
3分でチェック! フリーランス新法
働き方の多様化やデジタル社会の進展に伴い、フリーランスの働き方が広がっています。しかし、フリーランスの実態調査やフリーランス・トラブル110番において、フリーランスの約4割が報酬不払や支払遅延などのトラブルを経験していることが分かり、この問題への対処として、法環境の整備が急務となりました。
問題の背景には、個人のフリーランスと仕事を発注する企業との間に、交渉力や情報収集力の格差が生じやすい点があります。組織である企業から業務委託を受ける場合、どうしても個人のフリーランスの立場が弱くなりやすいです。
そこで、今回のフリーランス新法をもって、フリーランスと企業間取引の適正化と就業環境の整備を図ることとなりました。
法律名称・公布と施行日
法律名称は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」です。「フリーランス保護法」と呼ばれることもあります。
内閣官房を中心に、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省で検討と国会提出が進められ、2023年5月12日に公布されました。公布日から起算して1年6ヵ月を超えない範囲(2024年秋ごろ)に施行される見込みです。
対象者・対象取引
フリーランス新法の適用対象となるのは、企業とフリーランスの間の「業務委託」にかかわる事業間取引です。対象者は次のように定義されています。
- フリーランス
- 業務委託の相手方であり、従業員を使用しないもの。
- 企業
- フリーランスに業務委託する事業者で、従業員を使用するもの。
一般的なフリーランスには「従業員を使用しているもの」や「消費者を相手に取引をしているもの(BtoC)」も含まれますが、同法では対象外です。また、人事法令ポータル「『フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン』の要点まとめ」でも説明したとおり、フリーランスの働き方の実態が労働者と判断された場合、同法ではなく労働関係法令が適用となるため注意が必要です。
規制の全体像
同法では、フリーランスを「特定受託事業者」、従業員を使用しているフリーランスに発注を行う企業を「特定業務委託事業者」と呼びます。個人であるフリーランスが取引上の弱い立場にあることを鑑み、特定業務委託事業者に対して、期日内に報酬支払を行うことやハラスメント対策の義務を課すことになりました。
また、特定業務委託事業者が特定受託事業者(フリーランス)に継続的に発注する場合、取引継続の期待が高まる観点から、育児介護などへの配慮や中途解除の予告に関するルールも設けられています。
企業が守るべき義務項目を一覧にまとめます。
義務項目の詳細
企業に義務化される項目の詳細を次表にまとめました。継続的にフリーランスに発注する際の具体的な期間や、より具体的な内容は、今後法令で定められる予定です。
関連窓口:フリーランス・トラブル110番とは
フリーランス・トラブル110番とは、フリーランスと企業の取引におけるトラブルについて、弁護士に相談できる窓口で、2020年11月から設置されています。フリーランスは、同法の施行後も引き続きフリーランス・トラブル100番に相談ができます。また、場合によっては本窓口を経由せず、法所官省庁(公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)に申告しても構いません。