あしたのチームは、国内中小企業の組織課題や実態の把握を目的に、「中小企業で働く20代のキャリア形成に関する意識調査」を実施した。
20代の社会人、6割が「キャリアビジョンが見えていない」
現在勤める会社で自身のキャリアビジョンが見えているかを聞いた結果、「ほとんど見えていない」が32.0%、「まったく見えていない」が28.3%と、20代社員の6割が自身のキャリアビジョンが見えないと感じていることが分かった。一方、「はっきり見えている」と回答したのはわずか6.3%で、「ぼんやりと見えている」の33.3%を合わせても、キャリアビジョンを見据えて働けている20代社員は、3人に1人程度の39.6%という結果になった。
自身のキャリアビジョンが見えていない理由の1位は「自身のライフプランが見えないから」が28.7%で最多となり、女性の回答割合が多い結果となった(男性 23.8%、女性 32.7%)。2位は「先輩社員や上司を見て希望が持てないから」が24.9%、3位は「キャリアについて相談相手がいないから」が22.1%、4位は「自社のキャリアパス(昇給・昇進の道筋)が公開されていないから」が20.4%と、キャリアビジョンを描くための情報を得にくいことがうかがえる回答が続いた。
自身のキャリアビジョンが見えている人に対し、キャリアビジョンを描くのに役立ったもの・ことを聞いたところ、「上司との面談」が32.8%と最も多く、次いで「同僚の話」が26.9%、「社内研修」が26.1%と続いた。
キャリアの目標にできる上司、「1人もいない」が最多
社内にキャリアの参考や目標にできる先輩や上司がどのくらいいるか質問したところ、「1人もいない」が30.0%で最多となった。
キャリアビジョンが見えているかの回答別に見ると「キャリアビジョンが見えていない」と回答した人は「1人もいない」の割合が上昇しているのが分かった。
キャリア形成に役立つ制度や体制が、社員のキャリアビジョンに影響
勤務先はキャリア形成に役立つ制度や体制が整備されていると思うかを、自身のキャリアビジョンが見えているかの回答別に見ると、「キャリアビジョンが見えている」人は「整備されている」が21.8%、「多少整備されている」が46.2%と7割近くが整備されていると答えた。一方、「キャリアビジョンが見えていない」人は「あまり整備されていない」が44.2%、「整備されていない」が38.1%と、制度や体制整備が不十分と感じている人が8割を超えることが明らかになった。
勤務先のキャリア形成について満足していることを聞いたところ、自由記述のコメントでは次の回答が寄せられた。
- 上司、管理職、社長との距離が近く、割と何でも言い合える関係が社風としてできている会社で、キャリアについても相談しやすいと感じる(29歳女性/8年目)
- 上司との人事考課面談があること(29歳女性/8年目)
- 定期的に研修制度があり、また、資格取得など積極的な会社であること(25歳女性/5年目)
- 資格取得に向けた勉強や、外部のセミナーなどに勤務時間を使ってもよい点(29歳男性/5年目)
- 昇給制度が明確に示されている点(28歳女性/7年目)
- 能力によって給料が少し変わってくるところ(27歳男性/6年目)
一方、勤務先のキャリア形成について不満に思うことを質問したところ、自由記述では次の回答があった。
- 年功序列が消えない点(24歳女性/7年目)
- 能力を十分に発揮できないこと(29歳女性/10年以上)
- 異動や担当変更がほぼないため、定型的な仕事しかできないこと(26歳女性/3年目)
- 特別な研修もないし、スキルアップのための補助もないこと(24歳女性/2年目)
- 資格を取っても給料に反映されないところ(28歳男性/7年目)
- 専門職コースがない(29歳女性/7年目)
- 昇給が不確実であること(23歳女性/4年目)
なお、同調査の概要は次のとおり。
調査概要
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:全国の中小企業(社員数300名未満)に1年以上勤続する20歳~29歳の正社員300人(男性:138人、女性:162人)
- 調査実施日:2024年5月23日~24日
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