新卒採用の「後半期」でも有効な打ち手とは
新卒採用の後半期において、採用活動に効率的な手法としては次の3つが挙げられます。
採用イベント
採用イベントの大きなメリットは、後半期でもコストを割いて能動的に活動している「意欲の高い学生」と多くの接点を持てることです。また、学生と直接会えるので、選考プロセスを兼ねた面談の場としたり、認知度に関係なく自社の魅力を伝えたりできるという点もメリットでしょう。
一方で、出展にはかかるコストが大きく、学生の参加が一部の企業に偏ることもあるといったデメリットもあります。
人材紹介
人材紹介は成果報酬型の場合が多いため、採用が決まるまでは費用がかかりません。また、母集団形成を外部に委託できるので、採用にかかる工数を大幅に削減できます。
一方で、近い採用要件を設けている企業が多い場合には紹介数が担保されにくく、採用単価が他の方法に比べて高くなりがちといったデメリットがあります。
ダイレクトリクルーティング(スカウト)
新卒採用市場でも導入率が高くなっているのがダイレクトリクルーティングです。企業から学生をスカウトでき、自社のことを知らない学生との接点がつくれます。また、大学名や自己PRの内容などをもとに学生を検索でき、採用ターゲットに応じて多種多様なスクリーニングが可能です。
一方で、スカウトメールの文章を考えて送付するという工数がかかります。また、サービスによっては1人の学生に何十通ものスカウトが届くことで開封率が低くなり、せっかく工数をかけても学生の目に留まりにくくなっていることもあります。
注目度が高まる新卒のダイレクトリクルーティング
25卒の採用計画の大きなトピックの1つとして、「スカウト・オファー型の採用」=ダイレクトリクルーティングを使った採用の増加が挙げられています。採用充足率を満たせない企業も増加する中で、就活生に直接アプローチできる手法として重宝されています。
次に、学生を対象とした主なダイレクトリクルーティングサービスと、それぞれのスカウトメールの開封率を高めるアプローチをまとめました[1]。
- OfferBox
- 学生側で保有できるスカウトの数に上限があるため、空いている枠にスカウトを送ることさえできれば、開封される可能性が高くなっています。また、企業は学生が受けた適性診断の結果を閲覧でき、企業ごとに活躍できる人材の要件といった観点からもスカウト対象を選べます。
- キミスカ
- スカウトが「ノーマル」「シルバー」「ゴールド」の3種類に分かれているのが特徴です。広く母集団形成をする場合は「ノーマル」、本当に会いたい学生に対しては「ゴールド」「シルバー」といった形でスカウトの種類を使い分けることで、学生に対して企業側の本気度を示せます。
- dodaキャンパス
- 3年生の夏のインターンシップを案内するフェーズから利用でき、早期から学生からの認知を獲得することが可能です。
- iroots
- 学生が入力したプロフィールの文章から自然言語処理技術を用いて志向や価値観を特定。検索の精度を向上させることで、より確かな訴求を行え、スカウトの開封率を高める効果が期待できます。
- ABABA
- 価値観診断の結果に基づき、求める働き方やカルチャーの観点でマッチ度が高い学生のみを検索できる機能を搭載。学生が受け取るスカウトは「量より質」が重視されるため、スカウトメールが学生の目に留まる確率が高くなっています。
注
[1]: 著者調べ。
学生は、もはや使うのが当たり前に
ワンキャリアの調査「2026年卒 就職実態調査」によると、26卒の8割以上がインターンシップの情報収集や企業選びをする段階で、すでにスカウトサービスを活用していたようです。
また、弊社が24~25卒を対象に行ったインタビュー調査では、ダイレクトリクルーティングサービスを使う理由として、「他の手法よりも受動的に選考のきっかけをつくれるので負担を軽減できる」「自分で探すだけでは出会えなかった企業を知れる」といった声が寄せられました。
就活の早期化・長期化の流れの中で、少しでも負担を軽減しながら、各サービスに搭載されたマッチ度向上機能を活用して、より自分に合う企業に出会いたいという考えが背景にあるのかもしれません。