事例3|定期報告業務での活用
人事業務には、各種人事データを取りまとめ、報告するという業務があります。採用の進捗状況や残業時間などのデータを月次で集計したり、上場企業やグループ経営を行う企業では有価証券報告書を作成したりグループ全体の人員集計をしたりといった業務が発生します。こうした業務では、勤怠管理システムから都度データをエクスポートしたり、各社から個別にExcelファイルで情報を集めたりする必要があり、毎回のやりとりに時間と労力がかかります。
こうした定期的に発生する業務も、タレントマネジメントシステムのダッシュボードなどにデータを登録しておくことで、データの更新のみで終えられるようになります。
C社では、有価証券報告書用の人員集計に毎年1週間以上を要していました。各社で集計した結果をExcelファイルで提出するという方法を取っていたためです。さらに、集計対象への理解不足や人事データの管理方法の違いによって集計対象外の人員が集計されてしまうことなどがあり、各社の集計結果に対する確認・修正が必要になっていました。
現在は、共通のタレントマネジメントシステム上で人員データを管理し、集計対象者に集計対象フラグを付けることで簡単に集計できるようにしています。また、集計対象フラグについても、たとえば、「在籍ステータスが正社員かつ◯月時点で在籍」という条件を事前につくっておき、その条件に合致した場合には自動的にフラグが付与され、外れればフラグも外れる設定としています。結果として、情報の確認・修正作業がほぼゼロになっています。
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「最適な異動配置案の作成」「スキルの可視化によるキャリア自律の促進」「ポジション管理と後継者育成での活用」など、人材マネジメント面での活用が期待されがちなタレントマネジメントシステムですが、上述のとおり、人事業務の自動化や簡素化においても有効活用できます。まずは人事自身が、タレントマネジメントシステムを日常業務に組み込み、自ら使いこなすことが次の段階、つまり「経営層やマネジメント層での活用」へとつながっていきます。