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日本企業はスキルベース組織を導入すべきか?「日本型スキルベース」のススメ | 第6回

スキルベースの海外事例―企業も国も、スキルベースの世界へ急速に移行中

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 本連載の最終回として、海外のリーディングカンパニーにおけるスキルベースの導入事例を紹介する。スキルベースには、企業への導入(スキルベース組織)と国家全体での推進(スキルベース社会)の2種類あるが、各々につき数件ずつ事例を取り上げたい。これらはスキルベースの分野では有名な事例であり、先駆的に導入・活用を実践する企業・国家である。特に、スキルベース社会におけるシンガポールの事例(Skills Future Singapore)は政府主導による産官学連携によるプロジェクトであり、日本政府もベンチマークすべき顕著な事例であろう。なお、スキルベースの導入は世界的にもまだ始まったばかりであり、国内では顕著な事例はいまだにないが、今後日本企業でも導入が期待される。

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スキルベース組織を導入した企業

ユニリーバ

 ユニリーバはロンドンに本社を置く、洗剤・ヘアケア・トイレタリーらの製造・販売を行うグローバル企業。従業員は全世界で15万人にも及ぶ。同社は2019年からスキルベース組織の導入に取り組んでおり、最も有名な企業事例である。

 同社で主に取り組んでいるのは、人材育成・キャリア開発とジョブマッチングの分野である。同社では、「Future Fit Plan」と呼ばれる人材育成ツールを導入して活用している。これは、個人がキャリア開発に関する目標や自身のスキル情報を入力することにより、獲得すべきスキルやその学習プラン・学習コンテンツを推奨してくれるシステムである。その推奨内容が企業にとって近い将来必要となるスキルに基づくよう設計されている点にも特徴がある。

 さらに、これらのスキル情報は社内でのジョブマッチングにも活用されており、社員が自分のキャリア目標などをプロフィールとして登録すれば、AIが社内公募とマッチングしてくれる仕組みがある。まさに内部労働市場の活性化策の1つであろう。ただし、同社では、この仕組みは主に専門職かつ短期間の社内副業において利用されており、成長分野への大規模な人事異動といったレベルには達していないという。

 以上はスキルベース組織として標準的なスキームではあるが、同社は人材育成や社内異動に関してスキルを軸として再定義し、先駆的に実践したことに意義がある。

HSBC

 HSBCは本社がロンドンにあるグローバル金融機関である。60ヵ国以上に展開し、約20万人の従業員を抱える巨大企業だ。同社は、大規模ゆえに組織が縦割り化しており、部門をまたぐ人事異動や組織変革が難しいという課題を抱えていた。そこで内部労働市場の活性化や人材育成・キャリア開発を目的としてスキルベース組織の導入を決め、組織の縦割りを打破して部門間の連携を促進するという目標を掲げてプロジェクトを開始した経緯である。

 そのプロジェクトの一環として、同社では社内の各種データをもとに従業員の保有スキルを推定するといった取り組みを実施している。自己申告や研修受講履歴は当然として、職歴、会議、社内システムへの投稿、参加プロジェクト、年度目標など社内に散在する個人データを駆使して、AIが自動的に個人のスキルを算出するという仕組みを構築している。

 また、人材育成・キャリア開発の分野では、ユニリーバと同様、自社独自の学習用ポータルを開発して、個人の学習と成長につながるさまざまな機会を提供。そして、それらのデータを「HSBC University」という社内大学のコンテンツと連携していることにも特徴がある。

 さらに同社では、業界標準のスキルタクソノミーを活用して、社内に蓄積されたスキル情報をもとに、将来的なスキルの需給と自社のデータを比較するなど、全社的なギャップ分析にも取り組んでいる。

 以上のとおり、同社は金融機関としては先駆的にスキルベース組織を導入した企業として有名である。

次のページ
スキルベース社会の実現に向けて——海外事例

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この記事の著者

角田 仁(ツノダ ヒトシ)

1989年に東京海上火災保険に入社。主にIT部門においてIT戦略の企画業務を担当する。2015年からは東京海上のIT企画部参与(部長)および東京海上日動システムズ執行役員。2019年、博士号取得を機に30年間務めた東京海上を退職して大学教員へ転じ、名古屋経済大学教授や千葉工業大学教授を歴任した。現在...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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