日本人事経営研究室は、全国の中小企業の経営者および人事担当者と、中小企業で働く18~29歳の一般社員を対象に、中小企業が抱える職場環境や、人事課題に関する意識調査を実施した。
入社半年以内のZ世代社員から「退職意向を伝えられた経験がある」経営層は4割を超える
経営者・人事担当者に対し、入社半年以内の社員から退職意向を伝えられた経験はあるかを聞いたところ、43.0%が「経験がある」と回答した。若手社員の不満や不安が早期に表面化し、入社直後に離職意向が伝えられている実態が明らかになった。
現場の声が「反映されている」と思っているZ世代社員は3割にとどまる
次に社員の声が、職場環境の改善や業務の進め方、人事評価制度に反映されているかを聞いたところ、経営者・人事担当者側は「かなり感じる」と「少し感じる」を合わせて70.0%となり、多くの人が反映できていると考えていることが分かった。
一方で、Z世代社員側は「かなり感じる」と「少し感じる」を合わせると33.0%となり、両者の間には大きなギャップが生じている。経営者・人事担当者側が行う課題改善への対応は、必ずしも若手社員の実感や満足につながっていない可能性があることが浮き彫りになった。
経営者・人事担当者側の8割近くが「Z世代社員に配慮が必要」と考えている
経営者・人事担当者側に対し、Z世代社員に対して配慮が必要だと感じたことがあるかを聞いたところ、「かなり感じたことがある」と「少し感じたことがある」を合わせて77.0%と、多くの企業がZ世代社員に対して配慮の必要性を感じていると分かった。
若手社員自身は成長を求める一方、上司の過度な配慮が逆に若手社員の成長を奪っている可能性があることがうかがえる結果となった。
今の会社で働き続けるにあたり、キャリアの不安を抱えるZ世代社員は半数以上
Z世代社員に対し、今の会社で働き続けるにあたり、キャリアに不安を感じるか質問すると、「かなり感じる」と「少し感じる」を合わせると58.0%になった。
どのような不安を感じているか聞いたところ、「現在の業務内容では将来的なキャリアアップが難しい」が最も多く50.0%、次いで「現在の職場での経験がほかの企業で通用しない」が39.7%と続いた。
ほかにも「正当に評価されていないと感じる」が24.1%、「自分のキャリアパスが明確ではない」が22.4%と、人事評価制度の不透明さや不十分なキャリア設計に起因する不安も一定数あることが分かる。
対して経営者・人事担当者側に、Z世代社員への成長支援やキャリア形成のために十分な施策を講じられているかを聞いたところ、「かなり思う」と「少し思う」を合わせると63.0%となった。会社が講じている施策に対し、必ずしもZ世代社員が満足しているとは言えない状況が浮き彫りになっている。
自分の業務に対する人事評価を、「公正」と感じているZ世代社員は4割未満
Z世代社員に対し、自分の業務に対する人事評価が公正だと思うかを聞いたところ、「とても思う」と「少し思う」を合わせると37.0%となった。
一方、経営者・人事担当者側に対し、公正に人事評価が行えているかを聞くと、「とても思う」と「少し思う」を合わせると69.0%となり、公正な評価への実感値に大きなギャップがあることが分かった。このギャップは若手社員のモチベーション低下を招き、離職につながる可能性もあるという。
なお、調査の概要は次のとおり。
- エリア:全国
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調査対象:
- 18歳~29歳の社員が在籍している・していた経営者および人事担当者、および人事権のある役職の社員:100名
- 18歳~29歳の一般社員:100名
- 調査期間:2025年8月13~14日
- 調査方法:インターネット調査
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