フリーは、10月28日に渋谷ヒカリエ(東京)にて人事労務担当者を対象としたイベント「freee HR Day 2025」を開催した。
Keynoteセッションでは、フリー株式会社 常務執行役員 Chief Growth Officer 髙村大器氏が登壇。同社が実施した調査によると、スモールビジネスにおける1社あたりの人事・労務担当者の平均人数はわずか1.42人に留まり、さらに86.5%以上の担当者が兼任で業務を担っているという。
少人数体制であるにもかかわらず、法対応の増加・複雑化、働き方改革への継続対応、構造的な人手不足、そしてミスや漏れへのプレッシャーなどにより、人事・労務の重要性と責務は増大する一方であると指摘した髙村氏。「このような環境下で、会社と組織を支えている人事・労務の担当者をヒーローにしたい」と述べ、昨年発表した新しいビジョン「ピープル・エンパワーメント」を提示、そのために同社は顧客が「時間を取り戻し、人に向き合う。」ことを支援していくと強調した。
人事・労務業務を統合した1つのプラットフォームを提供している同社。髙村氏は今回、ビジョンをさらに加速させるための進化として、次の3つのプロダクトと機能を発表した。
- オートメーション機能
- freee あんしん給与代行(AI BPO)
- freee AIタレントマネジメントシリーズ
髙村氏の次に登場したフリー株式会社 執行役員 HRプロダクトCEO 和田矩明氏によると、オートメーション機能では、従業員の役職変更や入社といった「きっかけ」(トリガー)となる事象が発生した際に、自動で手当の更新や、担当者への必要な作業通知を行えるという。
たとえば、従業員が「部長」に着任すると自動で「役職手当(部長職相当)」を付与し、同時に承認者に通知を送るよう設定できる。また、新入社員の「入社」をトリガーとして、労務担当者へは「入社書類の準備」を、情報システム担当者へは「備品の手配」といった対応依頼を自動で作成し、期限を設けて通知することも可能。これにより、頻度の低い業務や複合的な業務における“名もなき業務”の自動化を実現し、個人の気付きに依存しないミス・漏れゼロの体制構築を支援する。
freee あんしん給与代行(AI BPO)では、AIと人によるBPOを組み合わせることで、品質と低価格の両立を目指す。初期設定から運用までを代行するため、SaaS導入に不慣れな企業でも確実に早く運用を開始できるという。ユーザーがチャット上から給与改定などの連絡をすると、AIが依頼内容を判別して不足情報をヒアリングし、内容に不備がないかを自動で確認。不備が見つかった場合はAIが修正案を提案し、最終的に習熟度の高いオペレーターがチェックをすることで、給与計算という正確性が求められる業務の品質を担保する。
また、freee AIタレントマネジメントシリーズは、 freee人事労務の従業員情報を活用することでシステムの二重管理を不要にし、「管理や分析」よりも「直接的な実行支援」を重視しているという。特に、人材定着という緊急度の高い課題に対処するため、法政⼤学教授 ⽥中研之輔⽒と共同開発したサーベイテンプレートを用いた「freeeサーベイ」を12月にリリース予定。AIが複合的に離職リスクを分析し、課題別の面談ノウハウや育成プランをレコメンドする機能などを備える予定だ。また、評価基準の曖昧さや運用の難しさに悩む企業のために、「freee人事制度設計」の提供を開始。人事制度の設計から1年間の運用伴走までをコンサルタントがサポートする。さらに、人事評価プロセスをfreee内で完結できる「freee人事評価(仮)」も2026年夏に公開予定だ。
和田氏はほかにも、AIが自動チェックを行う「AI年末調整」や、勤怠の不備を可視化する「勤怠モニター」などの新機能をデモを交えて紹介。そのほか、予約不要で相談可能な「直通電話サポート」を11月上旬にリリースし、freee会計のアドバンス/エンタープライズやfreee人事労務 アドバンスなどのプランを主な対象として、サポートの利便性を向上させると発表した。
同社は今後、人事労務のバックオフィス業務から、組織の成長支援、人材定着といった経営の根幹を担う領域へと支援範囲を拡大し、スモールビジネスのピープル・エンパワーメント実現に向けたプラットフォームとしての進化を続けていく構えだ。
【関連記事】
・新たなタレントマネジメントシステム「マイナビTalentBase」を10月提供—マイナビ
・東京都日野市がタレントマネジメントシステム「カオナビ」を導入—カオナビ
・タレントインテリジェンスシステム「Talents Force」を提供開始—freecracy

