(*1) Happy Hiring!!「エンジニア採用で使う19の募集チャネル」
(*2) Happy Hiring!!「海外エンジニア採用でトップランナーの楽天さんを取材してきました! 前編」
海外エンジニア採用のはじまりは英語公用語……ではなく、留学生採用から
留学生採用がキッカケでインド、中国からスタート
――海外採用に関する取材をお受けくださり、本当にありがとうございます!! 今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
――さて、海外採用を始めたキッカケからうかがいたいと思います。これはやはり、御社の有名な「英語公用語化」からですよね!?
それが違うんです。最初に海外で採用活動をしたのが2008年、その採用した方々が入社したのは2009年なんです。ですので、英語公用語化[1]より前なんです。
――えっ、となると、海外採用のキッカケはなんだったのでしょうか?
最初に訪問したのはインドと中国なのですが、それは、楽天の開発部の役員に中国の人がいたり、楽天を辞めてインドで人材ビジネスを始めた人がいたことがきっかけだったと聞いています。
また、当時は留学生の採用も一般的になってきたころで、今ほど多くはありませんが、楽天社内でも様々な国籍の人が活躍していました。上層部にも、「もっと世界の優秀な人と出会いたい」という強い想いがありましたね。
英語公用語は留学生採用がきっかけ
――そこからドドーンと海外採用、といったのですかね?
いえ、しばらくは中国とインドが中心の海外採用でした。ドドーンといくのは、2014年ぐらいからですね。実は、2009年にインドから入社した人たちの日本語が、来日後わずか3か月で、日常会話ができるまでに上達したんです。それに弊社社長の三木谷(浩史氏)が大変驚きまして――楽天の英語公用語は、実はそれがきっかけでスタートしたんです。
――えー!? そんな背景があったとは……。
インドの人が3か月で日本語をマスターできるのなら、日本人もちょっとやれば英語をマスターできるはずだ、となったんです。また、それによって日本人の内向き志向や社員の意識を変えたかったと、三木谷は著書でも語っておりました。
今の楽天では、世界中の方々と英語で仕事をすることは珍しくないのですが、5~6年前は新鮮な驚きだったんです。2010年に英語公用語化を宣言し、実際に2012年から英語公用語化がスタートしました。それに伴い、入社要件としてビジネスレベル以上の英語力(TOEIC800程度)を求めるようになりました。
日本で採用できないほどのエンジニアを求めて
欧米の大学のキャリアセンターに飛び込み営業!?
――そのTOEIC基準ができたことが影響して本格的に?
英語公用語化は、世界中から優秀なエンジニアを集めることが1つの目的でした。しかし、「ビジネスレベルの英語力をもったエンジニア」となると、日本国内では対象者が一気に少なくなってしまいました。その結果、エンジニア採用においては海外比率がどんどん高まり、2014年には採用したエンジニアの87%が外国籍でした。国の数でいうと20か国。現在では、72か国の人が楽天で働いています。
――2014年当時もやはりインドや中国での採用が中心だったのですか?
ええ、インドと中国の割合は引き続き高かったのですが、ボストンキャリアフォーラムに出展したり、大学のキャリアセンターに直接飛び込みでコンタクトを取ったりして、欧米での採用活動も拡大し始めていました。
――実際、大学のキャリアセンターにコンタクトを取るとか、ツラいですよね。
当時、私はエンジニア採用の部署に異動してきたばかりで、英語を使った仕事の経験も全くありませんでした。1通のメールを書くのに3時間かかることはザラでしたし、返信が来ても理解するのに時間がかかる……とにかく英語に苦労した記憶しかありません(笑)
――今は名門サッカーチーム「FCバルセロナ」のスポンサーになるなど、世界に通じるブランドがあると思うのですが、その当時は……?
欧米トップ大学のキャリアセンターには、ほとんど社名を知られていませんでしたよ。ですので、まずは楽天について説明するPRメールを送ったり、当時のエンジニア採用の責任者が世界中のトップ大学を回って、キャリアセンターの方にご挨拶したりしていました。
日本にいないぐらいのエンジニアを採用する!!
――海外採用は楽天社内でスムーズに浸透したのですか?
いろいろありましたが、当時の開発部門のトップや採用責任者が強い想いを持っていたことが大きかったと思います。社内外で「なぜ海外で採用するのか(日本企業なのになぜ日本で採用しないのか)」という質問をたくさんいただいたのですが、次のような点を挙げて説明していました。
- 日本の労働人口が減る → 国際的な競争力も減る
- 世界の労働人口は増えている
- 世界に目を向けると、日本でいう東大、京大レベル、またはそれ以上の大学がたくさんある
とにかく「優秀な人を採用する」ことが一番の目的でしたので、ある程度コストを度外視してでも、優れた人を採用することにこだわっていましたね。現在は、通年採用からポジション別採用へ移行しましたし、海外採用の知見もたまってきたこともあって、コンセプトややり方は多少変わってきたところはあります。
――そこは後ほど詳しくお聞きしたいですね。それで、最初から結構人数は採用できたのですか?
日本にいないぐらい優秀、ということで世界ランクトップ20の大学を1つの目安としていたのですが、やはりMIT、ハーバードなど欧米系からの採用は難しかったですね。
ただ、シンガポールや香港などにも、同じぐらい優秀な学生が集まる大学があって、そちらからはある程度の数を採用できています。新卒の採用全体の中でも、トップ20の大学の割合は増えてきています。
注
[1]: 楽天が英語公用語を宣言したのは2010年。