キャリアの自律を「持続」させるための支援
描いたキャリアに基づき「1歩踏み出す」ことができても、キャリア自律はそこで終わりではありません。タイトルのスコープが示すとおり、「描いたキャリアをもとに、自律的に学び、定期的に振り返りを行える支援」までが必要です[3]。キャリア自律は、人生の「基盤」となるからです。
- 自律的学習の支援:描いたキャリアに必要な知識やスキルを習得するための、多様な学習コンテンツ(リスキリング)の提供と、その費用・時間の支援を継続的に行います。
- 定期的な「振り返りのサイクル」の制度化:年に1度の評価面談だけでなく、四半期に1度、描いたキャリアに対して「行動できたこと」「足りなかった学び」「次のアクション」を上司と対話する機会を設けます。これにより、キャリアを「描いて終わり」ではなく、「PDCAを回すもの」として定着させます。
- 組織へのエンゲージメント強化:キャリア自律意識の高い人材は、「組織への誇りや一体感を持ちやすい」という調査結果もあります。社員が自律的に行動し、それが組織の成長に貢献しているという実感を伴わせることで、個人の成長と組織への貢献という好循環を生み出します。
注
[3]: リクルートマネジメントソリューションズ「Vol.01 若手~中堅社員のキャリア自律におけるプロセスと会社への定着の関係」
本連載の結び
2040年に向け、働き方がより多様化する時代において、キャリア自律は個人がどう生きるかを支える基盤となります。人事は、未来を描く力(第2回)、道筋を描く力(第3回)を引き出し、そして今回解説したように、小さな挑戦を後押しする環境を整える「パートナー」としての役割を果たすことが求められています。
「キャリアに対して自ら責任を認識するだけにとどまらず、未来を描き、行動に移す力」を育むこと。これが、これからの組織の力を最大化するための出発点となるでしょう。
以上で本連載は終了です。この連載が、貴社における自律型人材育成の一助となれば幸いです。

