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ギフティ熊谷優作のあのキーパーソンに“HR”を聞きたい | #2

社内の従業員体験を向上したいなら、まずは人事部内から見直しを——伊達洋駆氏が語る理論と実践

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 人材不足の昨今、従業員の採用や定着を強化するうえで「従業員体験(EX)」の重要性が高まっている。しかし、従業員体験が含む要素は評価制度から人間関係まで多岐にわたるため、どのようにして向上できるのか、つかみきれていない企業も多いだろう。とりわけ上司部下・先輩後輩の関係性を良くするために、人事はどのようなアプローチを採れるだろうか。そこで今回、『EXジャーニー』や『組織と人を動かす科学的に正しいホメ方』などの著書がある株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役 伊達洋駆氏に、福利厚生のサービスを展開する株式会社ギフティ 熊谷優作氏がインタビュー。EX向上に取り組む企業の人事は、まず何から取り組めばよいのか。施策や考え方について伺った。

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従業員体験の向上に効果的な2つの方法

熊谷優作氏(以下、熊谷) 2024年に共著『EXジャーニー』を刊行された伊達さんですが、従業員体験(EX)の重要性をどのようにお考えですか。

伊達洋駆氏(以下、伊達) 従業員体験という言葉は、2019年ごろに世の中に広がり始めました。コロナ禍によって別のテーマに関心が移っていきましたが、最近再び注目されています。

 現在、売り手市場が続いていて、人材の採用が難しい状況にあります。企業は人材を選ぶのではなく、求職者や従業員から選ばれる会社にならなければならない。その状況において、求職者は従業員体験が良くない会社を選ぼうとは思わないですよね。採用・定着という両面で重要なのが従業員体験です。

 とはいえ、従業員体験という言葉は幅広すぎて捉えどころがないように感じられるかもしれません。「従業員体験を向上することには賛成だけれど、そのために何をすればよいのかが分からない」という企業も多いでしょう。従業員体験について体系的な理解が浸透していないのが現状です。

 そこで、「どうすれば良い従業員体験をつくれるのか、社内での対話が生まれてほしい」という思いで『EXジャーニー』を書きました。この書籍では、従業員が企業に入社してから辞めるまでの体験だけではなく、入社前から離職後の体験も含んだ幅広い従業員体験について扱っています。

 特に人事は、従業員に対して「どんな施策を届けるか」を中心に考えがちですが、実は届けた施策を従業員がどう感じ、体験しているのかが大事なのです。

伊達 洋駆氏

伊達 洋駆(だて ようく)氏

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役

神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。近著に『組織内の“見えない問題”を言語化する 人事・HRフレームワーク大全』(すばる舎)、『世界の研究者はマネジメントをどう分析しているのか』(労務行政)、『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)などがある。2022年に「日本の人事部 HRアワード2022」書籍部門 最優秀賞を受賞。東京大学大学院情報学環 特任研究員を兼務。

熊谷 入社前から退職後までのプロセスを含むとなると、人事だけではなく全社的に取り組まなければ、従業員体験の向上は難しいのではないかと思います。従業員体験の向上のために、まず何から着手すればよいのでしょうか。

伊達 従業員体験は多岐にわたるので、すべての要素に一気に手をつけるのは現実的ではありません。実際に取り組む際には、焦点を絞ることが重要です。

 焦点を絞るときの考え方には2つあります。1つは「ネガティブポイント」を見つけ、改善していく方法です。

 従業員が最もストレスを感じる部分、たとえば「部下と上司の関係が悪い」「手続きが面倒だ」といったネガティブなポイントを見つけ、緩和していくのです。

 もう1つは、魅力的な体験をつくる方法です。ネガティブポイントがなくなっただけで魅力を感じてもらえるわけではありません。従業員が後から振り返ったときに「この会社に入ってよかったな」と思えるピークとなる体験(ピークポイント)をつくることも重要になります。

 それがどういった体験かは、会社によって異なります。たとえば、難しいプロジェクトに集団で取り組む会社であれば「みんなでプロジェクトを完遂したあとの達成感」がピークポイントになるでしょう。

現場のマネージャーも巻き込み、従業員と対話するのが肝

熊谷 ネガティブポイントやピークポイントはどのように見つけるのでしょうか。EXジャーニーマップや、エンゲージメントサーベイなどを活用して診断するのでしょうか。

熊谷 優作氏

熊谷 優作(くまがい ゆうさく)氏

株式会社ギフティ Gift Distribution Corporate Gift Director

北海道大学経済学部を卒業後、2021年度にギフティに新卒入社。法人・自治体向けにデジタルギフトの流通を担う「giftee for Business」で、事業のグロースをミッションに新規プロダクト企画に携わる。2023年1月からは「Corporate Gift」の領域において、ユースケースの探索からプロダクト企画までをリード。現在は、福利厚生サービス「giftee Benefit」の推進に注力している(Corporate Gift、giftee Benefitの概要は記事「ギフトでエンゲージメントを向上! 福利厚生にも対応したギフティの従業員向けソリューションとは」を参照のこと)。

伊達 最初の段階では、サーベイなどは使わずとも従業員に話を聞くだけで、ネガティブポイントやピークポイントは見えてくるでしょう。

 不満や充実した出来事は記憶に残りやすく、引き出しやすい。「この会社の中で一番不満を感じているところはどこですか」「すごく楽しかった、あるいは充実していた経験は何ですか」と尋ねれば、すぐに出てくるはずです。まずは従業員と話をしてみることが重要になります。

 最大のネガティブポイントとピークポイントに手をつけることができたら、それ以外に改善の余地があるポイントを探していきます。それを発見するためには、サーベイなどを活用するのが効果的だと思います。

熊谷 なるほど。人事が主体的に現場の声を拾いに行くというアクションが必要になるのですね。

伊達 そうですね。人事からのヒアリングは必須です。

 一方、従業員体験を向上していくには、現場の協力が欠かせません。マネージャーも人事と同じ発想を持てるとよいでしょう。自分が責任を負っている部署やチームの中で、「最もネガティブな体験」「ピークとなる体験」はどこだろうかと、部下と対話しながら探っていくのが望ましいです。

次のページ
縦・横・ななめの関係性、それぞれへのアプローチを

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

熊谷 優作(クマガイ ユウサク)

株式会社ギフティ Gift Distribution Corporate Gift Director

北海道大学経済学部を卒業後、2021年度にギフティに新卒入社。法人・自治体向けにデジタルギフトの流通を担う「giftee for Business」で、事業のグロースをミッションに新規プロダクト企画に携...

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高山 透(コウヤマ トオル)

フリーカメラマン。雑誌の撮影などを主にしています。

最近では、Webの撮影も多くなってきました。日々の生活は、朝タブレット端末をながめながらコーヒーを飲み、のんびり1日が始まります。 休みの日は、新宿御苑に行ったり、子供と遊んで過ごしています。

Webサイト

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