育成までコミットしてこその採用
同社の採用はここで終わりではない。松尾氏は、「採用は、育成をもってして完成すると考えています」と述べ、入社後の戦力化までコミットする育成体制についても説明した。育成フェーズでは、採用後の放任を捨て、早期の打席の提供と徹底した伴走に注力している。
「入社直後は集中育成フェーズとして、商流からファイナンスまでをカバーする多角的なマーケター研修や複数レイヤーでのメンター制度を設けています。また、配属後は、早期に成功体験を積めるように、本人の実力値よりも少し背伸びをした仕事を意図的に提供し続ける仕組みを導入しています。
さらに、新卒社員に対しては経営陣が自ら伴走し、入社から1年間は社長や副社長が毎月1on1でアドバイスをするミーティングを実施。本人と上司による振り返りサーベイで状況を可視化し、1人ひとりと向き合って直接アドバイスをすると共に、必要に応じて本人の成長テーマに合致した業務や環境を柔軟に検討しています」(松尾氏)
また、中長期的な支援として、半年に1度の育成会議を開催。キャリア形成や業務のアサインについて多角的に議論するほか、中長期のキャリア最大化に向けた戦略的な抜擢人事も行っている。
採用の自走サイクルが回り出すと、組織の景色が一変する
こうした取り組みの結果、入社後の社員の活躍は目覚ましいものとなっている。
新卒入社3~4年目の若手社員が予算数十億円規模のブランドのマーケティング責任者を務めたり、買収先企業の役員に就任したりする事例が生まれている。さらに20代後半から30歳頃には、子会社社長や100億円規模の事業責任者を輩出している。
採用した人材が事業の成長を直接的に牽引することで、組織全体が急拡大していくという好循環が生まれているのである。
「『集中突破の採用戦略』は、一見効率が悪いように見えるかもしれませんが、チャレンジャーの立場である以上、リソースを分散化してプロセスを平均化していっても、良い結果は生まれづらい構造にあると思います。
チャレンジャーが厳しい採用競争を勝ち抜き、組織の未来を変えるレベルの採用を実現するには、あえてリソースを要所に集中させ、徹底的に深く踏み込むことが必要です。その結果として、本質的に投資対効果の高い採用が実現できるのです。
採用はとても大変ですが、ずっと苦しいものではありません。一度良い採用が実現し、入社後に活躍しはじめると、その方々が最強のアトラクターとして、採用を共に進める強力な仲間になってくれます。そうして採用の担い手が増えていくことで、自走サイクルが回り出し、採用力が飛躍的に強化され、気づけば組織の景色は一変します」(松尾氏)
「採用は最高の成長投資」と強調する松尾氏。「当社が採用に成功できているのも、これまで採用や取り組みに関わってくださった人のおかげです」と感謝を述べてセッションを締めくくった。

