エッジの効いたメッセージや極少人数座談会でターゲットに刺す
そこで同社はまず、母集団形成では「3倍速の成長」を打ち出し、市場価値を高めて成長していきたいと考える学生にターゲットを絞り込んだ。同社のリクルートサイトには、CEOからの「圧倒的成長を手にする覚悟はあるか」といった、候補者の覚悟を問うエッジの効いたメッセージが並ぶ。
「まさにこのメッセージが響く学生がターゲット。採用エントリー数は減らしてよいと決め、ターゲットの含有率を指標にしています」(松尾氏)
また、リファラルなどを活用してゼミやサークルといったコミュニティとの接点を強化。役員自らが出向くことで、学生の興味を惹きつけている。
ほかにも、月に2回の頻度で6名程度が参加する新卒向け座談会を実施。ここにも役員が参加し、会社紹介だけでなく人生観やキャリアについてディスカッションの機会を提供している。加えて20名もの現場社員の想いやキャリアを紹介している点もポイントだ。
「1時間の説明会だと、紹介できる先輩社員は2名ほど。『本当にエース社員だけ出しているんじゃないか』『全体感がイメージできない』といった声につながります。しかし、少人数の座談会で多数の先輩社員を紹介し、他社との差別化や当社の解像度を高めることで、強いアトラクトにつながっています」(松尾氏)
勘と思い込みを排除し、データと人の眼で見極める
選考と見極めのフェーズでは、面接官の勘と思い込みを排除し、科学的分析と価値観の共鳴度を重視しているという。
「データに頼る部分と、面接官が見抜く部分を使い分けて選考しています」(松尾氏)
同社はデータ活用を事業の武器としており、採用においても例外ではない。入社前データと入社後データを用いて、AIが入社後の活躍状況との相関を分析。そうして抽出した職種別のデジタル基準と、面接で確認する重要基準を掛け合わせて見極めている。
人事の役割は「選考体験のディレクター」に
アトラクトの段階で同社が捨てたのは、人事担当者だけの説得と、候補者全員に対する一律の選考フローだ。代わりにフォーカスしたのは、全社員の熱量と候補者に合わせたオーダーメイドの選考体験設計であった。
採用は最重要アジェンダであるというカルチャーが浸透している同社は、社員300名のうち採用に協力する社員が100名を超えている。(2025年イングリウッド単体実績)
この全社一丸の体制において、人事の役割はいちアトラクト担当から、現場社員と候補者をつなぐ選考体験のディレクターへと転換した。候補者の志向や状況に合わせて、いきなり役員面接からスタートするケースや、同じ前職社員との面談を設定するケースなど、1人ひとりに適した「オーダーメイド」の選考フローを提供するようにしている。

