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インタビュー《人事戦略》| 弥生のCHRO 大野氏が語る「HRBP」の面白さと重要性

「制度運用」から「イノベーション創出」へ 弥生初のCHROが語る“事業を動かす人事・HRBP”の面白さ

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「間接的な仕事だからこそ、可能性がある」HRBPの泥臭さと魅力

——さきほど、「HRBPが天職だ」という発言もありましたが、あらためて、HRBPの面白さを教えてください。

 どこまでいっても、HRBPは直接的ではなく、間接的な仕事です。だからこそ、人や組織はやり方次第で本当に変わるんですよね。やらなければ何も変わらないけれど、やり方によっていくらでも可能性がある。人が成長したり、見えていなかった可能性が開花したときはすごくうれしい。シンプルに、人が好きだというのもあると思います。

 一方で、私は組織には力学があると感じています。何かをするとこう動く、というギアやレバーのようなものがあって、それによって組織は良くも悪くもなる。リーダーが1人変わるだけで、うまくいかなかった組織が生まれ変わることもある。組織は本当に生ものなので、そういう世界が好きなんです。泥臭い仕事ですが、そこがHRBPの魅力です。

 加えて、事業が大きくなる過程を組織長と一緒に見られるのも面白いです。たとえば、新しいサービスや組織が立ち上がって、最初は5人だったチームが50人になっていく。その変化をHRBPとして一緒に喜びながら、次のフェーズで出てくる課題にも向き合っていく。そういう経験は、他の人事機能ではなかなか得がたい面白さだと感じています。

——HRBPに求められるのは、人事としての専門性と事業理解のどちらだと考えていますか。

 難しい質問ですが、人によるというのが前提です。そのうえで、習得しづらいのは、事業を理解する力のほうではないかと感じています。人事の仕事ももちろん経験が大事ですが、一定程度は学んで身に付けられる部分もあります。一方で、事業の現場で何が起きていて、何を成し遂げたいのかを理解し、そこから課題をつかむ力は、後から身に付けるのが容易ではありません。

 実際、前職では事業サイドからHRBPになったメンバーもいました。人事の専門家ではなくても、事業のことをよく分かっているので、課題をつかむのが早い。たとえば、人が辞める理由の背景に業務プロセスの問題があることを見つけてきたりする。そういう見立ては、事業をよく見ているからこそできることだと思います。

 私自身も、まず事業を見て、何を実現したいのか、どんな世界を目指しているのかを捉えたうえで、そこから逆算して人や組織を考えていくタイプです。そこは、自分の強みでもあると思っています。

入社と同時に社長が交代?! 想定の3倍のスピード感で進めた人事施策

——では、弥生のお話に戻ります。新体制のもとで、まずどこから着手されたのでしょうか。

 入社のタイミングで社長が交代すると告げられ、新体制への移行がありました。新しい体制で実現したいことや優先順位は、当初描いていたプランを想定の3倍くらいのスピードで進めるような感覚でした。その中で、まず大きく舵を切る前に、課題をきちんと見極めることに取り組みました。

 ただ一方で、新社長の「まず人に手を打つ施策を進めたい」という思いも強かった。制度や仕組みだけでなく、人の行動やマネジメントのあり方を変えていくことが、文化を変える近道だと考えていたからです。そこで、それをどう実現するかに伴走する形で進めていきました。

 まだ施策を本格的に始めて1年ほどではありますが、まず優先度が高かったのは、パフォーマンスがきちんと評価される仕組みづくりです。成果がきちんと報われる会社にしたい、結果を出すプロフェッショナルが集まる構造をつくりたいという考えがありました。

 加えて、フィードバック文化を根付かせたいというのも大きなテーマでした。心理的安全性が担保されることで、質の高いフィードバックが交わされ、互いに成長できる環境をつくることが、最終的にはパフォーマンス向上にもつながると考えています。

——制度面では、どのような見直しを進めているのでしょうか。

 具体的な施策としては、まず評価制度の見直しに着手しました。成果に対して適切にメリハリがつくよう、評価基準を再定義しています。あわせて、トップタレントの採用競争力を高めるため、給与レンジもより柔軟で使い勝手のよい体系へと変更しています。

 さらに、ミドルマネジメントの強化にも注力しています。どんな制度や施策も、実際に現場で機能させるのはミドル層にほかなりません。そのため、マネジメントに特化したグレード設計や教育機会の提供も進めています。

——フィードバック文化の醸成には、どのように取り組んでいますか。

 全社員向けにフィードバック研修を実施しました。段階的に一部の階層から始める方法もありますが、今回は全員が同じ物差しを持つことを優先しました。そのうえで、サーベイを使ってモニタリングしています。自己評価だけでなく、上司であればメンバーからの他者評価、組織長であれば組織のコンディションも見えるようにして、まず現在地を把握しようとしています。

 もう1つ、VoE(Voice of Employee)、つまり従業員の声を拾うサーベイも導入しました。現場の声をきちんと経営に届け、どこにどんな課題があるのかを可視化するためです。役員の中でも時間をかけて分類し、短期・中期でどのような打ち手を講じるかを整理し、全社員にも公表しています。

次のページ
「デリバリー」ではなく「インストール」、HRBPへの期待と役割

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この記事の著者

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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