リクルートマネジメントソリューションズは、企業に勤務する正社員を対象に「AI活用が変える職場とマネジメント業務調査」を実施した。同調査は、仕事におけるAI活用の現状や意識を捉えるとともに、職場やマネジメント業務にどのような変化が生じているのかを多角的に分析し、今後の組織運営のあり方を探ることを目的としている。
調査の主な結果は以下のとおり。
仕事活用群の勤務先の経営層・上司・同僚の約4割がAIを積極的に活用、職場での成果実感も広がる
[仕事活用群]に、勤務先の会社や職場のAI活用状況について尋ねた。「1.勤務先の会社はAIに投資する方向性を出している」は、肯定回答率(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計)が45.7%と、約半数の企業でAIが戦略として位置付けられている。
また、「社員のAI活用を推奨している(4)」の肯定回答は6割近くにのぼり、職場におけるAI活用の推進機運は高まりつつある。
一方で、「AI活用に関する目標設定(5)」の肯定回答率は29.6%、「活用状況の把握・評価(6)」は33.7%にとどまり、制度的な部分においてはまだ整っていないことが分かる。
「経営層のAI活用(3)」の肯定回答率は約4割にとどまり、回答者である社員側には必ずしも可視化されていない状況がうかがえる。
職場レベルでは、「上司が活用(7)」の肯定回答率が44.9%、「同僚が活用(8)」49.2%、「活用事例・方法の共有(9)」47.5%と、いずれも約半数でAI活用が進んでいる。
AI活用による成果実感として、「業務効率化・生産性向上(10)」の肯定回答率が49.3%、「新たにできることの増加(11)」46.6%、「施策の試行・実行スピードの向上(12)」44.6%、「業務の質向上(13)」41.8%と、いずれも4割を超えている。
これらの結果から、企業におけるAI活用は一定程度浸透し、現場レベルでも活用と成果実感が広がりつつある一方で、経営層による発信や、目標設定や評価といった制度面での牽引は今後の課題であることが示唆される。
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仕事活用群の6割超が積極的に活用と自認。自身の課題解決だけでなく組織の課題解決への広がりも
回答者本人のAI活用状況と成果実感について尋ねた。「AIを仕事で積極的に活用している(1)」は、6割超が自らの活用を積極的だと認識している。
活用内容としては、「自身の業務の自動化・効率化(4)」の肯定回答率が60.4%、「自組織・職場の業務の自動化・効率化(5)」が53.8%と、自身の業務にとどまらず、組織単位での活用も広がっている。
成果実感として、「業務効率化・生産性向上(7)」の肯定回答率が61.7%、「新たにできることの増加(8)」56.5%、「商品・サービスや業務の質向上(9)」52.9%と、いずれも過半数が効果を実感している。
周囲への活用期待として、「上司・先輩にもっと活用してほしい(11)」の肯定回答率が47.8%、「同僚・後輩にもっと活用してほしい(13)」44.8%である一方、「部下にもっと活用してほしい(12)」は58.3%と、組織長の期待が特に高い。
これらの結果から、AI活用は個人の業務効率化にとどまらず、組織全体の生産性向上へと広がる段階に入っていると考えられる。また、特に組織長においてメンバーのAI活用への期待が高く、今後は組織全体での活用水準の引き上げが重要になることが考えられる。
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仕事活用群の方が仕事非活用群よりも直近1、2年の業務遂行上の良い変化を感じている人が多い
直近1、2年での仕事上での変化について尋ねたところ、「1.業務効率化や生産性向上が図れるようになった」の肯定回答率は、仕事活用群で58.7%と約6割に達する一方、仕事非活用群では20.1%にとどまり、両者の差は+38.6ポイントと、全項目中最大となった。
「2.アウトプットや業務の質が高まった」は仕事活用群51.4%、非活用群17.2%(+34.2ポイント)と、効率化にとどまらずアウトプットの質向上においても顕著な差が見られる。
「3.顧客や協働者の期待に応えやすくなった」は仕事活用群43.7%、非活用群13.2%(+30.5ポイント)と、個人の業務変化にとどまらず、対外的な成果実感にも差が生じている。
「4.施策検討から実行までの時間短縮」は仕事活用群49.4%、非活用群15.8%(+33.6ポイント)と、構想から実行までのスピードにも大きな開きが見られる。
「5.やりたかった仕事や業務に取り組めるようになった」は仕事活用群43.6%、非活用群16.9%(+26.7ポイント)と、効率化の先にある「業務機会の拡張」においても差が確認された。
これらの結果から、AIを業務で活用している群は、非活用群と比較して業務効率化や質の向上、業務機会の拡張といったポジティブな変化を強く実感していることが明らかとなった。AI活用が直接的な要因とは限らないものの、両者の間には明確な差が見られ、AI活用が業務変化の実感に影響している可能性が考えられる。
以上のほか、同調査では次のような洞察が得られている。詳しくはプレスリリースを参照のこと。
- 仕事活用群の中でも、AI活用度が高いほうが直近1、2年の変化を感じている
- メンバーは、業務推進や新たな観点、選択肢の提示はAI、メンバーの感情や動機への寄り添いは人の上司を評価
- 仕事活用群はAIのもたらす未来をポジティブに捉える一方、危機感も抱いている
- 仕事活用群であっても、AI活用による能力拡張はその人自身の力が向上したとは言い切れない
- マネジャーの業務に関連するAIツール導入の裾野は広がるも限定的
- マネジャー業務へのAIの影響を想定している人はまだ少数
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