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現在、厚生労働省および政府の主導で、労働基準法の見直しに向けた検討が進められています。改正案はまだ国会に提出されておらず、改正の内容や時期は未確定であるものの、経営者・人事を中心にたいへん注目を集めています。
改正の方向性としては、多様化する働き方や労働者の高齢化に対応するものです。ただし、その中には「各企業で戦略的な働き方を独自に設計する」ことが前提となっている内容が多く含まれています。そのため、改正は人的資本経営を推進するものとして捉える必要があり、これを機会として人事は「法令を人的資本経営推進のツールとして活用する」ことに努めなければなりません。
本特集では、来年以降に予定される労働基準法改正を追うとともに、人的資本経営を加速させるツールとして法令を活用する方法などについて紹介していきます。
2026年7月、「骨太の方針 2026」と「日本成長戦略」が閣議決定され、「人材力の強化」が国家として経済成長を実現する核心的なテーマとして位置付けられた。それらを受けて、9月からは労働政策審議会で労働基準法改正の各論の詰めが急ピッチで開始されている。従来の「人数×時間=労働力」という「量」から、「スキル×多様な働き方=人材力」という「質」へと成長軸の転換が進むいま、企業はいつ・どのように対応していくべきなのだろうか。また、AI協働時代における正しい労務管理とは? 株式会社チームスピリット 代表取締役CEO 道下和良氏と一般社団法人 iU組織研究機構 松井勇策氏が語った。
2026年7月、「骨太の方針 2026」と「日本成長戦略」が閣議決定され、「人材力の強化」が国家として経済成長を実現する核心的なテーマとして位置付けられた。それらを受けて、9月からは労働政策審議会で労働基準法改正の各論の詰めが急ピッチで開始されている。従来の「人数×時間=労働力」という「量」から、「スキル×多様な働き方=人材力」という「質」へと成長軸の転換が進むいま、企業はいつ・どのように対応していくべきなのだろうか。また、AI協働時代における正しい労務管理とは? 株式会社チームスピリット 代表取締役CEO 道下和良氏と一般社団法人 iU組織研究機構 松井勇策氏が語った。
経営学者ピーター・ドラッカーが著した『イノベーションと企業家精神』は、筆者にとってバイブルのような書籍です。皆さんはイノベーションという言葉に、どのようなイメージをお持ちでしょうか、天才的な発明、ものすごい変革などかもしれませんが、ドラッカーの定義は全く違います。「変化を見る目を持ち、機会を見出し、体系的に追求すること」です。そして、ドラッカーが提唱した「イノベーションの7つの機会」の中で、産業構造の変化はイノベーションの最大の機会の1つとされています。労働基準法の大改正、AI政策、人的資本経営という3つの制度変動が同時に来ているいま、ドラッカーのいう「変化を見る目」を持ち、法令を道具として使えるかどうかが、企業の命運を分けるでしょう。
経営学者のピーター・ドラッカーは、著書『ネクスト・ソサエティ』でこう書きました。「知識労働者は1人ひとりが自ら問いを立て、自ら成果を定義し、自らの成長に責任を持つ。組織は管理する場所ではなく、その人の力を最大限に引き出す場所になる。働く人は雇われる存在ではなく、自分自身のCEOである。自律的にキャリアを設計し、複数の場で知識を活かし、学び続ける」。理想論に思えるかもしれませんが、労働基準法大改正の拡大した論点や、AI政策、人的資本経営などの雇用制度改革が目指しているのは、まさにこの世界観だと思います。そしてAIの登場は、知識労働の中から定型的な処理を引き剥がし、「問いを立て、意味を創造する仕事」だけを人間に残そうとしています。ドラッカーが半世紀前に描いた理想は、いま政策と技術の両面から実現しつつあります。ドラッカーを手掛かりにして戦略を構築していくことができるのです。
いまAI政策、労働基準法改正、人的資本経営という3つの大きな改革が同時進行している。これらは独立した動きではなく、「働く価値を高め、多様な働き方を実現する」という同一の方向を指して、互いに融合している。企業がこれらの変化に対応するためには、各制度へバラバラに対処するのではなく、自社の働き方と存在意義の全体像である「世界観」を描き切ることが不可欠だ。本稿では、AI政策と雇用政策の融合という最重要な構造変化をひも解いていく。特に5月末に発表された、日本成長戦略会議の労働市場改革分科会の「とりまとめ」ほか、多様な雇用政策においてAIがどのように言及されているか網羅性をもって参照する。そしてそれらをもとに、いま対応すべきであり、AI時代において企業が取り組むべき人事戦略の5つのステップを提案する。
2025年11月末にHRzineで公開された拙稿「労働基準法大改正の解説」は、多くの方にお読みいただきました。それから半年が経ったいま、認識を改めていただきたいことがあります。この半年で、労働基準法(以下、労基法)改正の論点は消えたわけでも、棚上げされたわけでもありません。しかし、それらの論点が、全く別次元の政策議論と合流し、従来の「労基法改正」という枠組みでは捉えきれないほど大きく拡大しています。従来の論点の理解自体は基盤として重要ですが、「労基法改正の範囲」は完全に変わっているといえるでしょう。従来の理解は情報が古くなっており、そのため、認識を改めていただく必要があるのです。本稿では、2026年5月27日の日本成長戦略会議 労働市場改革分科会の「とりまとめ(案)」の内容まで踏まえてお伝えします。あらゆる企業で自社の「働き方」を捉えるうえでの重要情報です。
2027年に予定されている労働基準法(以下、労基法)の大改正。その根幹にあるのは、人々の“働き方を自由にすること”であり、これまでの人的資本経営ではあまり注目されてこなかった“「働き方」や「労務管理」を経営戦略と接続するもの”だという。この経営に直結する大規模な法改正に、企業はどのように備えるべきか。産学連携シンクタンク iU組織研究機構 代表理事・社労士 松井勇策氏と株式会社チームスピリット エンタープライズカスタマー運用・技術支援本部 カスタマー運用支援部 部長 曽我峻氏に話を聞いた。
前回、労働法制の性質が「規制」から「戦略的に活用するツール」へ変化していることを示しました。今回は、2027年労働基準法改正の具体的な内容を見ていきます。23以上の変更項目それぞれが、企業にどんな選択肢を提供するのか。そして、その選択肢をどう組み合わせて働き方を設計するかを、現在検討されている論点をもとに、特に人的資本経営の視点を重視して解釈し、解説します。
労働法制の性質が根本的に変わりつつあります。かつて「規制」として機能していた法令が、今や「戦略に活用すべきツール」としての性格を強めています。2027年に予定されている労働基準法の大改正は、この変化を象徴する出来事です。法令の性質が変われば、企業の向き合い方も当然変わります。そこで今回と次回の2回で、労働基準法の大改正の本質と論点、求められる企業の対応について解説します。
ルールとして眺めているだけでは、2027年予定の労働基準法改正の本質は見えてこない。問い直すべきは、働き方そのものの前提であり、それを支える制度と運用の設計思想だ。では、そこで問われる「労働時間」はどう捉え直すべきなのか。従来型の条件交渉では対応しきれない、労使コミュニケーションをどう進化させられるのか。後編でも引き続き、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの髙浪司氏と、産学連携シンクタンク iU組織研究機構 代表理事・社労士の松井勇策氏の対談をお届けする。
いま、働き方の前提が大きく変わろうとしている。2027年以降に予定される労働基準法の大改正は、単なるルール変更にとどまらない。分散型組織や副業・プロジェクト型の働き方と、旧来制度との“ねじれ”を正し、人材戦略を柔軟に設計し直すうえで避けて通れないテーマとなる。注目すべきは、この改正をどう事業戦略や人的資本経営に結び付けるのか——。EYストラテジー・アンド・コンサルティングの髙浪司氏と、産学連携シンクタンク iU組織研究機構 代表理事・社労士の松井勇策氏が、その本質を前後編にわたって語り合った。