採用や施策の数より社内文化を重視 ラクス・技術広報が整えた「エンジニアが安心して発信できる環境」とは
ITエンジニアの採用競争が激しくなる中、技術ブログやイベントを通じた情報発信に力を入れる企業は多い。一方で、現場の協力を得られない、施策の成果が見えにくいといった悩みもある。バックオフィス向けクラウドサービスを展開する株式会社ラクスは、開発本部内に技術広報の専門チームを設置し、社外への発信だけでなく、社内の理解の浸透にも取り組んできた。施策の「数」を追う方針から転換し、エンジニアが安心して発信できる環境をどう築いたのか。技術広報課の川東大悟氏、山本恭子氏、高須賀大悟氏に聞いた。
「イベントを何本やるか」ではなく「誰に何を届けるか」へ
——まず、ラクスにおける技術広報の役割を教えてください。
川東大悟氏(以下、川東) ITエンジニアは転職を考える際、求人票や採用サイトだけでなく、企業の技術ブログやイベントへの登壇状況なども見ています。求人票や採用サイトでは伝えにくい開発現場の実態を届けるため、約5年前に技術広報の専門チームが立ち上がりました。
特徴的なのは、私たちが人事部ではなく開発本部に所属していることです。私と山本は元エンジニアで、高須賀も前職でエンジニア向けのマーケティングに携わっていました。日々エンジニアと接し、現場の一次情報を得ながら、同じ目線、同じ言葉で話せる距離にいることを大切にしています。
川東 大悟(かわひがし だいご)氏
株式会社ラクス 開発本部 開発管理部 技術広報課
独立系SIerでエンジニアリングマネージャーとして組織開発に携わったのち、2022年にラクスへ入社。現在は技術広報課で、開発本部の情報発信とブランディングを担当。顧客志向とAIネイティブを軸に、開発組織の取り組みを社内外に届けている。
現在は3人で社外向け/社内向けの発信を担当しており、最近は特にインナーブランディングに力を入れています。
——技術広報というと社外への情報発信をイメージしますが、インナーブランディングに力を入れているのですね。当初からこの方針だったのでしょうか。
川東 いいえ。最初は外部への発信が中心でした。ブログやイベントの「数」を追い、カジュアル面談も毎週実施していました。イベントを週2回ほど開催していた時期もありました。
また、一時期は採用人数を成果目標に置こうとしたこともありました。ただ、イベントやブログが何人の採用につながったのか、直接ひも付けるのは難しい。一方、入社者から「ブログを見ていいなと思った」「イベントで技術に力を入れていると知った」と聞くこともあり、発信には意味があると感じていました。
——では、どのようにして方針を変えたのでしょうか。
川東 採用につなげてほしいという経営層の期待は、もちろんありました。そのうえで、技術広報の成果を何で捉えるかをいっしょに話し合ってきました。
そうした中で、目先の数字よりも社内の文化を育てることが大切だという話になりました。
当時、開発本部には「もっと早くお客様に開発したものを届けたい」「お客様のことを考えた機能をつくりたい」といった課題がありました。組織が拡大すると、どうしても役割が分かれ、以前のように全員がお客様と直接接することは難しくなります。でも、1人ひとりがお客様を理解していなければ、良いものはつくれません。
そこで、代表とも話し合い、以前から大切にしてきた「顧客志向」をあらめて浸透させようとなったのです。それがインナーブランディングに力を入れるきっかけになりました。
同時に、社外への発信も数より質を重視するようになりました。開発本部長からも、「今発信している情報はターゲットに本当に届いているのか」と問われたためです。広く認知を高めるより、すでにラクスに興味を持っている人の入社意向をどう高めるか。誰に何を伝えたいのかを、1つひとつの企画で考えるようになりました。
高須賀大悟氏(以下、高須賀) もちろん「採用につなげる」という目的はありますし、指標も置いて継続的に見ています。ただ、文化の醸成や企業イメージの向上といった活動は地道で、すぐに数字に表れるものではありません。それを短期で無理に測ろうとすると、数字を上げること自体が目的になり、本質を見失いかねません。
私たちにとっての本質は、ラクスの本来の良さを伝え、それに共感した人に入社してもらうことです。そのために、まず社内に文化を浸透させ、それを社外に発信していくことを大切にしています。
高須賀 大悟(たかすか だいご)氏
株式会社ラクス 開発本部 開発管理部 技術広報課
前職でITエンジニア向けのマーケティングに携わったのち、2026年にラクスへ入社。現在は技術広報課で、主にインナーブランディングを担当。
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- この記事の著者
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山田 優子(ヤマダ ユウコ)
神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。
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井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
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川口 紘(カワグチ コウ)
1984年、東京生まれ。早稲田大学卒業後、2008年にGO-SEES入社。2010年にGO-SEES退社後、渡英。2011年、フリーのアシスタントを経て、帰国後に独立。現在はビューティ、ファッション、ポートレートを軸に活動中。主な取引先は講談社、阪急コミュニケーションズ、幻冬舎、フェリシモなど。
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