要員計画については、これまで退職者の補填的な管理が多くみられていたが、HRシステム/テックの進化やスキルの概念の組み合わせにより、質的側面も含めた「量」が語られるようになってきている。ここではそれらの角度とは異なり、AIの急速な進化によって、企業が考えるべき「5年先の要員計画」について検討してみたい。
人数の予測だけでは将来の構成を適切に把握できない時代
「従来の要員計画」は、退職者の補填的管理や一括新卒採用の延長線として「5年後に何人必要になるか」を検討することが多かったのではないだろうか。しかし、AIエージェントや外部人材の活用が進む時代には、人数だけを予測しても、将来の働き方や組織の構成を適切に設計できない。
そこで、従来の要員計画からAI時代の要員計画「Workforce Architecture(仕事、役割、人材、制度を一体として設計する考え方)」へと検討を進化させる必要がある。
本稿では、Workforce Architectureを進める各ステップについて解説する。
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Step1:将来実現したい「アウトカム」と「仕事」から考える
AI時代の要員計画だからといって、目先の「今ある人の仕事をどれだけAIに置き換えられるか」から考え始めるべきではない。まず、「5年後に実現したい『アウトカム』は何か」「そのための『仕事』として本当に必要なのか」を問うことから始めるべきである。
たとえば、「月次経営報告資料を作成する」という仕事が現在あったとしよう。その目的は、「経営陣が事業状況を把握し、適切な意思決定を行う」ことである。将来、AIエージェントによるリアルタイムダッシュボード等によって同じ目的をより効果的に実現できるのであれば、この「月次報告資料をつくる」という仕事自体が不要になる可能性がある。
単に、Excelの効率化や資料の自動パッケージ化といったタスクをAIの活用で置き換えることは、図1のStep1~Step2で整理される「Future Work」を考えることではない(図2)。
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補足
「アウトカム」とは、単なる活動や作業ではなく、企業が事業を通じて実現したい、売上、利益、顧客価値、品質、スピード、リスク、イノベーションなど、「事業上の成果」として表現されるものとここでは定義する。
たとえば、次のようなものがある。
- 売上高を現在の100億円から150億円へ拡大する
- 新規事業の売上比率を全社売上の20%まで高める
- 製品開発のリードタイムを12ヵ月から6ヵ月へ短縮する
- 海外売上比率を15%から35%へ引き上げる
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上野 晃(ウエノ アキラ)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社、ピープルコンサルティング、ディレクター
大手総合電機メーカー、シンクタンク系コンサルティングファームを経て現職。組織・人事コンサルティング領域で15年以上の経験を有し、人事制度構築を基盤としつつ人材マネジメントの構築・機能化まで一貫した支援に注力。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


