“今は存在しない”職種をどう評価し、報酬設定するか
Step3:要員計画・人件費検討の基本情報再定義
再定義した役割によってこれまでの等級体系や評価制度における評価の対象をアップデートすることになり、その内容に対して報酬の対応を考えることとなる。
ここで論点の1つに、現在市場には存在しないFuture Roleについてどのように報酬を設定するのかが挙げられる。
対応としては同一ポジションの報酬を市場水準から探すのではなく、類似する既存職種や成果発揮に不可欠なスキル、人材の需給状況、採用時の市場データなどに分解して市場価値を推定する方法が考えられる。
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こうして等級と報酬(人件費)を定めることができ、要員計画のベース情報[1]が整理できる。
注
[1]: いわゆる基幹人事制度を指す。再定義した内容を採用や配置・育成といった人材マネジメントに活用することまで含めて「Redesign」と表現しているが、ここでは要員計画にフォーカスすることから人材マネジメント(採用、配置、育成)については割愛する。
5年後の要員計画は一点予測ではなく「シナリオ」で考える
そもそも、AIの進化速度を正確に5年間予測することは難しいため、5年後の要員計画を1点で予測することは難しい。そこで複数のシナリオを設定することで柔軟性を担保する。
たとえば、次の3つのシナリオが考えられる。
- ベース案:現在想定できる範囲でAIエージェント導入が進む
- シナリオA(Fast AIエージェント採用パターン):AIエージェント導入が速く進み、定型業務の大部分をAIエージェントが担う
- シナリオB(Slow AIエージェント採用パターン):規制、技術、現場の受容性などにより、AIエージェント導入が緩やかに進む
ただし、シナリオによって最初に変えるのは人数ではない。前述のとおりまず、Future Workと仕事の配分がどう変わるかを考え、その結果として人数を算出する。
たとえば、シナリオA(Fast AIエージェント採用パターン)では、定型業務の大部分をAIエージェントが担い、人間は顧客対応、判断、設計、監督に集中する。シナリオB(Slow AIエージェント 採用パターン)では、人間中心の業務が長く残り、AIエージェントは補助的に使われる。この違いによって、必要な人数だけでなく、必要な役割、スキル、外部リソース活用の比率も変わる。
ここで整理しておくべきこととして、5年先を見据えて固定すべきものと、毎年更新すべきものを分ける必要がある。
前者には、コアとなる役割/等級体系、キャリアフレームワーク、仕事を分類する判断基準などが含まれ、後者は、仕事量、AIエージェント活用の進展度、外部市場の報酬水準、スキル需要度、人員数、外部リソースなどが挙げられる。
つまり、中長期的に安定させる制度や構造と、毎年見直す要員計画があり、5年先のすべてを固定するのではなく、変わりにくい構造と、変化に応じて更新すべき数値を分けることが重要である。
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上野 晃(ウエノ アキラ)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社、ピープルコンサルティング、ディレクター
大手総合電機メーカー、シンクタンク系コンサルティングファームを経て現職。組織・人事コンサルティング領域で15年以上の経験を有し、人事制度構築を基盤としつつ人材マネジメントの構築・機能化まで一貫した支援に注力。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


