国内最大規模のTOBを経て、エンジニア派遣会社からソリューション提供企業へと事業構造の変革を進める株式会社テクノプロ。同社は数年後の再上場を見据え、人的資本経営を強力に推進している。その活動の中で1つのカギとなるのが、数年後の成長戦略に基づいて採用を行う「タレントアクイジション」と、採用した人材を育成し、絶えず成長できる環境に配置する「タレントマネジメント」の連携である。本記事では、同社でこの取り組みを指揮する、タレントマネジメント本部 採用企画部長の齋田龍氏に、累計1000社以上のタレントアクイジションを支援してきた株式会社TalentX CEOの鈴木貴史氏がインタビュー。取り組みの背景にある考え方と、実際の取り組み内容について聞いた。
採用競合とはむしろ協働・共創していく
鈴木貴史氏(以下、鈴木) 御社はブラックストーンによる国内最大規模のTOBを受け、日本最大級のAI実装カンパニーへと事業構造を変革している最中かと思います。その中でタレントアクイジションにどのように取り組まれているのか。本日はその点を伺いたいと思います。最初に、齋田さんのミッションから簡単に教えていただけますか。
齋田龍氏(以下、齋田) 当社はまず3〜4年後の売上利益拡大に向けてスタートを切っている段階です。経営指標としては、特にデジタル分野を伸ばしていく成長戦略を組んでいます。
その中で、私の部署は採用企画を担当しており、人的資本経営に紐づくタレントアクイジションが守備範囲となっています。とはいえ、タレントアクイジションだけを追っていても人的資本経営は成立しません。タレントマネジメントや営業・事業部門も含めた3つの軸をどのように回していくかが要となります。そこを鑑みつつ、タレントアクイジションを現場レベルで実現できるようにすることが1つのミッションです。
ただし、タレントアクイジションには非常に多くの工数がかかります。目の前の欠員補充のための採用も行いますが、1年後・2年後・3年後の成長戦略に基づいた採用を行うとなると、現場の理解も必要ですし、基盤づくりも欠かせません。転職潜在層向けにはリファラル採用が有効なため、その実施も不可欠です。
あらゆる施策に取り組む必要がありますが、単に人員を増やせば解決するわけではないため、テクノロジーの導入も欠かせません。それと同時にAIの導入や、AIネイティブ採用の実現もミッションとして進めている状況です。
齋田 龍(さいた りゅう)氏
株式会社テクノプロ タレントマネジメント本部 採用企画部長
テクノブレーン株式会社 取締役
1979年神奈川県生まれ。2012年株式会社シーテック(現テクノプロ・デザイン社)入社。グループ内の人材紹介会社の立ち上げを経験後、HR領域(リクルーター、採用企画、研修企画/講師など)に従事。その後、中途採用部門、採用部門全体の責任者を経て、現在に至る。
鈴木 現在、御社は採用人数を急拡大させているように思いますが、単に増やしているのではなく、事業戦略に則って進めている印象です。
齋田 我々は、成長戦略に伴う技術(テクノロジー)を明確に定めています。たとえば「DXに対するテクノロジーにはこのようなものがある」と提示します。すると、営業はそのテクノロジーを羅針盤として動き、教育研修部門もその羅針盤を見てどのように人材を育成していくか(タレント開発)を設計します。
採用も当然、そのテクノロジーについてのスキルや経験を保有する人材の獲得を目指します。従業員数に対するそうした人材の割合が、採用活動のKPIとなります。
鈴木 事業構造を変革していく中で、求める人材像に変化はあったのでしょうか。
齋田 スキルや知識を保有していることは当然の前提であり、育成や教育でカバーできます。そこにとどまらず、スキルや知識をコンサルティングレベルまで昇華させていける人材のポートフォリオを組むことが、この業界では非常に重要になってきています。我々も、コンサルティングができる人材、つまり現場の課題を抽出し、それに対する解決策を提案できる能力を持った人材をポートフォリオに新しく加え、事業戦略に活かしています。
鈴木 なるほど。御社の社内カンパニーの1つで、ITシステムのコンサルティングから開発まで行うコンサルティング・パートナー社は、まさにそこに紐づいているのですね。
鈴木 貴史(すずき たかふみ)氏
株式会社TalentX 代表取締役社長CEO
1988年和歌山県生まれ。2012年インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。企業の採用支援に従事した後、日本初のリファラル採用活性化プラットフォーム「MyRefer(MyTalent Refer)」を立ち上げ、「リファラル採用」の概念を日本に広める。その後、株式会社TalentXを設立し、代表取締役社長CEOに就任。現在は、タレントアクイジション(持続可能な優秀人財の獲得)を実現するAIネイティブな統合型タレントアクイジションプラットフォーム「MyTalent Platform」を展開。2025年、東証グロース市場へ上場。著書『戦わない採用 | リファラル採用のすべて』
齋田 一般的なSIer(ITシステム構築企業)であれば何かしらのプロダクトを保有しており、そのプロダクトでお客様の課題を解決することも1つのソリューションです。我々もBtoBのプロダクトを持っていて、それによるソリューション提供も当然行います。しかし、派遣契約であれ業務請負や受託開発であれ、共に仕事をする中でお客様の課題が見えてくると我々は考えています。
また、この課題は「個人で解決できる」「チームで解決できる」「会社として解決できる」という3つのレベルに分かれます。その中で我々は、個人で解決できるレベルを非常に重視しています。個人で課題を解決できるレベルで成果を積み重ねていけば、いずれはチームで解決できるレベルの課題、ひいては会社として解決できるレベルの課題の解決を依頼していただけるようになるからです。
ただ、レベルが上がるにつれ、受託の規模は大きくなり、要件レベルも高くなっていきます。当社として解決できるレベルになったらコンサルティング・パートナーズ社が担い、チームで解決できるレベルであればコンサルティング・パートナーズ社または他の社内カンパニーが担います。一方、個人で解決できるレベルであれば、オンサイト(常駐)のエンジニア1人ひとりが担います。
いわゆるコンサルティングファームは、経営課題から下りてくるトップダウンのアプローチをとりますが、我々は現場の課題から上がっていくボトムアップのアプローチをメインとしています。この点は当社の強みであり特徴だと思います。
鈴木 エンジニアの方が個人で課題を解決する中でお客様の信頼を獲得し、さらに大きな課題の解決を依頼される点が御社の優位性になっているのですね。そうした事業を推進するために人材ポートフォリオを変えていくとなると、採用においてはコンサルティングファームや事業会社と競合になることが増えるかと思います。その中で採用競争力を高めて勝っていくために、御社はどのような取り組みをされているでしょうか。
齋田 勝っていくというよりは、むしろ「協働・共創していく」選択をしています。たとえばコンサルティングファームにとって、我々のようなビジネス形態は自社にない領域であるため、彼らから必要とされています。また、我々もコンサルティングファームと組みたいと考えています。そのため、現在は大手コンサルティングファーム様と育成や営業活動を共に行うなど、争うのではなく「協働・共創」を選択しています。
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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...
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鈴木 貴史(スズキ タカフミ)
株式会社TalentX(旧・株式会社MyRefer) 代表取締役社長 CEO。2012年、新卒にてインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。IT領域の中途採用支援に従事した後、1億円の社内資金調達の元、リファラル採用の概念を日本に提唱しMyReferを創業。最年少にてコーポレートベンチャーを立ち上げ、転職サイトや人材紹介に変わる新たなHRTechサービス『MyRefer』をリリース。2018年、更なる事業拡大を目指しMBOを実施し、株式会社MyRefer ...
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