気づいたら底上げが急務だった
――UXブートキャンプの話に入る前に、サービスデザイン部のお仕事について、教えていただけますか。
サービスデザイン部の主な仕事は、UXデザインという考え方や手法を使って、サービスをデザインすることです。UXデザインのケイパビリティ(能力)を持った専門家集団ですね。
場合によってはビジネス設計にも関与しながら、プロダクトのユーザー体験を設計していきます。具体的には、ユーザーを理解するためのカスタマージャーニーマップ[1]を作ったり、ユーザーリサーチを行ったり、プロダクトの画面設計やワイヤーフレームと呼ばれる(画面の)プロトタイプを作ったりしています。
サービスデザインの業務を行っているメンバーは約70名。デザイナーやコーダー[2]といったパートナーさんも含めると、100名規模の組織になっています。また、各事業会社にもサービスデザインに関わる業務をしているメンバーがおり、リクルートテクノロジーズに兼務がついているため、そこも含めると200名ほどの組織となっています。
――かなり大規模な組織なんですね。では、UXブートキャンプのような教育プログラムを立ち上げた背景をお聞かせください。
リクルートのWebサービスが急拡大する中で、2014年の後半からサービスデザイン部の組織も急速に規模が大きくなっていきました。10年前には10人ほどしかいなかったのに、気づけば100名です。UXデザインという広い領域を担当するため、マーケティングリサーチ、ブランド、クリエイティブディレクターなど、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが入社しました。
ただ、そうして人数が急増している間に問題も出てきました。メンバーの技量に偏りが見られたり、メンバー間の専門性が異なるがゆえにコミュニケーションが難しくなったりしていたのです。事業サービスに対して一定の品質レベルで価値を出していかなければならない中で、「専門にかかわらず、サービスデザインの業務に当たる際に必ず持っておきたい共通知や、弊社でのエンハンスの基本を学べる、そうした共通の教育プログラムがメンバーに必要だ」ということで検討を始め、2年前からUXブートキャンプをスタートさせました。
――UXブートキャンプは新しくサービスデザイン部に入った方が受講されるのですか。
そうですね。新卒で我々の部署に入ってくるメンバーは全員受けていますし、中途入社のメンバーも必要に応じて受講してもらっています。もともとは部内メンバーの育成が目的だったので、サービスデザイン部の既存メンバーに対する教育プログラムとして作っているのですが、リクルートの事業サービス担当部署のメンバーからも受講したいという声があったので、今ではそちらに対する講義も実施しています。
現在は、今年入社した新卒メンバーと、グループ会社であるリクルートコミュニケーションズのアートディレクターを対象に、第6期を実施し終えたところです。さっそく、10月から始まる第7期の準備も始めています。
注
[1]: ユーザーが何かしらの目的・ゴール(ECサイトで商品を購入するなど)に達するまでに想定される一連の行動や思考、感情の変化を、時系列でまとめた図。
[2]: HTMLやCSS、JavaScriptなどのコードを書く人。