雇用市場におけるデータサイエンティストの不足の問題は、企業にとって深刻な問題である。その困難な状況下、データサイエンティスト職の採用と定着に成功しているのが、就職や転職時に気になる企業の「社員クチコミ」情報を集めたサイト「Vorkers」を運営する株式会社ヴォーカーズだ。同社がそのポテンシャルを見込んで採用した本多雄太朗氏(同社 データ・サイエンティスト)は、2017年4月に入社後、5名のチームを率いるリーダーに成長した。未経験からデータサイエンティスト職のキャリア形成をどう進めてきたのか、本多氏とその成長を間近で見てきた同社 広報の恵川理加氏に話を聞いた。
今使えるデータでサービスの改善提案ができる人を求めた
――なぜ、データサイエンティスト職を目指されたのでしょうか。
本多雄太朗氏(以下、本多):ヴォーカーズは新卒で入社した会社から数えて3社目なのですが、2社目に在職中、会社に蓄積されたテキストデータを何かのサービスに活用できないか試す過程で、自然言語解析への関心を深めたんです。また、機械学習や深層学習などの技術が盛り上がっているのを見て、自分も取り組んでみたいと思っていました。
そこでデータ分析系の職種を探していたところ、エージェントに、データサイエンティスト職で募集しているヴォーカーズを紹介されました。データサイエンティストとしての経験はなかったのですが、大学院まで数学を専攻していた自分には、エンジニアより向いているのではないかと考えて応募しました。
ただ、データサイエンティストとしての内定オファーは、ヴォーカーズを含めて複数社からいただいていました。
九州大学大学院 数理学府数理学専攻修士課程修了。大学院では整数論という分野を研究。修了後は日立製作所、医療系ITベンチャー企業を経て2017年4月にヴォーカーズへ入社。入社後は、数学の知識やこれまでの経験を生かしてKPIレポートの作成や評価スコア算出アルゴリズムの改善、機械学習のプロジェクトを担当。
――その中で、ヴォーカーズを選んだ理由は?
本多:これまでの業務経験を通して、Vorkersが社会的に必要であることを強く認識したからです。ヴォーカーズに入社までに2社経験していますが、最初の会社が知名度も人気もある大企業だったのに対し、2社目は従業員数200名程度と規模が小さな会社でした。評判は最初の会社に比べると高くありませんが、新しい技術に積極的で、技術者としてやりがいをもって働けたのは2社目の会社だったのです。周りに最新の技術を貪欲に活用するエンジニアが多く、刺激的な環境でした。このようなことは実際に働いてみないとわかりません。働く立場から見た会社の内情を明らかにするサービスが必要と考え、そんなサービスを提供しているヴォーカーズに貢献したいと思いました。
――ヴォーカーズとして、未経験だった当時の本多氏の採用に踏み切ったのは、何が決め手だったのでしょうか。
恵川理加氏(以下、恵川):当時のヴォーカーズは、提供しているサービスを継続的に改善するために必要な社内データ基盤が整備されたばかりでした。データサイエンティストとしての経験者を探していたのですが、技術的な経験は必須の条件ではありませんでした。それは、どんなに技術的な経験が豊富でも、データをどうサービスの改善に使えるかを考え、一緒にサービスの質を高めてもらうことができなければ、チームの即戦力にならないからです。新しい技術をただ追いかけるよりも、今使えるデータで、サービスを良くする提案ができる人を重視していました。
私どもも多くの候補者と面談を重ねましたが、技術に加えてビジネスに関する課題設定ができるバランス感覚がある人が意外に少ないのです。本多の場合、独学で勉強を進め、実際に統計解析を自分でやってみた経験があり、サービスに関する提案が可能な人物と評価しました。
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市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向け...
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビ...
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