IPアドレス
一言でいうと
TCP/IPで通信相手を識別するための32ビットのアドレス。
試験のポイント
- CCENT試験で最重要項目の1つです。
- IPアドレスがどのような特徴を持っているかをしっかりと把握しておきましょう。
- IPアドレスのうちネットワーク部分とホスト部分をどのようにして識別するかを把握しておきましょう。
- ネットワーク部分とホスト部分の区別を明示するサブネットマスクの特徴をしっかりと理解しておきましょう。
IPアドレスとは
IPアドレスとは、TCP/IPにおいて通信相手となるホストを識別するための識別情報です。TCP/IPの通信を行うときのデータには、IPヘッダを付加してIPパケットとします。IPヘッダには、宛先IPアドレスと送信元IPアドレスを指定しなければいけません。TCP/IPの通信では、IPアドレスを必ず指定しなければいけないということに注意してください[1]。
IPアドレスは、ホストを識別するための情報ですが、設定するときにはイーサネットなどのインタフェースに関連付けて設定します。IPのプロトコルはホストのOSで動作しています。そして、ホスト内部でインタフェースとIPのプロトコル部分を関連付けて、IPアドレスを設定しているようなイメージで考えてください。
イーサネットのインタフェースはMACアドレスで特定します。一方、ホストはIPアドレスで特定します。ホストへデータ(IPパケット)を送り届けるためには、イーサネットインタフェースまで転送しなければいけません。そこで、IPアドレスとMACアドレスを関連付ける必要があります。IPアドレスとMACアドレスの関連付けは、ARP[2]で行っています。
IPアドレスの表記
IPアドレスは32ビットなので[3]、0
と1
が32個並ぶことになります。ビットの羅列は人間にとってわかりづらいので、8ビットずつ10進数に変換して.
(ピリオド)で区切って表記します。8ビットの10進数は0~255なので、0~255の数字を.
で区切って4つ並べたものが、IPアドレスの一般的な表記です[4]。
通信の用途とIPアドレス
IPアドレスはさまざまな観点から分類できます。分類の観点の1つが「通信の用途」です。通信の用途として次の3つがあります。
- ユニキャスト
- ブロードキャスト
- マルチキャスト
ユニキャストは1対1の通信です。ブロードキャストは、同一ネットワーク上のすべてのホストへ一括してデータを送信する通信です。そして、マルチキャストは、特定のグループに含まれる複数のホストへ一括してデータを送信する通信です。特定のグループには、例えば「同じアプリケーションを動作させているホスト」などがあります。
ユニキャストの通信をするときには、ユニキャストのIPアドレスを宛先IPアドレスに指定します。PCやサーバ、ルータなどTCP/IPの通信を行う機器に設定するIPアドレスは、すべてユニキャストのIPアドレスです。一方、ブロードキャストの通信をするときには、ブロードキャストのIPアドレスを宛先IPアドレスに指定します。同様に、マルチキャストの通信をするときには、マルチキャストのIPアドレスを宛先IPアドレスに指定します。なお、送信元のIPアドレスは必ずユニキャストのIPアドレスです。
ユニキャストIPアドレスの構成
PCなどTCP/IPの通信を行う機器に設定するIPアドレスは、ユニキャストIPアドレスです。TCP/IPの通信の大部分はユニキャスト通信です。そのため、ユニキャストIPアドレスをしっかりと理解することが重要です。以降では、単に「IPアドレス」と表記しているときは、ユニキャストIPアドレスだと考えてください。
IPアドレスは、ネットワークアドレスとホストアドレスという2つの部分から構成されています。社内ネットワークやインターネットなどは、複数のネットワークがルータまたはレイヤ3スイッチで相互接続されています。IPアドレスのネットワークアドレスでネットワークを識別し、ホストアドレスでネットワーク内のホスト(のインタフェース)を識別します。
注
[1]: アプリケーションを利用するユーザには、IPアドレスを指定しているということを意識させないようにしています。そのために、主にDNSを利用します。
[3]: IPにはIPv4とIPv6があります。今回はIPv4のみを取り上げます。
[4]: 映画やTVドラマなどで、256以上の数字を使うなどの誤ったIPアドレスの表記をよく見かけます。映画やTVドラマの制作時には、IPアドレスの表記の正確さをあまり気にしないのでしょうか……。