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インタビュー | 海外拠点での人材登用

創業3年でアジア全域に展開した急成長ベンチャーの現地採用の手法とは――AnyMind Group 小堤音彦氏

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 グローバル・ベンチャー企業として驚異的なスピード感をもって展開しているのが、AnyMind Groupだ。2016年4月、創業者2人でシンガポールで立ち上げ。その後、わずか3年で東南アジアから中国、台湾、日本などアジア圏を網羅するグローバル企業に成長した。そのスピードを支えているのが、自社のカルチャーを軸にしながら、各国の拠点に根ざした積極的な人材採用だ。AnyMind Group共同創業者 兼COOの小堤音彦氏に、各国ごとに優秀な人材を採用し続けるための仕組み作りや、それを支える同社の企業文化について伺った。

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現地採用のHR専任者を前に立てて優秀な人材をリクルーティング

――大変な勢いで拠点と社員数を増やしていると伺いました。いま、どれくらいの規模になっているのですか。

 ちょうど今年の3月中旬にタイで新たに買収した会社があって、それを含めて450名を超えました。創業から1年目の2016年末で70名程度、2年目に200名、3年目に300名後半に達して、2019年4月末で現在の人数です。最初は十河(宏輔氏。AnyMind Group共同創業者 兼 CEO)と2人だけでしたから、たしかにかなり早いペースだと思います。

小堤 音彦氏
小堤 音彦(こづつみ おとひこ)氏
AnyMind Group共同創業者 兼 COO。
慶応義塾大学総合政策学部卒。スマートフォンのアドネットワークを運営するノボットを経てMicroAd VietnamのCOOに就任。ベトナム・シンガポール・タイの各拠点を牽引した。2016年4月、CEO十河 宏輔とシンガポールでAnyMind Groupの前身となるAdAsia Holdingsを設立し、現職。

――シンガポールで創業されて、現在もアジアの各地に拠点を増やしつつあるとのことですが、やはり社員も日本人にこだわらず採用されているわけですか。

 はい。最初に加わってもらったのは、起業前から交流があり、当社の理念などを理解してくれた人たちです。主に広告運用周りの担当者でした。起業直後はとにかく人が足りないということで、社内の人間の知り合いを紹介してもらう、いわゆるリファラルで良さそうな人材を集めていきました。

 ただ、それだけだと広がっていかないので、次にHR専任者を雇いました。彼らはLinkedInなどを使い、当社のカルチャーに合いそうな人に絞って優秀な層を獲得してくれました。こういう具合で、最初から日本人に限るといった発想はまったくなく、当社のカルチャーにあった優秀な人材であればどんどん入れていくという方針でした。

―― HR専任者というのも、各拠点の現地の方ですか。

 基本的に、現地の人にカントリーマネージャーになってもらい、採用を進める方法をとっています。初期の採用方法はリファラルとジョブボードの活用だったこともあり、その国のビジネスや地域の人脈に通じていないと務まりません。

 そもそも、創業したばかりのベンチャー企業なんて、みんな「入って大丈夫?」と思っています。だから、現地人のカントリーマネージャーは非常に重要な存在でした。2016~2017年にかけて一気に人数を増やせたのも、こうしたHR専任者を通じて、優秀な人材にフォーカスしてリクルーティングできたからです。

――人材にもいろいろな職種がありますが、エンジニアの採用はどのようにしていますか。

 現在、AnyMind Groupには大きく3つのカンパニーがあり、「デジタルマーケティングや広告」「インフルエンサーマーケティング」「HR Tech」の事業をそれぞれ展開しています。また、テクノロジー専門のエンジニアチームがバンコクにおり、10か国を超える国籍の多様なメンバーが在籍しています。日本人のほか、ベトナム、ウクライナ、カザフスタン、キューバ、台湾、スペインなどの多国籍チームです。

 エンジニアの採用も、これまではカントリーマネージャーが担ってきましたが、専門の採用チームを組織して、最近ではイベント出展を活用した人材獲得などにもチャレンジしています。2018年には、ウクライナでAI系の展示会に出展したのですが、そこに応募してきた技術者の中から採用され、バンコクの技術チームに加わった人もいます。

――一般に、人を増やすのはビジネスが成長し始めてからと考えがちですが、AnyMind Groupはビジネスが広がる前にまず人を集めてきた印象を受けます。このねらいは何でしょう。

 一番は、十河も私も「人が大事」という考えを重視しているからです。各国の拠点を立ち上げた際、何より先にカントリーマネージャーが着手したのも採用です。とはいえ、1人でできることは限られているので、当社のカルチャーを共有できて優れた能力の持ち主を探す点に絞って、全力で取り組んでもらいました。このとき一緒に人材獲得に奔走した仲間は、今も会社のコアメンバーとして残り、重要なポストについています。そういう意味で、やはり最初のメンバーをきちんと見極めて選ぶことは大切だし、そうやって仲間になってもらった「人」は、何より大切な会社の原動力になると確信しています。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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