最終面接と内定出し以外は請け負う
――御社の採用代行サービスについて概要を教えていただけますか。
基本的に、最終面接以外のすべての採用に関わる業務を代行できるというのが、弊社のサービスの特徴です。応募者の書類選考や1次面接、面接の日程調整、合否連絡、スカウトといった作業を代行しています。中でも最も多いのは、面接や社内会議などの業務に日々追われてしまっている企業様に代わって、応募から1次面接の日程調整までの一連の業務を、我々の採用業務専門の事務センターが行うというものです。
採用方法が定まっていない企業様には、人材紹介、求人広告、ダイレクトリクルーティングなどの様々な手法の中から最適な手法をご提案することも行っています。また、「この職種の募集をエン・ジャパンでやりたい」という要望があれば、我々が窓口となって媒体社と連携を取り、媒体の選定から発注の代行まで請け負うケースもありますね。
――採用に関わるほぼすべてを代行しているのですね。
そうですね。本来、採用業務は、別の業務と兼務できるほど簡単ではないと思っています。採用業務を専任で行う人員を社内に配置し、自社に適切な採用手法や広告の打ち出しを研究していかないと、求めるターゲット人材はなかなか集まりません。
しかし、採用は景況感にも左右される局面が多く、経営層としては専任の人員を配置することに抵抗があるのが現実です。我々は、そうした企業様に対して「採用部」の代行サービスとして、企業様には最終面接と内定出しだけをしていただければよい環境を提供していきたいと考えています。
――書類選考やスカウトの前に、募集情報などを周知させる必要があると思いますが、そのあたりの代行は?
はい、そこも弊社でやっています。弊社内には制作部隊があり、取材から原稿制作も含めて対応しています。さらに、企業様の魅力をどのように打ち出すか、どうPRしていくかまで含めた採用戦略の立案・実行まで行うこともあります。
――企業によって依頼の内容に傾向はあるのでしょうか。
採用代行を利用したことがある企業様だと、外部に出したい業務というものがすでに定まっており、後は費用感だけ教えて、というケースが多いように感じます。ただ、昨今は採用代行の認知度が高まってきており、初めて採用代行を検討される企業様ですと、応募者の集客方法から相談をいただく傾向が強いと思います。また、「採用責任者はいるけれども、実務をする人がいない」というケースでは、面接の日程調整など、管理・事務作業だけをアウトソーシングされる場合が多いです。
逆に「採用責任者が辞めていなくなってしまったけれども、実務をする人はいる」というパターンもあります。この場合は、採用戦略の策定から加わって、現場への指示出しまで行ったりもしています。
――つまり、採用活動の実務だけを代行するパターンと、戦略立案から採用すべてを支援するパターンがある。
全てを支援するパターンは、スタートアップ系のベンチャー企業様や、人事担当者が何かを兼務しているような中小の企業様が多いですね。実務面だけを代行するのは大手の企業様が多いです。
最近では、大手企業様でこれまで残業でこなしていた業務ができなくなり、一部業務を代行に依頼するケースが一般的になってきています。働き方改革の影響ですね。管理部門から「残業代を抑えてください」とお達しが来ているようです。
――中小企業には、厳しい採用状況を克服するため、採用マーケティングなど新しい手法に取り組みたいが、どうしたらよいか分からないという悩みがあると思います。そうした相談を受けることもありますか。
はい、そのようなご相談が増えてきています。特にSNSを使った採用活動や、オウンドメディアを使った採用活動、ダイレクトリクルーティングに関するご相談は多いです。
――ちなみに、新卒採用と中途採用で依頼の内容は異なるのでしょうか。
依頼の内容はほぼ同じですが、新卒採用では企業説明会を開催しなければならないため、その代行の依頼が増えています。あとは合同説明会で学生を集めるお手伝いなど、期間限定で学生と接点を持つコアな業務の代行も多いですね。
――学生の集客は難しいですからね。どこからアプローチしてよいのか分からない企業も多いと思います。
合同説明会での集客では、やはり学生と年齢の近い社員が話しかけたほうが学生の反応が良かったりするのですが、人事部内に若い社員がいない企業様もあります。そうした場合に弊社をご利用になるケースがあります。また、面接などの業務が入ってしまい合同説明会の会場に社員が行けない企業様が、弊社を利用されることもあります。
――採用代行を通年で利用するケースもあるのですか。
はい。採用業務は完全にプロに任せたい、と思っていただける企業様は年々増えてきています。採用のノウハウをゼロから社内で学ぶよりも外部に委託するほうが負担がかかりませんし、精度も高い。「結果、採用単価が下がるね」という考えを持つ企業様も増えています。また、新卒採用の通年化が進行していることも、1年を通してアウトソーシングする企業様を増やす背景になっています。