400名のメンバーをオンラインで束ねるニット
――まずはニット社の事業概要を教えてください。
我々は、人事・経理・営業事務など、企業のバックオフィス業務の生産性向上に貢献するために、バックオフィス業務支援サービス「HELP YOU」を提供しています。具体的には、社内外さまざまな書類作成・経費整理・求人の応募者管理・採用計画補助・営業資料の作成・ECの商品登録・SNSの運用サポートなど、さまざまな業務を請け負っています。それらの業務を実際に行っているのは、日本全国・世界33か国に広がる400名のメンバーです。
――そのうち社員は何名なのですか。
13名です。それ以外はすべてフリーランスの業務委託のメンバーですね。業務委託とはいえ、すべての方と面接をしていて、採用率は1%です。コロナ禍以前も、在宅の仕事といえば、エンジニアやデザイナーくらいしか一般的ではなかったので、バックオフィス業務全般を扱っている弊社には、すごくたくさんの応募をいただいていたんです。コロナ禍に入ってからは、もちろん増えていますが。
――副業の方も多いのでしょうか。
ほとんどが副業だと思いますね。ニットの仕事が本業で、別に副業をされている方もいると思いますし、その逆も。人によって、さまざまだと思いますが、3〜4つの仕事を掛け持ちしている方はたくさんいらっしゃいます。
――世界各国で御社の仕事をされている方は、みな日本人ですか。
ええ、我々のお客様は日本法人がほとんどなので。弊社で働く理由は「夫が現地の人で、結婚して海外に渡ります」「夫の転勤で駐在妻になったけれど、現地には自分にできる仕事がない」といったことが多いですね。そのため、400名のうち85%は女性で、既婚者が7〜8割を占めていると思います。
――その傾向は日本国内でも同じ?
そうですね。「地方で家の近くに仕事がない」「子どもの近くで仕事をしたい」「介護で頻繁に地元に帰る必要がある」といった感じで、ライフスタイルに合わせて、どこでも働けるところに魅力を感じていただいているようです。
――なるほど。面接もオンラインなのでしょうか。
はい。すべてオンラインです。ただ、相当数の応募があるので、事前にPowerPoint・Word・Excelの課題を提出してもらって、最低限そこをクリアした方の面接を1〜2回しています。
――そうすると、御社に対する帰属意識を醸成するのは、極めて難しいですよね。でも、それがないと仕事の質が下がってしまいそうです。
おっしゃるとおりですね。彼らの仕事が我々のサービスそのものなので、「ニットの一員として仕事をしている」という帰属意識を持ってもらうことはとても大切です。そのために我々社員は、オンラインでいかに彼らのモチベーションを高めてもらえるか、自己重要感を高めていくか、ニットで働く意義を感じてもらうか、といったチャレンジをしています。