レバテックキャリアは、2019年から2020年に新規登録された求職者データをもとに、2020年のITエンジニアの転職市場について動向調査を実施し、「ITエンジニア転職市場総まとめ2020」を発表した。調査期間は2019年1月1日~10月31日と、2020年1月1日~10月31日。
レバテックキャリア登録者の年齢層を見ると、20代が全体の55.8%を占めている。特に20~24歳は昨対比で5.8ポイント上昇している。その一方で、30代の割合は昨対比で約8.5ポイント減少している。20代と比較して家庭を持っている人の比率が高い30代はコロナ禍で経済の先行きが不明瞭な中、転職に対してより慎重であることが推測される。
スキル別で見ると、JavaをメインスキルとするITエンジニアが62.5%を占めている。コロナ禍で緊急事態宣言が発動された4月以降、Javaが広く使用されているエンタープライズ向けのシステムへの投資が2019年に比べて大きく縮小した。そのため、案件が終了となったJava人材が集中的に市場に流出したことが考えられる。
「初めて転職活動をする」人の割合を見ると、2019年と比較して5.5ポイント減少している。初めて転職に乗り出す人が、いったん市場動向を見守る姿勢に入ったことが影響していると言える。実際にレバテックキャリアでは、サービスに登録したものの、3か月〜6か月後の時期先に転職を考えているという求職者が増えており、市場全体の動きが慎重になったと考えられる。
転職理由のトップは昨年に引き続き「キャリアアップ」で39.1%を占めている。次いで「仕事内容への不満」20.0%、「収入が少なかったから」11.3%という結果となった。「キャリアアップ」がトップになった背景には、SNSの普及などによりIT業界全体の解像度が高くなったことが考えられる。ITエンジニアは他社や業界全体の情報を仕入れるチャンネルが増え、以前と比べてより細かいキャリアイメージが立てられるようになった。
倒産やリストラなどのやむを得ない理由で転職を検討している人のうち、20代が4.9ポイント、40代が7.3ポイントと、それぞれ割合が拡大したという結果となった。コロナ禍によって企業が人件費削減の動きをとり、経験の浅い若手と比較的に年齢層の高いエンジニアが転職を迫られる状況になっている。
求職者が転職先選びで優先するものは「スキルアップ」が58.4%ともっとも多く、昨対比で2.1ポイント上昇した。また、「収入アップ」を求める人が2.4%上昇している。コロナ禍を機に今までのキャリアを見直し、より高収入につながるようなキャリアパスを目指すITエンジニアが増加したと推測できる。