総合人材サービスのマンパワーグループは、民間企業の人事担当者400名を対象に、「HR Tech導入と運用状況の調査」を実施し、結果を発表した。調査期間は2021年1月14日~18日で、有効回答数は400名。
HR Tech導入に関しては、全体の約2割が「導入している」(17.3%)と回答した。従業員数の規模別で導入率を見ると、「100人以下」の企業は(6.5%)、「101〜500人以下」の企業は(12.2%)、「501人以上」の企業は(30.8%)という結果となった。従業員規模が大きいほど導入率が高くなる傾向があり、「100人以下」の企業は1割弱、「501人以上」の企業では3割超と、導入率に開きがあることが分かった。
HR Tech導入のメリットについては、「定量的なデータに基づく評価ができる」(66.7%)、「効率よく業務を行える」(62.3%)が上位を占めた。また、「適正マッチングにより早期退職を防止できる」(42.0%)、「適材適所に人材配置できる」(37.7%)といった採用時のミスマッチを防ぐメリットや適材適所での活躍を促進できるメリットを感じている人も4割前後いる。「スキルなどが可視化できるようになり、戦略的な人事配置が可能になった」(男性・43歳)、「業務が効率化でき、求人応募者への対応を忘れるなどのミスもなくなった」(女性・29歳)などの実際の声も挙がった。
HR Techを「導入している」と回答した人事担当者に、どのような業務をHR Techで行っているか質問したところ、「人材管理」(73.9%)が最も多く、次いで「労務管理」(71.0%)、「勤怠管理」(69.6%)という結果になった。また、「学習管理」(29.0%)、「福利厚生」(26.1%)についても、2割以上の企業が導入していることが分かった。
全体的に見ると企業のHR Techの導入が進んでいるものの、従業員規模別でみた場合、実際に導入しているのは大規模企業に偏っていることが分かった。その上で同社は、「中小規模の企業では『どのような領域で、何を目的に、どうHR Techを活用するのか』をより明確にすることで、導入を検討する余地があるといえる。中小規模の企業向けに、ITツール導入費用を支援する『IT導入補助金』などの施策が行われているため、今後このような施策を活用した、業務デジタル化の一環として、中小規模の企業でもHR Techの活用が想定される」と述べている。