Works Human Intelligence(ワークスHI)は、従業員規模500名以上の企業の経営者・役員および人事・教育担当者の計1075名を対象に、「人的資本」に関する意識調査を実施し、結果を発表した。調査期間は2021年5月7日~5月10日。
経営戦略において「人的資本」を重要視する潮流があることを知っていたか尋ねたところ、全体の66.4%が「知っている(詳しく知っている/少し知っている)」と回答。また、属性別に見ると、役員・経営者の「知っている」人の割合(73.8%)のほうが、人事・教育担当者(62.1%)より10ポイント以上高いという結果だった。国内でもすでに「人的資本経営」の考え方が広がっており、特に役員・経営者のほうが「人的資本」への意識が高いことがうかがえる。
所属企業において「経営戦略」と「人事戦略」が連動しているか聞いたところ、57.5%が「連動している」「ある程度連動している」と回答した。国内でも経営戦略と人事戦略の連動は新たな潮流として浸透しつつあることがうかがえる結果となった。
人的資本の価値向上に向け検討または実施している取り組みを聞いたところ、「従業員満足度調査」や「従業員の自主的な学びの支援」を実施・検討している企業は半数を超えた一方で、「CHO/CHROの配置」や「HRテクノロジーによる異なる部署間のデータの一元管理」についてはそれぞれ1割程度にとどまった。人材価値向上への取り組みは進んでいるものの、その価値を可視化し、開示するのに重要とされるテクノロジー活用や経営体制が敷かれている企業はまだ少ないことがうかがえる。
ISO 30414の11領域のうち、「指標化を実施している」と回答した人が多かったのは、1位「コンプライアンスと倫理」、2位「人件費」、3位「採用、異動、離職」で、いずれも4割を超えていた。また、少なかった項目としては「後継者育成計画」21.4%、「リーダーシップ」23.3%という結果だった。各項目の指標化について、ある程度進んでいるものもあるが、いずれも半数以下にとどまっている。人的資本価値の可視化を行うためには、まず指標化(数値化)から始める必要があるといえる。
今後、人的資本開示を「積極的に行っていく」「おそらく積極的に行っていく」という回答が合わせて46.4%と半数近くになった。このことから、今後は国内でも人的資本開示への意識はますます高まっていくことが予想される。