リクルートは、「リクルートエージェント」の転職データと各業界に精通したコンサルタントの知見をもとに、主要業界の求人・求職者の動きを伝えるレポートを公開した。新型コロナウイルス感染症の拡大に備える改正特別措置法に基づいた初の緊急事態宣言から1年以上が経過し、転職市場がどう変化しているのか、5月取材時の情報をもとに、転職市場の現状を多様な領域担当の視座に立ってレポートしている。
15業界のサマリーは次のとおり。
- IT通信
- 求人はコロナ禍前水準に回復し今後も増加。未経験採用も復活し企業は人材確保に注力。求職者側は今まで以上に企業選びがシビアに。経営層の本気度が試される。
- コンサルティング
- 第二新卒・未経験者採用も再開し採用は活発に。管理部門採用も増加し、幅広い職種でチャンスが広がる。引き続きIT人材のニーズは非常に高く、未経験からの育成の動きも。
- インターネット
- 求人はコロナ禍前水準を超えるまでに伸長。デジタル人材の争奪戦は一層過熱。求職者は働き方の価値観が多様に。フルリモート・UIターン・兼業などへの関心が高まる。
- 自動車
- ITエンジニアのニーズは依然として高い。CASEの「E」へ注力の動き。個人側も技術・スキルのキャッチアップが必要。変化に耐えうるキャリア構築を。
- 総合電機・半導体・電子部品
- ハードからソフトへの変化は加速。企業のブランディングにも課題。求職者側は半導体業界に応募が集まる。求人も多い今年度は検討のチャンス。
- 環境・エネルギー/サステナビリティ
- サステナビリティ関連求人ニーズが急増。ターゲットは少なく争奪戦に。求職者側は業界や職種の越境が増え、公共セクターから民間へ転職する動きも。
- 化学
- 半導体、ライフサイエンス関連の求人は特に活発。DX/環境に関する求人は今後増加。求職者に選ばれる企業とは何かが問われる。
- 医療・医薬・バイオ
- CROは採用増。外資やベンチャーからの受託が増えている。バイオ領域も活発に採用。求職者側は企業規模関係なく、事業の将来性で比較。将来身につくスキルを重視。
- 建設・不動産
- ほぼコロナ禍前水準に求人は回復。一部ポテンシャル採用再開の動きも。求職者はUIターン希望者が徐々に増えている。社会貢献志向も強まる。
- 銀行・証券
- 銀行・証券ともに過去最高レベルの求人数であり、採用活動は活発。SDGsへの対応が急務、関連する職種のニーズも高い。
- 生保・損保
- 営業・エンジニアを中心に金融専門職・本社系ポジションまで幅広く採用(生保)。デジタル関連の組織立ち上げに伴う求人が活発に(損保)。
- 消費財・総合商社
- 採用は止めず、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えたポジションの確保に注力。IT・デジタル人材の獲得が急がれる。求職者ニーズに合わせた魅力訴求が必要。
- 外食・店舗型サービス
- 社会の変化に合わせ、事業や戦略を柔軟にスピーディに変えられるかがポイント。変化対応ができている企業には応募が集まり、採用職種にも広がりがみられる。
- 人材・教育
- 人材業界の採用は活発。教育はリカレントや海外展開など新規事業系求人が出始める。
- ベンチャー領域
- SaaS系・大学発ベンチャーの動きが活発。海外動向に精通した人材も求められるように。