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LPI-Japan テクノロジー・ディレクター 和田真輝氏 インタビュー(AD)

HTML5プロフェッショナル認定資格がIT技術者・非技術者を問わず就職・転職に効く理由と背景とは

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HTML5のスキルが有望なのは技術者も非技術者も同じ

――業務システム開発者がHTML5を学ぶメリットは何でしょうか。

和田:一番大きいのは「業務の幅の広がり」です。HTML5では、これまでサーバーサイドで行っていた処理をクライアントで行う機能も備えています。また、IoT(モノのインターネット)やVR(バーチャルリアリティ)、ゲームアプリといった領域まで手がけられるようになります。逆に言えば、これからはHTML5の習熟度が、IT技術者にとって大きな差別化要因となり得ます。

 たとえば、業務システム開発者を多数擁する、あるSI企業では、HTML5で業務Webシステムを開発するプラットフォームを提供しています。これは会社自らツールを提供して、クライアントサイドの開発を効率化するとともに、サーバーサイドが主体だった自社の技術者のスキルをクライアントサイドに広げているのだと思います。このほか、インフラ技術者にHTML5の学習を奨励している例もあります。

――業務システムの開発環境の変化なども影響しているのでしょうか。

和田:開発の短期化の影響はかなり大きいですね。1人あたりが手がける仕事の量も、非常に増えてきています。アジャイル開発となると、いちいち開発を外注していてはタイムロスが大きいし、意思疎通も難しい。そこでサーバーサイドが担当であっても、開発者が自分でクライアントサイドのユーザーインターフェイスまで作るようになっています。

 また、DevOps(デブオプス)に取り組む現場が広がっていることも大きく影響しています。ユーザーから届くフィードバックのうち、クライアントサイドに関するものでも、他の担当者に依頼するより自分でシステムに反映してしまうほうが効率が良いのです。こうした変化を肌で感じ、「HTML5を勉強しないと」というサーバーサイドの開発者がいま増えています。

――逆に、Webディレクターやプランナーといった技術者以外の人がHTML5を学ぶことで、ビジネススキルが広がる可能性はありますか。

和田:はい、Webディレクターやプランナーといった技術者以外の人がHTML5を学ぶことで、ビジネススキルが大きく広がると考えています。LPI-Japanでは3月1日に、HTML5プロフェッショナル認定資格(以下、HTML5認定資格)のVer2.0として、出題範囲改定を実施する予定です(資料PDF)。

 HTML5認定資格レベル1におけるバージョンアップには、「Webディレクターに新しいHTML5の知識を身につけてもらう」というねらいがあります。Web技術も、それらを利用する市場のニーズも急速に変化する中で、プロジェクト管理を担い、顧客との窓口となるディレクターも新しい知識を身につけなくてはなりません。そうして顧客に対して機能やサービスの具体的な提案を行えるとか、社内の技術陣に対して説得力のある提言やコミュニケーションを取れるようになっていただきたい。非技術者にとっても、HTML5はビジネスのスキルを大きく向上させる可能性があるのです。

 そもそも、LPI-JapanがHTML5認定試験を立ち上げたねらいは、サーバー、クライアントのどちらもできる人材を育てることにありました。Webに関してデザインだけ、HTMLコーディングだけ、サーバーサイドプログラミングだけというのではなく、両方を担当できるスキルを身につけた人材となることで、本人はもちろん、この人たちを採用する企業にも新たな価値がもたらされ、それが差別化や優位性につながります。

「サーバーサイドとクライアントサイドの間にあったスキルの境が曖昧になり、相互に人材の移動が起こっています」(和田氏)
「サーバーサイドとクライアントサイドの間にあったスキルの境が曖昧になり、相互に人材の移動が起こっています」(和田氏)

就職・転職に効くHTML5のスキルってどのくらい?

――HTML5に対する市場ニーズと学習意欲が共に高まっている状況は分かりましたが、実際のところ、システムのHTML5への移行はどれくらい進んでいるのでしょうか。

和田:2016年3月に受験者を対象に行ったアンケート調査の中で、「HTML5プロフェッショナル認定資格の取得に対する何らかのインセンティブがあるか」を尋ねたところ、7割以上の企業が「支援制度がある」と答えました(下図)。これはかなり高い数字です。実際の移行の割合は未確認ですが、企業側に「積極的な人材投資をしてでもHTML5に移行したい」という強い考えがあると言ってよいでしょう。

2016年3月末時点で所属企業が判明する受験者1187名を対象に調査。アンケート取得方法:テストセンターでの受験後アンケートをもとにLPI-Japanにて集計(出典:LPI-Japan [2016年5月16日付プレスリリース](http://html5exam.jp/news/press/page1702.html))
2016年3月末時点で所属企業が判明する受験者1187名を対象に調査。アンケート取得方法:テストセンターでの受験後アンケートをもとにLPI-Japanにて集計(出典:LPI-Japan 2016年5月16日付プレスリリース

――ということは、就職や転職を考える人にとって、より良い条件や選択肢を広げる上で、HTML5のスキルは大きなアドバンテージになりますね。

和田:そうですね。先ほども言いましたが、クライアントだけできる、サーバーだけできるではアピールが難しい。その点、クライアントとサーバー両方ができれば他者との間で明らかな優位性が築けます。

 また、就職採用時に、HTML5認定資格の取得者は書類審査を免除する会社もあります。これから就職しようとする学生や転職希望者には、就職活動の負担を減らす上で、HTML5認定資格は大いに役に立つでしょう。

――そうなるためには、HTML5認定資格に即していうと、どれくらいのスキルが必要ですか。

和田:まず目指すのは、静的Webコンテンツの作成スキルです。これはHTML5認定資格のレベル1で求められるスキルレベルで、Webサイトを始めさまざまな静的コンテンツを作成できる能力です。基本的にレベル1を取れば業務システム系のコンテンツ/インターフェイスは作れると思います。

 しかし、もっとリッチなインターフェイスを持つアプリや、マルチデバイスに対応した動的コンテンツ、端末のセンサー情報を取るなどネイティブアプリと同等の機能を備えたWebアプリを開発するとなると、HTML5認定資格レベル2に相当するスキルが必要になります。また、レベル2では試験範囲にJavaScriptが入ってきます。HTML5、CSSと合わせて、これら3つは必須のセットであり、もちろんHTML5認定資格では全てを包含しています。

 なお、レベル1でもJavaScriptは知識としては必要ですが、コーディングまでは要求されません。

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この記事の著者

市古 明典(資格Zine編集長)(イチゴ アキノリ)

うさぎ化してますが、1972年の子年生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。資...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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