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外国人留学生と教職員の就職意識調査、企業と留学生が求める仕事内容にギャップ―ASIA Link

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 ASIA Linkは、外国人留学生と、彼らが在籍する大学・専門学校・日本語学校の教職員を対象に、日本での就職に関する意識調査を行った。調査期間は2021年7月~8月、回答数は留学生301名[1]、教職員81名。

1. 留学生・教職員が感じる、企業と留学生の認識・希望のギャップ

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 留学生と企業の認識・希望でギャップを感じる点はあるかと尋ねたところ、留学生・教職員ともに、1位は「仕事内容(留学生がやりたい仕事と企業が求める仕事が違う)」であった。割合も留学生・教職員の半数前後が仕事内容にギャップを感じているとの結果になった。留学生の属性別に分析したところ、大学院・専門学校・日本語学校に比べ、学部生(または学部卒)がこの傾向が強いことが分かった。

 2位は「日本語力(留学生の日本語力よりも企業が求める日本語力のほうが高い)」で、留学生については、日本滞在期間が短いほど一般的に日本語力は低いため、「日本語力」のギャップを最も感じているのは日本語学校生との結果になった。一方で、日本語学校生に次いで大学院生も、「日本語力」へのギャップを強く感じているとの結果が出た。教職員については、1位の「仕事内容」とほぼ同率の52%が「日本語力」にギャップを感じていた。職員(キャリアセンターなど)と、教員(日本語教師など)を比較したところ、職員のほうがより多く「日本語力」へのギャップを感じていることが分かった。

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 留学生の3位には、「給与・待遇(留学生が希望する給与・待遇よりも、実際の企業の給与・待遇が低い)」が選ばれた(25%)。一方、教職員のほうは「給与・待遇」を選択したのは留学生の半分以下の12%で、順位も11位中8位となった。留学生を属性別に見てみると、「日本語力」の高さと「給与・待遇」のギャップには相関関係が見られた。「日本語力」が上がるほど(N1に近づくほど)、留学生(元留学生)が現在の給与に不満があり、もっと高い給与を求めていることが分かる。

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 なお、「ジョブホッピング(短い期間でどんどん転職して成長したい留学生と、1社で長く働いてほしい企業との間で考え方が違う)」を選択した留学生は、わずか1割であった。実際に、外国人社員はさまざまな事情で転職をする。しかし、留学生の転職の大半は、キャリアアップのための戦略的なジョブホッピングではなく、現在の職場で働き続けたいのにさまざまな理由でそれが難しくなったケースだ。例えば、母国への海外展開のために採用された留学生が、雇用企業の海外戦略見直しのために母国での事業計画がなくなり、存在意義を失うケースは少なくない。また、採用面接で聞いていた職務内容と入社後の配属が違い、その後も数年に渡って状況が変わらずにやむなく転職に至るケースもある。

2. 留学生が希望する企業と、教職員が留学生に勧めたい企業

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 留学生が希望する企業と、教職員が留学生に勧めたい企業についての質問では、「外国人の強みを活かせる仕事ができる」が留学生・教職員ともに1位となった。割合も7割前後と高い。

 留学生のほうは、2位に「海外に拠点があり、グローバル展開をしている」、3位に「外国人の採用実績がある」が来ていることから、留学生が「グローバルにビジネスを行っていて外国人の採用ニーズおよび実際に外国人の強みを活かせる仕事があり、さらにはすでにそのような外国人社員が活躍していて受け入れ風土ができている企業」を求めていることが分かる。

 留学生の3位(48%)である「外国人の採用実績がある」企業は、教職員では2位(60%)とさらに高い順位となった。外国人の採用実績がある企業は、外国人を受け入れる社風・制度があり、留学生が入社後も安心して活躍できるという期待が、教職員側にも高いということが分かる。

 一方で、「専門性を活かせる仕事ができる」は、留学生・教職員ともにほぼ同率の35%前後で、順位も5位という結果で、これには日本型雇用文化が背景として浮かび上がってくる。専門性に合う職種にこだわりを持っていた留学生も、実際に就職活動を始めると、企業の募集要項にある「全学部全学科応募可」「文系総合職・理系総合職」「営業職・技術職」というざっくりした文言を目にすることになる。留学生側からすると、「専門性を活かしたくない」のではなく、「活かせない」または「活かすことにこだわりすぎてはいけない」という気持ちが、今回のアンケート結果に出ていると考えられる。新人を社内でゼロから丁寧に育成し、複数の部署・職種を経験してもらって幹部候補に育てていく、日本企業の雇用文化の一端が表れていると見ることができるのではないだろうか。

3. 企業の採用選考に対する、留学生・教職員からの要望

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 企業の採用活動に対する要望としては、「留学生が応募可能かどうか求人票に書いてほしい」が1位となり、留学生の2人に1人、教職員に至っては4人に3人がこの選択肢を選んでいる。実際に、文系・理系を問わず一定数の人が、企業応募の際に「留学生は採用していません」と言われた経験を持っている。

 留学生は、上記のような経験をしたり、先輩や友人から同様の話を聞かされたりするうちに、自分が面接で不合格になった際にも、「この企業は外国人社員がいらなかったのではないか」と不安になる傾向がある。その結果、どの企業が留学生ウェルカムなのか、応募の段階で知りたいというニーズが高くなる。このことは、留学生だけでなく教職員の中でも共有されている。ある大学のキャリアセンター職員は、企業が求人票を持って大学へ来校した際の打ち合わせの中で、「留学生も応募できますか」と必ず確認するという。

 留学生・教職員ともに2位になったのは、「SPIなどの適正検査で留学生が不利にならないようにしてほしい」であった。日本語での適性検査・適性試験に苦手意識を持つ留学生は多い。日本人学生であれば、設問の内容への取り組みに集中できるが、日本語がネイティブではない留学生にとっては、日本語が正確に読み取れないと設問にも取り組めない。また、回答時間に制限があるため、日本語の質問読解に時間がかかり時間切れとなることもある。留学生からすると、言葉の壁がなければ解ける内容の設問であるのにもかかわらず、日本人学生よりも日本語の読解に時間がかかってしまうために、本来の実力を評価してもらえていないという悔しさが残ることになる。

 この適性検査での不利解消については、教職員のほうが留学生以上に要望が高い。言葉の壁に影響されすぎない形で、留学生の能力を正当に評価する方法を求めていることが分かる。

 また、「もっと人柄を見てもらえるよう長期インターンシップなどに参加できるようにしてほしい」という要望については、留学生と教職員の間に意識の差が見られた。

 教職員のほうは、専門学校教職員の半数以上が長期インターンシップの機会を求めている。その背景には、専門学校生は大学・大学院生に比べて応募できる求人が少なく、また応募できても書類選考がなかなか通過できないという現実がある。教職員としては少しでも企業と留学生の接点を作りたい、書類ではなく人柄を見てほしいという願いが見て取れるが、留学生、特に専門学校生は16%とインターンシップの要望は低い。

 専門学校の留学生が長期インターンシップに前向きではない理由の一つに、専門学校のカリキュラムがある。専門学校は大学と違い毎日必修授業があるほか、学外のインターンシップが単位として認められないことも多いため、学期中に授業を休んで長期インターンシップに行くのは現実的ではない。一方、夏休みなどの長期休暇中は、多くの留学生が毎日アルバイトをするため、無給のインターンシップに多くの時間を割くことが難しいという本音もうかがえる。

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 文科省は2014年度から、専門学校の「職業実践専門過程」の認定を開始し、専門学校と企業の連携を促している。長期インターンシップの活用も含め、専門学校の留学生にも就職への道筋がさらに開かれることが望まれる。

[1]: 国籍:中国114名、ベトナム44名、台湾21名、韓国14名、インドネシア14名、ミャンマー11名など。

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HRzine編集部(エイチアールジンヘンシュウブ)

労務管理から戦略人事、日常業務からキャリアパス、HRテクノロジーまで、人事部や人事に関わる皆様に役立つ記事(ノウハウ、事例など)やニュースを提供しています。

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