CCNP Data Center v5.0試験とv6.0試験の変更点
CCNP Data Centerはデータセンター技術の導入や設定、管理能力があることを証明する資格。CCNP Data CenterはCCNA Data Centerの上位資格にあたり、認定資格を取得すると、データセンターの設計や実装、管理ソリューションに関する知識や、付随する技術に対する専門知識があることを示せる。関連実務経験5~8年ぐらいのデータセンター担当者に適している。
現在、CCNP Data Center資格を取得するには、現行試験の配信が終了する7月3日まで、2つの試験体系が存在することになる。
- 7月3日までのCCNP Data Center試験体系
- 【必須】DCUCI(試験番号:642-999)
- 【必須】DCUFI(試験番号:642-997)
- 【選択1】DCUCD(試験番号:642-998)
- 【選択1】DCUFD(試験番号:642-996)
- 【選択2】DCUCT(試験番号:642-035)
- 【選択2】TCUFT(試験番号:642-980)
上記は現行の試験体系で、【必須】の2試験に加え、【選択1】のどちらか1試験、【選択2】のどちらか1試験、合計4試験を合格することで、CCNP Data Center認定を取得ができる。この試験体系は7月3日に終了し、以降は今回の改定された以下の試験体系のみが残る。
- 7月3日以降CCNP Data Center試験体系
- 【必須】DCUCI(試験番号:300-175)
- 【必須】DCII(試験番号:300-165)
- 【必須】DCVAI(試験番号:300-170)
- 【選択】DCID(試験番号:300-160)
- 【選択】DCITS(試験番号:300-180)
上記は改定後の試験体系で、【必須】の3試験に加え、【選択】から1試験の合計4試験に合格することで、CCNP Data Center資格認定を得られる。
なお、現在この改訂に合わせて試験配信を行っているピアソンVUEで申し込む際の試験番号は、現行の試験番号と新しい試験番号から選択でき、7月3日までは選択が可能。7月3以降は改定後の試験番号のみ選択が可能になる。
現行試験と新試験の対応を次の図に示す。
現行試験と新試験を対比しながら、順番に説明していこう。
DCUCI(Implementing Cisco Data Center Unified Computing)試験
DCUCI(Implementing Cisco Data Center Unified Computing、現行試験番号:642-999、新試験番号:300-175)試験は、試験自体に変更はないものの試験項目が変更されている。
基本的にこれらの改定は、CCNP Data Center、CCIE Data Centerおよび他のシスコ認定に沿ったものになっている。内容の比較は、以下の表を参照してほしい。
642-999 DCUCI v5.0試験 | 300-175 DCUCI v6.0試験 |
---|---|
1.0 Cシリーズのスタンドアロンの実装 | 1.0 ユニファイド コンピューティングの実装 |
2.0 Cisco UCS Bシリーズの接続の設定 | 2.0 ユニファイド コンピューティングのメンテナンスと運用 |
3.0 Cisco UCS Bシリーズの管理 | 3.0 自動化 |
4.0 Cisco UCSコンピューティング リソースのプロビジョニング | 4.0 ユニファイド コンピューティングのセキュリティ |
5.0 Cisco UCSサーバ仮想化機能の実装 | 5.0 ユニファイド コンピューティングのストレージ |
そのほか、削除または移動された主要トピックと追加された主要なトピックは次のとおり。
- 削除または移動された主要トピック
-
- Bシリーズおよび Cシリーズ UCSサーバー製品固有の知識(3つのドメイン)
- UCS サーバ仮想化機能の実装(ドメイン 5)は、タスク 3.1 の一元管理の統合の実装に置き換え
- 追加または変更された主要トピック
-
- 自動化を追加(一元管理の統合の実装とスクリプトツールを含む)
-
- データセンターセキュリティ(専用ドメイン)をより重視 FCoEなどのデータセンター ストレージ接続(専用ドメイン)をより重視
DCII(Implementing Cisco Data Center Infrastructure)試験
DCII(Implementing Cisco Data Center Infrastructure、試験番号:300-165)は、DCUFI(Implementing Cisco Data Center Unified Fabric、試験番号:642-977)から名称が変更された試験になり、試験項目の総数は7から5項目に集約されている。
基本的にこれらの改定は、CCNP Data Center、CCIE Data Centerおよび他のシスコ認定に沿ったものになっている。内容の比較は、以下の表を参照してほしい。
642-997 DCUFI試験 | 300-165 DCII試験 |
---|---|
1.0 シスコ データセンター ネットワーク アーキテクチャでのシスコ ユニファイドファブリック製品の説明 | 1.0 データセンタープロトコルの実装 |
2.0 シスコ データセンター アーキテクチャにおけるシスコ ユニファイド ファブリック製品のセキュリティの実装 | 2.0 ルーティングおよびスイッチングのプロトコルの実装 |
3.0 シスコデータ データセンター アーキテクチャにおけるユニファイド ファブリックの管理 | 3.0 データセンター インフラストラクチャのメンテナンス、管理、運用 |
4.0 シスコ データセンター アーキテクチャにおける シスコ ユニファイド ファブリック製品への ハイ アベイラビリティ機能の実装 | 4.0 データセンター インフラストラクチャのセキュリティ |
5.0 シスコ データセンター環境におけるシスコ ユニファイド ファブリック ネットワーク機能の実装 | 5.0 インフラストラクチャ ストレージ |
6.0 シスコ データセンター環境におけるネットワーク仮想化の実装 | - |
7.0 シスコ データセンター環境におけるストレージ機能の実装 | - |
そのほか、削除された主要トピックと追加/拡張された主要なトピックは次のとおり。
- 削除された主要トピック
-
- Cisco NexusスイッチおよびCisco NX-OSソフトウェアの製品固有の知識を削除
- ネットワーク仮想化の重要度を下げる(Cisco VM-FEX、Nexus と vCenter Manager の統合、Cisco Adapter FEXを削除)
- 追加または大幅に拡張された主要トピック
-
- データセンターのプロトコルの実装に、新しいテクノロジー、VXLANの取り扱いを追加
- ルーティングがさらに重視され、OSPFv2、OSPFv3、ISISプロトコルを新たなトピックとして追加
- データセンターインフラストラクチャのセキュリティトピックが、より幅広く扱われるようになり、ACL、CoPP、ファブリックバインド、ポートセキュリティを新たなトピックとして追加
DCVAI(Implementing Cisco Data Center Virtualization and Automation)試験
DCVAI(Implementing Cisco Data Center Virtualization and Automation、試験番号:300-170)試験は今回の改訂で新たに追加された試験。データセンター運用の合理化や、物理および仮想データセンターリソースにまたがるポリシー主導インフラストラクチャの構築に応用できる内容だという。
現行試験のDCUFI(試験番号:642-977)の15%を占める試験項目「6.0 シスコ データセンター環境におけるネットワーク仮想化の実装」を拡大し、仮想化と自動化が主な試験項目となる。試験項目の内容は、以下の表を参照してほしい。
642-997 DCUFI試験 | 300-170 DCVAI試験 |
---|---|
6.0 シスコ データセンター環境における ネットワーク仮想化の実装 | 1.0 インフラストラクチャ仮想化の実装 |
- | 2.0 インフラストラクチャ自動化の実装 |
- | 3.0 アプリケーション セントリック インフラストラクチャの実装 |
- | 4.0 アプリケーション セントリック インフラストラクチャの ネットワーク リソースの実装 |
- | 5.0 アプリケーション セントリック インフラストラクチャの 管理とモニタリングの実装 |
そのほか、DCUFI試験とDCVAI試験の差は次のとおり。
- DCUFI試験には含まれるがDCVAI試験には含まれない主なトピック
-
- Adapter FEX、VM-FEX、Nexus vCenter Managerの統合
- DCUFI試験には含まれないがDCVAI試験には含まれる主なトピック
-
- インフラストラクチャ自動化の実装、アプリケーションセントリックインフラストラクチャ、アプリケーションセントリックインフラストラクチャのネットワークリソース、アプリケーションセントリックインフラストラクチャの管理とモニタリングに焦点を当てた新しいドメインを追加
DCID(Designing Cisco Data Center Infrastructure)試験
DCUCD(Designing Cisco Data Center Unified Computing、試験番号:642-998)試験とDCUFD(Designing Cisco Data Center Unified Fabric、試験番号:642-996)試験は、DCID(Designing Cisco Data Center Infrastructure、試験番号:300-160 )試験に変更される。今回の改定は、ユニファイドコンピューティングとユニファイドファブリックの双方を含め、テクノロジー、スキル、製品についての知識をさらに幅広く習得することを目的としている。試験項目の内容は、以下の表を参照してほしい。
642-998 DCUCD試験 | 642-996 DCUFD試験 | 300-160 DCID試験 |
---|---|---|
1.0 設計方法論の説明 | 1.0 設計方法論の説明 | 1.0 データセンターのネットワークの 接続性の設計 |
2.0 データセンター構造と モジュール化の説明 | 2.0 データセンター構造とモジュール化の説明 | 2.0 データセンター インフラストラクチャの設計 |
3.0 データセンター内で使用される テクノロジーの説明 | 3.0 シスコのデータセンターにおける ストレージ エリア ネットワークの トラブルシューティング | 3.0 データセンター ストレージ ネットワークの設計 |
4.0 データセンターのアクセス レイヤの設計 | 4.0 データセンターのコア レイヤの設計 | 4.0 データセンターの コンピューティングの接続の設計 |
5.0 Cisco UCS を使用した 仮想化ソリューションの設計 | 5.0 データセンターのアグリゲーション レイヤの設計 | 5.0 データセンターのコンピューティング リソース パラメータの設計 |
- | 6.0 データセンターのアクセス レイヤの設計 | - |
- | 7.0 ストレージおよび SAN ソリューションの設計 | - |
- | 8.0 セキュリティに配慮したデータセンターの設計 | - |
- | 9.0 ネットワーク管理に配慮した データセンターの設計 | - |
そのほか、DCUCDおよびDCUFDと、DCID試験で移動または削除された主要トピックや、追加または変更された主要トピックは次のとおり。
- 削除または移動された主要トピック
-
- CCNP Data Center受験者には基本的な設計の知識が想定されているため、設計の手法、およびデータセンターの構造とモジュール化について削除
- トラブルシューティングのトピックが削除され、DCIT(試験番号:300-180)で扱われる
- セキュリティ設定が削除され、データセンターセキュリティの実装(DCII(試験番号:300-165)に含まれる)、トラブルシューティング(DCIT(試験番号:300-180) に含まれる)に重点を置く
- 追加または変更された主要トピック
-
- データセンター ユニファイド ファブリックとユニファイド コンピューティング設計のトピックが1つの試験に統合(両方のスキルを兼ね備えることがデータセンター IT プロフェッショナルに求められていることを反映)
DCIT(Troubleshooting Cisco Data Center Infrastructure)試験
DCUCT(Troubleshooting Cisco Data Center Unified Computing 、試験番号:642-035)試験とDCUFT(Designing Cisco Data Center Unified Fabric、試験番号:642-980)試験は、DCIT(Troubleshooting Cisco Data Center Infrastructure、試験番号:300-180)試験に変更される。今回の改定は、ユニファイドコンピューティングとユニファイドファブリックの双方を含め、テクノロジー、スキル、製品についてのトラブルシューティングに係る知識を、さらに幅広く習得することを目的としている。試験項目の内容は、以下の表を参照してほしい。
642-035 DCUCT試験 | 642-980 DCUFT試験 | 300-180 DCIT試験 |
---|---|---|
1.0 Cisco UCSアーキテクチャとシステムの内部のトラブルシューティング | 1.0 シスコのデータセンター ネットワークにおけるレイヤ2接続の問題に関する トラブルシューティング | 1.0 データ ネットワーク プロトコルのトラブルシューティング |
2.0 UCSの設置、設定、および起動のトラブルシューティング | 2.0 シスコのデータセンター ネットワークにおける FCoE の問題に関するトラブルシューティング | 2.0 ネットワークの仮想化と自動化のトラブルシューティング |
3.0 Cisco UCS SAN、LAN、およびVLAN接続のトラブルシューティング | 3.0 シスコのデータセンターにおけるストレージ エリア ネットワークの問題に関するトラブルシューティング | 3.0 アプリケーション セントリック インフラストラクチャのトラブルシューティング |
4.0 Cisco UCS コンピューティングのトラブルシューティング | 4.0 シスコのデータセンター ネットワークにおけるDCIに関する問題のトラブルシューティング | 4.0 データセンターのストレージのトラブルシューティング |
5.0 Cisco UCS C シリーズ スタンドアロンのトラブルシューティング | 5.0 シスコのデータセンター ネットワークにおけるプラットフォーム固有の問題に関するトラブルシューティング | 5.0 データセンター コンピューティング プラットフォームのトラブルシューティング |
- | - | 6.0 データセンターの管理と運用のトラブルシューティング |
そのほか、DCUCTおよびDCUFTと、DCIT試験で削除または移動された主要トピックや、追加または変更された主要トピックは次のとおり。
- 削除または移動された主要トピック
-
- Cisco UCS B シリーズおよびCシリーズサーバの製品個別のトピックの削除。たとえば、データセンターコンピューティングプラットフォームのトラブルシューティングは、製品別のトピックを削除して1つのドメインに
- 追加または変更された主要トピック
-
- データセンターユニファイドファブリックとユニファイドコンピューティングのトラブルシューティングのトピックを1つの試験に統合(両方のスキルを兼ね備えることがデータセンター IT プロフェッショナルに求められていることを反映)
- ルーティングプロトコルのトラブルシューティングを追加
- 仮想スイッチテクノロジーのトラブルシューティングを追加
- アプリケーションセントリック インフラストラクチャを追加
- データセンターのLANおよびSANのセキュリティとコンピューティングセキュリティのトラブルシューティングを追加
現在受験できる試験は英語版のみ。ピアソンVUEのWebサイトで申し込み、同社認定会場で受験できる。試験時間は90分、受験料は、1試験につき3万円(税抜き)。