リーダーシップやイノベーションに必須の教養が身に付く
2009年にサービスローンチし、現在約100万会員を抱えるというgacco。そのサービスには次の3つがある。
- gacco MOOC
- 個人向け・法人向け。大学教授をはじめとする一流の講師陣に本格的な講義をオンラインで学べる日本最大のMOOC(動画学習)サービス。受講は無料。年間約100講座が提供される。講座は社会科学や自然科学、人文科学といった教養系のほか、ネットワークセキュリティやAIといったITリテラシー、統計学やクリティカルシンキング、イノベーションなどのビジネススキル系まで幅広い。
- gacco Training
- 法人向け。ビジネスマナーからデータサイエンス、DX、情報セキュリティ、マネジメント、コンプライアンス、さらに職種別スキル(営業、マーケティング、経営戦略など)まで、ビジネスに直結する注目のスキルを学べるeラーニングコンテンツを、オンラインで提供する。利用は有料。
- gacco ASP
- 法人向け。NTTドコモの動画配信サーバーを利用したオンライン動画研修プラットフォーム。企業が独自に制作した動画研修コンテンツをアップロードし、従業員に見てもらうことができる。課題や確認テストなどにより従業員の理解度を確認でき、保存容量は無制限で定額制(動画研修コンテンツをいくらアップロードしても同じ金額)。
gacco Trainingとgacco ASPでは、受講管理などを行えるeラーニングシステムも利用できる。価格は月額550円/ID(税込み)からと低く設定されており、利用を始めやすい。gacco MOOCの講座もシームレスに受講できることから、リーダーシップ開発に必要な「教養」を身に付けることも含めて、トータルで従業員に受講してもらうことができる。
この教養を身に付ける講座も受講できるのは、gaccoならではの差異化点だという南氏。ただし、そのためのコストがかからないことも必須条件だと付け加える。
「日々の業務にすぐに役立つ講座はROI(投資対効果)が分かりやすいため、多少のコストも許容できるが、リーダーシップ開発に必要な教養はROIがしばらく先にならないと判明せず、企業としてはコストをかけづらいことがこれまでの取り組みの中で分かってきました」(南氏)
gaccoの場合、教養を身に付けられるgacco MOOCの受講は無料なので、コストの問題はない。
さらに、佐々木氏いわく、教養のための講座を受けられることについては3つのメリットがある。
1つ目は、従業員がジョブ型雇用へ対応することにおいてだ。メンバーシップ型雇用だったころには、人事が階層型研修などでいろいろ教えてくれていたのが、ジョブ型雇用になれば自発的に学んでいくことを求められるようになる。そのときに必要なのは、外発的ではなく内発的な動機付け。その源泉は知的好奇心や自律性だといわれているので、教養や仕事に直結しない知識も学べるようにすることには大きな意味があるのだ。
2つ目は、40代・50代のミドル世代の教育においてである。ミドル世代の教育というとリスキリングがまず思い浮かぶが、退職後のキャリアを考えてもらうことも課題になっているようだ。ドコモgaccoには「会社が提供するビジネススキルだけだと、どうしてもキャリアの幅が広がっていかない。そこで教養を学ばせたい」という声が、特に金融業界から届いているという。
3つ目は、イノベーションを企業にもたらすことにおいてだ。教養を身に付けることは、いわゆる“両利きの経営”でいうところの「知の探索」に当たるといい、イノベーションの源泉をつくる。一方で、学びが既存のビジネスを突き詰める「知の深化」に偏ると、イノベーションが枯渇するサクセストラップ(成功の罠)に陥ってしまう。両利きの経営では知の探索と知の深化のバランスが重要だとされており、個人ではビジネススキルを高めるのと並行して、教養を身に付けていくことが肝要といえる。
ここまで教養の重要さばかりを強調してきたが、gaccoが提供する講座には教養以外にも多くの企業を引きつけているものがもちろんある。例えば、gacco Trainingで提供されている「データの活用・分析スキル育成プログラム」という、データサイエンスの基礎からPythonやRといった分析に用いるプログラミング言語の入門、分析プロジェクトの進め方までをカバーする講座群はその一つだ。
「大手自動車会社や大手ガス会社、大手地銀などをはじめとする多くの企業が受講するほか、NTTグループ内各社においても数万人に受講していただいております」(南氏)
そのほか、システムのセキュリティと安定性が高いこともgaccoの特徴だと南氏は言う。これは、約100万会員が利用するgaccoを運用している実績のあるシステムを活用しているためで、大手コンサルティングファームなどの従業員1万人規模の大手企業での導入実績も数多くある。企業が独自に制作した動画研修コンテンツによるeラーニングも安心して運用できるだろう。
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