日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は、企業の「人的資本経営」に対する取り組み状況を調査し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査形式:Webアンケート方式
- 調査時期:2022年7月5日~12日
- 調査対象:116名(J.H.倶楽部会員)
「人的資本経営」を優先度高く議論している企業は36%
「人的資本」に深く関わる人事・人材開発部門の方を中心に行ったアンケートでは、「あなたの会社では『人的資本経営』について、議論が行われていますか?」という設問において、過半数の企業が「議論されている」と回答した。うち36%は「最優先事項として議論されている(6%)」「優先度高く議論されている(30%)」と答えており、人的資本経営をめぐる動きが企業内でも活発になっていることが分かった。
取り組み・検討の上位は「人事情報基盤の整備」「社員エンゲージメントレベルの把握」「不足スキル・専門性の特定」
現在の取り組み状況について問う設問では「人事情報基盤の整備」「社員エンゲージメントレベルの把握」がともに上位となり、「組織として不足しているスキル・専門性の特定」「業務のデジタル化推進」が続いた。経営戦略と人事戦略を連動させるために、まず人事課題を可視化する取り組みを実施・検討している企業が多いことが分かるという。
「後継者育成」は開示準備が整っていない
「人的資本経営」の実践が推奨されていることに加えて、開示要請も強まると言われているという。企業が開示を検討している項目は「多様性」が最も多く、他項目に比べて企業においても対応が進んでいることが伺えると同社は述べている。一方で、「従業員の可用性」「後継者育成」について開示を検討している企業は少なく、特に「後継者育成」については、重要課題と言われながらもまだ整備化されていないことが分かったという。
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