ワークポートは、「ワーケーション」の認知度や経験などに関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査対象:同社を利用している全国のビジネスパーソン(20代~40代・男女)
- 有効回答:509人
- 調査期間:2022年8月2日~8月9日
- 調査方法:インターネット調査
【ワーケーションの認知度】言葉を耳にしたことがある人も含め「ワーケーション」の認知度は75.9%
ワーケーションの認知度を知るために、対象者全員にワーケーションを知っているか聞いたところ、「言葉も意味も知っている」が51.9%、「意味は知らないが言葉を見聞きしたことがある」が24.0%と、「知っている」と回答した人が75.9%に上った。
【ワーケーションの普及率】ワーケーション推奨企業は7.9%にとどまる
対象者全員に、現在の勤務先(離職中の人は直近の勤務先)はワーケーションが許可されているか聞いたところ、大多数を占める79.0%が「許可されていない」と回答した。「わからない」と回答した人は13.2%で、ワーケーション制度がある企業は7.9%となった。
【ワーケーションの希望度】7割以上がワーケーションをしてみたい ストレス軽減が魅力的
勤務先にワーケーション制度はないと回答した人に、もし勤務先にワーケーション制度があった場合、現職の状況に関係なく利用してみたいか聞いたところ、半数を大きく超える76.1%が「利用してみたい」と回答した。
「ワーケーションをしてみたい」と回答した人に、その理由を聞いたところ、「仕事の効率を維持しつつ、ストレス軽減が図れるから」(40代・接客販売・沖縄県在住)、「メリハリがあり、より質の高い仕事に繋がると考えるため」(40代・公務員・山口県在住)など、リラックスしながら働くことで、効率よく仕事ができることを魅力に感じるという意見が多く挙がった。また、気分転換を期待するという意見や、非日常を過ごすことで、クリエイティブに働けるのではないかという意見もあった。
【ワーケーション経験】ワーケーションを経験したことがある人は27.5%のみ 勤務先で許可されていても実施に踏み切れない人が多数
ワーケーション制度があると回答した人に、ワーケーション経験があるか聞いたところ、72.5%が「ない」と回答し、「ある」と回答した人は27.5%にとどまった。
【ワーケーション実施回数】半数以上が1回だけと回答
ワーケーション経験があると回答した人に、これまで何回ワーケーションを実施したか聞いたところ、半数を超える54.5%が「1回」と回答した。複数回経験している人は少数で、最高数は「10回」(9.1%)となった。
【ワーケーションの行き先】関東甲信越が人気 帰省・GoToトラベルキャンペーンがきっかけ
ワーケーション経験者全員に、これまでワーケーションのために行った都道府県はどこか聞いたところ、1位は「千葉県」「神奈川県」「山梨県」と関東甲信越の都道府県が人気を集めた。それぞれ、回答者の居住地も東京都、神奈川県など関東が多く、近場でワーケーションをする人が多いことが分かった。その他、「北海道」「石川県」「静岡県」「大阪府」「兵庫県」「広島県」「福岡県」「鹿児島県」「沖縄県」が票を獲得。観光地としても人気の都道府県がワーケーション先としても選ばれていることが分かった。
【ワーケーションのメリット・デメリット】リフレッシュできる一方で観光の時間を確保できない人も
ワーケーション経験者全員に、ワーケーションを実施して感じたメリットを聞いたところ、「リフレッシュできストレスが減る」(30代・営業・大阪府在住)、「気分を変えられる」(40代・コンサルタント・東京都在住)など、普段とは違うシチュエーションで仕事ができる上に、余暇も楽しめ、気分転換できたという意見が挙がった。他には、「時間の節約」(40代・企画・千葉県在住)など、仕事と旅行が同時にできることから時間を有効活用できる点をメリットと感じる人もいた。
一方で、デメリットを聞いたところ、「旅行気分が味わえない」(40代・管理系・神奈川県在住)、「時間的に旅行として100%楽しめない」(40代・その他・兵庫県在住)など、実際は思うように余暇の時間を確保できないという意見が挙がった。また、「時々仕事に集中できない」(20代・機械系エンジニア・大阪府在住)など、普段とは場所が違うこと、旅行気分になってしまうことなどが集中力低下につながったという意見もあった。
【ワーケーション未実施の理由】制度があっても使いにくい雰囲気
勤務先にワーケーション制度はあるが、ワーケーションをしたことはないと回答した人に、これまでワーケーション制度を利用しなかった理由を聞いたところ、「職務上難しいため」(30代・システムエンジニア・埼玉県在住)など、仕事に適した環境が確保できないという意見のほか、「周りに使った人がいないから」(20代・管理系・東京都在住)、「制度を利用できる雰囲気がないため」(40代・営業・神奈川県在住)など、心理的にワーケーション制度を利用しづらいという意見が挙がった。
また、「魅力がなかったから」(30代・管理系・東京都在住)、「特に必要性がなかったから」(40代・企画・神奈川県在住)、「コロナウイルスの流行のため、自宅外で働くメリットがないから」(40代・企画・茨城県在住)、「プライベートと仕事を分けたいため」(30代・管理系・東京都在住)など、そもそもワーケーションに必要性や魅力を感じないという人も少なくなかった。中には、「プロジェクトが忙しく、ワーケーションを考える余裕がなかったから」(40代・企画・東京都在住)という意見もあり、実施に踏み切るにはある程度の心理的、時間的な余裕が必要であることも分かった。
【リモートワークの普及率】リモートワーク・ワーケーションの両方推奨企業は7.5%のみ
対象者全員に、現在の勤務先(離職中の人は直近の勤務先)でリモートワークが許可されているか聞いたところ、リモートワーク可能な企業は46.2%にとどまった。リモートワークとワーケーションの両方が許可されている企業は1割を切り、7.5%という結果になった。政府がワーケーションを推奨する一方で、企業のワーケーション制度が整わない現状が浮かび上がった。
【ワーケーション推奨企業の印象】81.5%にとってワーケーション制度のある企業は好印象
対象者全員に、ワーケーションが推奨されている企業で働いてみたいか、現在ワーケーション推奨企業で働いている人は、これからも推奨企業で働きたいか聞いたところ、81.5%が「働いてみたい」と回答した。ワーケーション未経験者が多い中、ワーケーションができる企業は魅力的に捉えられていることが分かった。
【働く時間・場所の価値観】9割が働く場所・時間は自分で選びたいと回答
対象者全員に、働く時間や場所を自由に選べる働き方をしてみたいか聞いたところ、大多数を占める90.2%が「してみたい」と回答した。
「時間や場所を自由に選べる働き方をしてみたい」と回答した人に理由を聞いたところ、業務効率、働きやすさ向上にメリットを感じるという意見が集中した。また、フレキシブルな生活を通して、生産性の高い仕事ができるのではないかと期待する人もいた。他には、通勤時間をプライベートに充てられることで仕事と家庭の両立のしやすさを魅力に感じるという意見も見られた。中には、仕事に左右されず生活拠点を選べることから、海外に住みながら日本企業で働きたい、地元で自分に合った仕事をしたい、上京せずに東京にある企業で働きたいといった希望を持つ人もいた。
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