ワークポートは「転職活動におけるChatGPT利用の印象」についてアンケート調査を実施した。
調査の概要は次のとおり。
- 調査内容:転職活動におけるChatGPT利用の印象について
- 調査機関:自社調査
- 調査対象:同社を利用している、全国の企業の人事担当者
- 有効回答:139人
- 調査期間:2023年5月9日~5月16日
- 調査方法:インターネット調査
ChatGPTを使った選考書類で採用意欲は「変わらない」が7割以上
もし候補者がChatGPTを使って選考書類を作成していた場合、採用意欲に影響はあるかと質問した。75.5%が「変わらない」と回答し、採用意欲へ影響しないとする回答が7割以上を占めた。「採用意欲が下がる」と回答した人は22.3%、「採用意欲が上がる」と回答した人は2.2%にとどまった。企業の人事担当者の多くは、働き手がChatGPTを転職活動に利用することに抵抗感を抱いていないことが分かる。
採用意欲が変わらないと回答した人に理由を聞いたところ、「面接が一番の判断基準となるため」(建築・土木・設計)、「あくまで人物を評価するため」(小売り・販売)など、最終的には面接で判断するため、応募書類の作成時にChatGPTを利用していてもそれほど気にしないという意見が多く見られた。選考における最初の判断材料として応募書類は大切であるものの、面接を重要視して選考を行う企業が多いことが伺える。
- <採用意欲が変わらない理由(一部抜粋)>
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- 「当人が記載する・しない問わず、履歴書などには大げさな記載もあり、それも含めて面接を通じて確認するから」(機械メーカー)
- 「ChatGPTを使っているとバレバレな履歴書であればNGだが、うまく取り入れているならばむしろ能力が高いとも判断できる。すばらしい履歴書、職務経歴書でも、嘘であれば面接時にボロが出るから」(サービス・アミューズメント)
- 「文章力は関係なく、職歴や実績をみているため」(コンサルティング・調査・士業)
- 「状況に応じて最適なツールを選択することに違和感はないため」(教育・保育)
一方で、採用意欲が下がると答えた人に理由を聞いたところ、「本人の考えではなく模範的な意見という印象になるため」(製造業)、「自分の言葉ではないため弊社への応募意欲を疑うから」(ゲーム開発)などの意見が挙がった。候補者本人の考えや言葉でないことが良くない印象、ひいては採用意欲の低下につながるようだ。
- <採用意欲が下がる理由(一部抜粋)>
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- 「文章作成のゼロからのタイミングで使用したとなると、文章構成力・思考力がなく、採用しても業務に支障が出るから」(メーカー)
- 「自身の考えを自分の言葉に表現できないのでは?と考えてしまうため」(機械メーカー)
- 「素の人物像が見えない恐れがあると感じてしまうから」(建築・土木・設計)
- 「本気度が理解しがたいため」(技術サービス)
採用意欲が下がる人のうち約7割が「禁止しない」
続いて、採用意欲が下がると答えた人に、選考過程において候補者のChatGPT利用を禁止する予定はあるか質問した。「禁止しない」が71.0%、「禁止する(禁止を検討する)」が29.0%という結果となった。
ChatGPTの転職利用に良くない印象を持ち、利用禁止まで視野に入れている企業は3割程度、大半の企業は利用を受け入れる方針であることが分かる。なお、別の設問で、36.7%の人はそもそもChatGPTを利用した選考書類を「見分けられない」と回答しているとのことで、禁止しても、見分けられないのであれば意味をなさないと考える企業もいるのではないかと同社は推測している。
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