AKKODiSコンサルティングは、リスキリングに関する実態を企業へ調査し、レポート「リスキリングの罠 ~事業と組織への投資対効果を検証~」を公開した。
調査概要は次のとおり。
- 調査対象:企業の人事担当者
- サンプル:186社
- 実施期間:2023年9月5日~9月21日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査主体:AKKODiSコンサルティング株式会社
同レポートの全文は、同社のWebサイトで閲覧できる。サマリーとして、同社は下記の4点を挙げている。
- 調査対象企業のうち、全体の約8割超(82.8%)が、リスキリング施策の実施について「実施したいが、見通しは立っていない」「実施予定はない」と回答。さらに、全体の5割以上(54.3%)が「実施予定はない」と回答し、企業・組織での対策優先度が低い認識である現状。
- リスキリング施策を実施している企業のうち、約5割(48.3%)が「(リスキリング施策実施の)年間の予算規模は100万円未満」であると回答。とくに300名以下の企業に関しては14社中11社(78.5%)の割合で予算規模100万円未満との回答があり、潤沢な予算があるとはいえない現状。
- リスキリング施策を実施していない企業は、施策が進まない理由として、約5割が「ノウハウがない(44.8%)」「費用対効果が見合わない、見込めない(20.1%)」「必要性を感じない(23.4%)」と回答。リスキリングのメリットや効果を理解できていない企業や、社内の体制や制度づくりのノウハウがない企業が多い現状。
- リスキリング施策の領域として重要視されているのは「DX」「AI」「ITリテラシー」などが上位を占める結果に。多くの企業・組織がデジタル領域に関心を持っている。
同調査の結果を受けて、同社は次のように提言している。
「リスキリング施策を成功させるためには、リスキリングによって得られたスキルやノウハウを正しく評価に反映し、適切なポジションに登用する仕組みづくりが大切である。その環境整備を行うのが、企業の役割だ。裏を返せば、評価・登用の仕組みがないリスキリング施策は、リスキリング本来の効果を得られないため、一時的な取り組みとして形骸化し、持続的な事業経営・組織形成にはつながらない。
今回の調査結果から「リスキリングの成果を定量化することが難しいから」「シニア層の特性やニーズを理解したうえで、リスキリング施策を設計することが難しいから」「リスキリングに関するノウハウを持ち合わせていないから」という3つの理由によって、多くの企業がリスキリングに関する評価・登用の仕組みづくりにつまずくと考えられるが、企業にとって従業員の成長をもたらすリスキリングは今後も重要な施策となる。将来を見据え、早期にリスキリングに必要な環境を整備し、リスキリングで得たスキルやノウハウを評価して適切なポジションに登用できる仕組みを構築することが大切だ」(同社)
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