リクルートは、兼業・副業に関する動向について、働く個人および企業人事担当者それぞれに調査を実施した。
調査結果のサマリーは次のとおり。
- 副業実施者の38.7%が本業に満足しており、本業・副業それぞれの経験が互いに好影響を与えている
- 副業実施者は、未実施者と比べて自身のキャリアに関する関心が高く、従業員のキャリア自律を育むことで副業の推進につながる
- 副業の満足度が高い人は、「本業に副業の経験を還元できている」「適切なアドバイスを提供してくれる支援者がいる」傾向
同調査の結果を、株式会社リクルート 『サンカク』グループ責任者 古賀敏幹(こが としき)氏は次のように解説している。
「近年、副業制度を導入する企業や、副業を実施してみたいと答える個人が増加しており、副業への関心は高まっています。一方で副業実施中の人の推移を見ると、数年横ばいの状態が続いています。企業側も個人側も副業への関心が高まっている中で、実施率が伸び悩んでいるのはなぜでしょうか。一番大きな理由としては、副業希望者の増加に対して、副業求人の増加が追いついていないことが考えられますが、今回は『兼業・副業に関する動向調査2022』の結果の分析を行い、副業を実施する個人に着目し、副業実施者の特徴や副業の満足度別分析によって、副業実施につながるポイントを明らかにしました。
今回の分析では、副業実施者は非実施者と比較して、本業への満足度が高く、かつ、キャリアへの関心が高いことが分かりました。自社の社員の副業を推進したい企業にとっては、社員の満足度が高まるような業務の差配や職場づくり、社員のキャリアへの関心が高まるような職場でのコミュニケーションを実施することが成功の鍵となるといえるかもしれません。
また、副業実施者は本業の仕事内容と関係のない副業をしているケースが多く、自分のスキルを多方面に活かしているといえます。本業の満足度が高いことから分かるとおり、本業へ還元できている人が多く、副業から得られる経験や学びがよりキャリアへの強みにつながっていくのではないでしょうか」(古賀氏)
結果の詳細は、同社が公開したPDFから確認できる。なお、同調査の概要は次のとおり。
- 調査概要:調査方法:インターネット調査
- 調査対象:企業に勤める正社員
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- 有効回答数:
- 2020年:企業人事担当者1660名 個人1456名、企業人事担当者 1648名(追加実施分)
- 2021年:企業人事担当者1648名 個人2072名
- 2022年:企業人事担当者1648名 個人2072名
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- 調査実施期間:
- 2020年: 2020年12⽉25⽇〜2021年1⽉6⽇、2021年3⽉19⽇〜2021年3⽉24⽇
- 2021年: 2022年1月14日~2022年1月17日
- 2022年:2023年1月21日~2023年1月22日
- 調査機関:インターネット会社
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