ワークス・ジャパンは、26卒予定の大学生・大学院生を対象に就職希望先調査を実施し、9月2日に中間結果を発表した。
就職人気企業ランキング結果:文系総合
文系総合では、昨年同様商社がランキング上位に入り、安定した人気がうかがえる結果となった。1位の「伊藤忠商事」では、顧客目線で商品・サービスの提供を行う「マーケットイン」の視点で社会に向き合う姿が、商社の中でも独自の魅力として学生から支持されている。女性活躍支援策やキャリア制度など、成長を実感できる基盤を整え、年々アップデートしているのも特徴だという。
2位の「三菱商事」は、段階的な学びを通じ「三菱商事のビジネスについて体感」しながら「キャリアビジョンを研ぎ澄ます」ことをコンセプトとした、最長2ヵ月のワークショップを実施。また、2023年から異動せずに他部署業務を経験できる「社内複業制度」を導入し、部署を越えた知識や経験を培い自律的なキャリア形成を促すなど、総合商社として変化し続けている姿を印象づけている。
食品メーカーでは、「サントリーホールディングス」が3位、「味の素」が7位と、いずれも大きくランクアップ。スキルが身に付く多様な職種があり、ワークライフバランスを推進する制度も充実しているなど、不確実な時代だからこそ「仕事のやりがいとともに、安定性や働きやすさを重視する学生」のニーズにマッチしているという。
昨年は、トップ10のうち7社が商社・金融業界だったのに対し、今回のランキングでは、商社・メーカー・金融・コンサル・航空・マスコミ・不動産と、多業界に分散した。「やりたい仕事ができるか」「成長できる環境かどうか」「自分らしい働き方ができるか」など、近年学生が入社志望先を決める基準は多様化しており、業界志向ではなく、個社志向が高まっていることが垣間見える結果となった。
就職人気企業ランキング結果:理系総合
理系総合トップは昨年から変わらず、「ソニーグループ」。エンターテインメント、テクノロジー&サービスと幅広い事業展開が職場密着型インターンシッププログラムに反映され、仕事・キャリア軸で企業を選ぶ学生の傾向とマッチした結果だという。他にも、社員との対話や現場訪問を通じて企業を詳しく知ることのできる1dayイベント・新規事業特化型の少人数制インターンシップ、Sensing Solution ハッカソン 2024など多様なラインアップが用意されている。
「野村総合研究所」は昨年からランクアップし、2位となった。インターンシップでは実践型プログラムのほか、DX人材の確保に向けてAI・DXのエンジニアリングの最前線が学べるプログラムも開設。インターンシップ選考で不合格となった学生にもフィードバックを行い、真摯に向き合う姿勢も評価され順位を伸ばしたと思われる。
6位の「トヨタ自動車」では、学生が主体的にキャリアを選べるよう、エントリー時点からコースを確約するジョブ型採用を行っている。インターンシップからジョブ型を取り入れているのが、9位の「日立製作所」。キャリアのイメージと、業務のマッチングを重視したパーソナライズ採用の推進を目的に、インターンシップで業務への理解を深めた学生からのエントリー増加を見据えた施策である。
近年、あらゆる業界でDX推進が求められ、人材の争奪戦となっている理系採用。ランキング上位常連の総合商社や大手金融も、年々IT人材の採用数を増やしている。「自身の専攻分野や専門性をいかに活かせるか」など、入社初期の配属や勤務地の確約を重視する学生が多いため、企業は早期から仕事や職種について理解を深められるプログラムやイベントを打ち出すことが、人材獲得の鍵になると同社は述べている。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査名称:2026年卒大学生就職人気企業ランキング中間発表
- 調査対象:2026年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生(調査開始時点)
- 調査期間:2024年4月8日~7月31日
- 調査方法:就職対策サイト「キャンパスキャリア」およびワークス・ジャパン主催の各種イベントでアンケート告知を行い、Web上のアンケートフォームで回収。就職を希望する企業ランキングは第1志望から第5志望までの選択方式で、第1志望には5ポイント、第2志望には4ポイント、第3志望には3ポイント、第4志望には2ポイント、第5志望には1ポイントを配分して集計
- 有効回答数:1109人(文系総合615人、理系総合489人、その他5人)
- 投票合計ポイント:1万6635ポイント
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