ジェイフィールは、職場で働く人々に「コミュニケーション・組織・感情」に関わるアンケートを実施した。同時に、コロナウイルスが5類に移行してから1年経過し、コロナ前後で個人の価値観にどのような変化があったかを調査した。
自分感情/組織感情 トップ5
最近の環境下で、自分/職場(周囲)の気持ちにどのようなものがあるかを質問したところ、自分感情/組織感情ともに「あきらめ感」がトップになった。 自分感情ではトップ5から「効率実感」が消えて「沈滞感」が入り、組織感情では「緊張感」の高まりが見受けられる。
次いで、昨年度の同時期と比べると、自分感情では「あきらめ感」が高まり、「創造実感」「効率実感」が下がっていた。 また、組織感情を見ると「ぬるま湯感」が高まり、「認め合い感」「効率実感」が下がっている。コロナ禍を経て何か変化の兆しを感じるも、大きな行動変容がなかったことが要因として考えられる。
自分感情 時系列比較マネージャー&係長/一般社員
昨年度と本年度の時系列をマネージャー層と一般職層で区切ってみると、本年度のマネージャー層では「沈滞感」「緊張感」とネガティブな感情が高まり、「創造実感」「効率実感」と仕事の手応え感を示す効力感が大幅に下がっていることが分かった。
さらに、本年度の一般職層では「あきらめ感」が高まり、「創造実感」「効率実感」はマネージャー層同様に下がっている。階層別に見ても、ネガティブな感情が高まり、効力感が下がっている様子がうかがえた。
マネージャー層と一般社員層を比べてみると、23、24年度ともにマネージャー層のほうがポジティブな感情が高く、ネガティブな感情が低いことが分かった。
上司・部下とのコミュニケーション頻度 時系列比較
上司や部下とのコミュニケーションで該当するものを質問した。昨年度と比べると、コミュニケーションの頻度(量)は大きく変わっていない。他方で、「コミュニケーションが取れていない」が約2倍になっているが劇的に増えているとは言えず、コロナ禍を経てもコミュニケーションの頻度は大きくは変わっていないようだ。
上司・部下とのコミュニケーション内容(質) 増加ー減少ギャップ
上下間のコミュニケーションの内容では、一般職層が上司に対して「仕事以外の不安や悩みの相談」をしなくなる傾向が顕著に出ていた。一方、上司は部下といろいろな話をしているという認識が高く、一般職層との認識のギャップが如実に出ている。コロナ禍が終わり、お互いに仕事中心の会話が増えたため、認識のギャップを生んでいる可能性があるという。
同僚とのコミュニケーション頻度 時系列比較
同僚とのコミュニケーションで該当するものを質問したところ、「取れていない」が増加しているがコロナ禍前と大差はなく、同僚間ではある程度コミュニケーションが取れている様子がうかがえる。
同僚とのコミュニケーション内容(質) 増加ー減少ギャップ
同僚とのコミュニケーションの内容は、マネージャー層では仕事上のコミュニケーション以外は減少傾向にあり、将来の話や仕事以外の不安、悩みを相談しづらくなってきている様子がうかがえる。
一般職層で見ると、「社会の未来」についての話し合いと「仕事以外の不安や悩み」を相談しづらくなっている様子がうかがえた。「仕事以外の不安や悩みの相談」については、前述の上下間のみならず、同僚間においても低下している。
コロナ禍による価値観の変化 役職別
コロナ禍での職場、周囲の状況やその後の変化を経験したことで、仕事に対するあなたの考え方や価値観に変化はあったかを質問したところ、「価値観に変化がない」が最多となった。変化で1番多かった項目は「仕事はお金のために割り切る気持ちが強まった」であった。また、マネージャーと一般層で、リモートワークの働き方を求める声についてギャップがあることが分かった。
コロナ禍による価値観の変化 年齢別
次いで、年齢別に見ると60代はコロナ禍でも動じておらず、加えて、多くの人が出社して直接会いたいと思っている様子がうかがえる。30代はお金のための割り切り、リモートワーク中心で効率優先、ライフ中心に対する価値観が強まった傾向があった。さらには、管理職を避ける傾向になったという。30代は他世代に比べて、仕事に対する価値観が大きく変化していることが明らかになった。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査形式:インターネット
- 調査地域:全国
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調査対象者(1~3and条件)
- 従業員数300人以上の民間企業の従業員
- 正社員
- オフィスワーク勤務者
- サンプル数:合計315(内訳:部長相当35名、課長相当68名、係長相当37名、一般社員175名)
- 実査期間:2024年5月16~18日
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