Z世代と他世代の共通点
X世代とZ世代は、デジタルリテラシーの成熟度や社会的優先事項において異なる部分があるものの、共通したリソースの活用力や労働倫理を持っています。CEOはこうした共通点を活用することで、世代を越えた貴重な対話を促進できるでしょう。
その第一歩には、Z世代の働き方やコミュニケーションスタイル、価値観について理解を深め、Z世代の社会文化的な特性を理解することが挙げられます。経営層は、Z世代が何に触発され、どのように会社の目的に結び付くのかを時間をかけて理解していくことが重要です。自己認識が高く、目的意識を持ちインスピレーションを与えられる粘り強いリーダーは、オープンで透明性があり、時には自身の脆さを見せることで信頼を築くことができます。
同時に、Z世代はX世代の経営層から、長期的な戦略的思考や適応力などのスキルを学ぶことができます。X世代は、これまでの経済的・技術的な市場変化を乗り越えてきた経験を通じて、これらのスキルを磨いてきました。一方、X世代も、Z世代から最新の技術や社会的視点についての貴重な洞察を得ることができます。このような異なる視点を尊重しながら、双方にとって有益な知識やスキルを共有することが、企業全体にメリットをもたらします。
異なる世代の従業員が効率的に協力できるインクルーシブな文化を育むことは重要です。リーダーは、意思決定においてさまざまな意見や背景・経験・能力を取り入れ、心理的に安全な場を作り、違いや多様な考えを自然に受け入れる姿勢が求められます。ハイドリック&ストラグルズの2023年のグローバル調査によると、71%のCEOが、企業の業績にプラスの影響を与える要因として「企業文化」を上位に挙げており、2021年の調査結果より26%も増加していることが明らかになっています。経営層がZ世代を理解し、彼ら彼女らの強みを引き出せば、両世代の強みを活かして成長する職場を築くことができるでしょう。
Z世代が組織で活躍するために必要なアクションとその方法
人事担当者は、Z世代の従業員と経営層をつなぐ「仲介役」として重要な役割を担います。Z世代を含めた全世代の従業員が成長できる職場環境を整えることで、企業全体の成長にも貢献できます。そのためにはまず、人事担当者がZ世代の価値観や働き方を理解し、それを経営陣に伝えることが必要です。経営陣はそのフィードバックをもとに全従業員を満足させる職場環境の再構築に取り組むことで、より安定した職場が生まれます。このような環境は、Z世代の従業員が会社に対して明確な目的意識を持ち、長期的に活躍するための基盤となります。
たとえば、Z世代の多くは「社会貢献につながることをしたい」という強い意識を持っているため、企業の「社会的意義」の認知を高めることは、Z世代にとって非常に重要なニーズです。仕事に価値を見出せないと、若手社員は退屈し、興味を失い、最終的には入社3年以内に退職してしまう傾向があります。そのため、人事担当者は経営陣と連携し、Z世代が共感できる企業の価値観を広めるべきです。Z世代の社員に高いモチベーションを与え、責任感を醸成するためには、入社時から会社の目標や目的を明確に伝え、仕事の意義を共有することが重要です。
さらに、Z世代のキャリアパスを設計する際には、多様な職務経験を積める仕組みが必要です。複数の部署やロールを経験することで、Z世代の従業員は組織を多角的に理解し、最終的には管理職への昇進にもつながるキャリアパスを描くことができます。また、周囲からの承認を求める傾向が強いZ世代は、評価基準が不明確だと不満が生じ、将来的な成長の妨げになる可能性もあります。そのため、人事担当者には、評価基準や求めるスキルについて経営陣と共に明確にすることが求められます。
また、Z世代には、キャリアアップを促してくれるリーダーが必要なため、Z世代の価値観を理解した管理職の採用と育成も重要です。社員の満足度とキャリア成長を維持するためには、快適な職場環境を戦略的に整えることも不可欠です。
Z世代にとって魅力的で持続可能な職場環境をつくるためには、Z世代の労働論理、目標、価値観を深く理解することが重要です。人事担当者は、Z世代の従業員と経営陣を結ぶ重要な仲介役であり、安定した職場環境を構築するために不可欠な存在です。世代ごとのトレンドや価値観に応じて職場環境を適応させることは、新入社員のモチベーション維持や企業の成功に向けた優先課題といえるでしょう。