2025年4月より改正育児・介護休業法が施行
2025年4月施行の改正育児・介護休業法は、介護離職防止と仕事・介護の両立支援を強化する内容となっています。主な改正点は次の4点です。
- 1介護休暇の要件緩和
- これまで労使協定で6ヵ月未満の勤続者を対象外にできましたが、改正後はすべての労働者が初日から休暇取得可能となります。
- 2企業の雇用環境整備義務の明確化
- 介護休業制度の利用促進に向け、相談窓口設置や研修実施、制度利用事例の収集・提供のいずれかを義務付け、従業員が安心して制度を活用できる基盤整備を求めるものです。
- 3個別対応の強化
- 介護が必要な状況を申し出た従業員に対し、企業は介護休業制度の詳細(内容・申請方法・給付金等)を個別に周知し、利用意向を確認するプロセスが義務化されます。特に40歳以上の従業員には事前説明が求められるように、早期の情報提供による準備支援が特徴です。
- 4テレワークの推進
- 介護が必要な従業員が在宅勤務を選択しやすくなるよう、企業に努力義務が課されます。
企業側には就業規則の見直しが不可欠で、介護休暇の新基準やテレワーク規定の整備が必要となります。さらに制度周知の徹底や相談体制の構築、柔軟な働き方の導入が急務です。
改正の背景には、2030年に300万人に達すると予測されるビジネスケアラー問題があり、中核人材の離職防止と生産性維持が企業存続の鍵であるという認識があります。この法改正は、超高齢社会における雇用維持と社会保障制度持続性の両立を目指す重要な施策といえます。
そして2025年問題——団塊世代が全員75歳以上に
2025年は、いわゆる「団塊世代」(1947年~1949年生まれ)が全員75歳以上となる年です。これに伴い、日本のさまざまな社会問題が顕在化すると予想されています。これが「2025年問題」と呼ばれるものです。
企業においては、労働力不足、熟練労働者の技術継承などの問題だけでなく、組織の中核を担う従業員の間で親世代の介護を担うビジネスケアラーが増加します。企業は育児だけでなく、介護に対する柔軟な対応も求められるようになります。