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特別寄稿《職場環境》| 従業員の働き方支援

知らないうちに進行する「隠れ介護」——早期発見のためのチェックポイントと対応策

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人事や管理職が取るべき対応策

 従業員の隠れ介護状態を把握した場合、人事部門や管理職は以下のような対応策を講じることが重要です。

 まずは改正育児・介護休業法でも義務として定められている、介護に関する制度、相談先、給付金などに関する周知です。そもそも多くの人は育児・介護休業法やそこで触れられている制度について知りません。そのため、介護をプライベートの問題として不可視化してしまいます。そうならないためには、書面やメールでの一斉通知だけでは不十分で、説明会や個別面談などさまざまな方法で伝えましょう。

 また前述のとおり、対話の促進が必要です。定期的に1on1ミーティングを実施し、従業員の状況を把握します。改正育児・介護休業法の努力義務項目である介護に関する相談窓口の設置も行い、気軽に相談できる環境を整えます。

 柔軟な勤務制度の導入も重要です。フレックスタイム制度を拡充し、テレワークやリモートワーク、短時間勤務制度の導入を検討します。

介護休業制度だけでは解決できない問題と、その問題への対応策

 介護休業制度は仕事と家庭の両立を支援する重要な施策ですが、それだけでは解決できない問題があります。たとえば、介護休業を取ることでキャリアに影響を与える可能性があります。介護休業期間中の収入減少も懸念されますし、介護休業制度を利用することで職場での立場や評価が低下する懸念もあります。

 また制度が整うことで、本人が介護をしなければならない状況に追い込まれるケースもあります。特に日本では、家族主義の規範が強い傾向にあります。つまり、家族の福祉やケアの責任は家族が持つべきであり、家族がケアをすることが幸福なことであるという価値観が根強いのです。そのため、介護に対する理解や啓発を誤ると、制度の利用が「家族としての責任」を背負わせる結果になってしまうことも少なくありません。

 このような問題に対応するためには、以下のような取り組みが求められます。

1. 介護サービスの積極的な活用を促す支援

 企業が従業員に対して、介護休業制度の説明だけでなく、介護サービスを活用する方法についても積極的に情報提供することが重要です。たとえば、介護相談窓口の設置や、専門家によるセミナーの実施を通じて、「家族だけで介護をする必要はない」ことを周知する取り組みが求められます。

2. 介護に関する固定観念からの解放

 「家族が介護をするのが当然」という価値観を見直すため、職場全体での意識改革が必要です。管理職や同僚が介護サービスの利用を肯定的に受け入れ、社内でその事例を共有することで、介護に対する理解を深めることを目指します。たとえば、介護サービスを利用して仕事を継続できた従業員の体験談を、必要であれば匿名化して社内で共有し、ポジティブな事例として発信することで、介護サービスの利用に対する抵抗感を和らげることができます。

 また、介護と仕事の両立を支援するための研修を実施して、従業員に介護事情や介護サービスの必要性を理解してもらうこととも有効です。これにより、介護をしている従業員が罪悪感なくサービスを利用できます。

*     *     *

 本記事では、隠れ介護の現状と問題点、企業や職場に求められる対応策について解説しました。改正育児・介護休業法が施行されて制度利用のハードルは下がるものの、介護者を抱える従業員には、相談しにくい職場環境やキャリアへの不安という課題が依然として残っています。

 そのため企業には、制度の周知徹底や相談体制の整備、柔軟な働き方の導入が求められます。また、介護サービスの活用促進や意識改革を進め、従業員が安心して働き続けられる環境づくりが不可欠です。

 なお、これらの対応は隠れ介護者だけでなく子育てする従業員の支援にも応用できますし、その他大勢の従業員が多様な人・多様な働き方を受容するきっかけにもなります。人事としては、多様な人・多様な働き方を実現する取り組みの一貫と考えて進めていくとよいでしょう。

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この記事の著者

佐藤 雄一郎(サトウ ユウイチロウ)

公益財団法人日本ケアフィット共育機構 経営企画室室長。2014年公益財団法人日本ケアフィット共育機構入構。年間1万人近く受講する"サービス介助士"の講習運営に携わる中で、ダイバーシティ&インクルージョンに関わる企業や障害当事者とのネットワークを広げ、企業の垣根を超えたコラボレーションや事業者と障害当...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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