コーナーは、従業員100名以上の企業の正社員を対象に、「静かな退職と人事の認識ギャップ調査」を実施した。
静かな退職とは、退職離職を考えていないものの、仕事に対して消極的な状態を指す言葉。
「静かな退職」の実態
社員に対して仕事への向き合い方を質問したところ、約4割が「静かな退職」(仕事に対してやや消極的・消極的)に該当することが明らかになった。
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退職を考える不満ポイント
退職を考える理由に近い不満ポイントは、制度そのものや制度運用面の課題が中心であることが分かった。突出しているのは「給与・報酬」や「評価基準」に対する不満。第2群には、業務やコミュニケーションによる現場の課題が選択されている。
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年代別に分析すると、若手層(20代)は「給与」が不満の中心。ミドル層(30〜40代)は「柔軟性の欠如」と「キャリア・スキルアップ不安」が高く、シニア層(50代)は「経営陣の意思決定」など組織運営面への不満が目立つ。
「静かな退職」層の不満ポイント
静かな退職層の不満ポイントは、全体の不満の傾向と同様に「給与・評価」が突出している。第2群では「会社の将来性」「パーパス共感」など、組織全体への信頼性に関する要因の選択率が高くなっている。自分の仕事や組織の未来に対する安心感・共感の醸成がモチベーションに影響する可能性が示唆された。
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ワークスタイル別の「静かな退職」
ワークスタイル別に「静かな退職層」の割合を見ると、リモート系(リモート中心・完全リモート)で半数を超え、心理的コストや特有のコミュニケーション課題の影響が示唆される。一方、ハイブリッド勤務は対面と柔軟性のバランスが取れ、静かな退職割合が最も低い結果になった。
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ワークスタイル別の「静かな退職」層の不満は、それぞれ環境特有の要因が浮き彫りになっている。出社型では、「仕事の意義性」「人間関係不安」「柔軟性」といった現場の不満、リモート中心型では、直接の対人関係よりも「制度や組織全体の信頼低下」や「将来への不安」が多く選択されており、制度や評価基準、会社の方向性の理解を深めるうえで、物理的距離や情報不均衡といったリモート特有の環境が影響している可能性があるという。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査タイトル:静かな対象と人事の認識ギャップ調査
- 調査対象:一般社員・人事担当者
- 調査期間:2025年5月2〜9日
- サンプル数:413名(人事職100件、人事職以外313名)
- 調査実施者:コーナー、マクロミル
- 調査方法:Webアンケート調査
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