人事と上司が連携してキャリア入社者の「やる気スイッチ」を押そう
以上をまとめると、キャリア入社者のオンボーディングにおいて特に効果が高いのは、定期的な人事面談と上司面談です。人事と上司が連携して、キャリア入社者の「やる気スイッチ」を押すことが大事なのです。ぜひ、彼らとよくコミュニケーションを取り、彼らが成果を出したときには積極的に肯定してOKサインを出し、彼らの効力感を高めていってください。
また、本連載の第1回で説明したとおり、人事の皆さんは、組織ぐるみでキャリア入社者を支援する「オンボーディングの仕組み」を社内に提供しましょう。たとえば、キャリア入社者と上司の「定期的な1on1」を推奨するのがよいのではないでしょうか。そうした仕組みが、上司とキャリア入社者のコミュニケーションを支え、周囲の関わりを増やすことにつながるはずです。
本連載の第2回では、本人を取り巻く人々や職場が、オンボーディングにプラスにもマイナスにも働きうることを説明しました。キャリア入社者の場合、その周囲や環境の代表が人事と上司といえるでしょう。人事と上司のアシストが、キャリア入社者を効果的に後押しし、オンボーディングの好循環サイクルが回り出していきます。
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なお、最後に注意点に触れておきます。リクルート「中途入社後活躍調査 第1弾」によれば、「キャリア入社者同士のコミュニティづくり」や「定期的な入社後アンケート調査」からは、離職意向度を高めるリスクがあることが読み取れます。入社者同士の横のつながりや、入社者からの一方的な情報の吸い上げが、キャリア入社者の不安定な心理を刺激して、彼らにネガティブな影響を及ばす可能性があるのです。
繰り返しになりますが、キャリア入社者に関しては、最初は上司や人事との「縦の関係づくり」がポジティブに働きやすく効果が高いことを理解しておくことが重要です。キャリア入社者のオンボーディング支援策は、人事面談と上司面談を特に意識して進めることをお勧めします。