Salesforceは、AIを活用した新機能「Agentforce for HR Service」を発表した。
Agentforce for HR Serviceは、同社が提供する人事チーム向けの「Employee Portal」と、管理画面を備えた人事サービスソリューション「HR Service」に直接組み込まれる新たなAI機能群。
AIエージェントが対応できる業務カテゴリを網羅した「トピック群」と、各業務を実行するための手順やツールである「アクション群」が用意されている。これらはカスタマイズでき、従業員が自ら疑問を解決して手続きを完了できるようになる。
また、Agentforce for HR Serviceを使うことで、従業員は使い慣れたSlackやEmployee Portal上で、人事に関する手続きを会話ベースで行える。これにより、チケット申請や規定文書の検索、複数システムの操作をかんたんに行える。このAIエージェントは、企業のデータ、ナレッジ記事、ポリシーに基づいて動作し、主要な人事情報システム(HRIS)や人材管理システム(HCM)と連携。主に、次の業務に対応するとのことだ。
- パーソナライズされた回答の提供
- 従業員データと企業ポリシーをもとに、個別の状況に応じた回答を提示。たとえば、「ゴールドの法人カードは申請できますか?」といった問いに、その従業員の職務や勤務地、ナレッジベースに登録された法人カードのポリシーと照らし合わせて、従業員の資格を判断する。
- 人事プログラムの進捗管理
- 上司から割り当てられた従業員向けプログラムの進捗を、従業員自身がかんたんに確認できるようになる。これらのプログラムは、各従業員のキャリアの進行状況にあわせて設計され、研修動画や書類提出など、オンボーディングや育児休暇などの節目に応じたプログラムの進捗を可視化し、未完了のタスクを強調表示して期限の遅れを防ぐ。
- HRケースの管理
- 休職申請や給与の不備などに関する問い合わせや申請内容の管理を容易にする。従業員が、「最近の申請状況は?」と聞けば、文脈がなくても該当ケースを特定し、会話形式で進捗を返答する。
- プロフィール情報の更新
- 従業員が自然言語で住所、電話番号、姓の変更などを指示するだけで、HRシステム上の情報を自動で更新し、処理を完了する。
- 休暇申請の管理
- 有給休暇、病気休暇、祝日、育児休暇などの申請・取り消し・残日数を会話形式で確認できる。ナレッジベースに基づく自然言語での質疑応答とポリシー準拠の処理を実現する。
- 給与振込口座の更新
- 別システムにログインすることなく、給与振込口座情報の閲覧・編集ができる。Slack上でAgentforceに口座情報を伝えるだけで、自動的に人事システムに反映し、設定を完了できる。
- 経費精算の提出と追跡
- 社内規定に基づく払い戻しの確認、レポートの進捗確認、経費レポートの作成・提出などを自動化し、事務作業の負担を軽減する。
- 人事担当者へのエスカレーション
- 複雑または個人的な内容は、HR Service Consoleを通じて人事担当者へスムーズに引き継ぐ。たとえば、「身内の不幸」などセンシティブな表現を検知した場合には、人事部へエスカレーションし、担当者がより深い共感と配慮をもって対応できるようになる。
なお、同発表は5月6日に米国で公開された「Salesforce Launches Agentforce for HR Service to Make Employee Support Easy for Everyone」の抄訳。発表の正式言語は英語であり、内容および解釈は英語が優先される。
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