システム選択と導入アプローチ
HRテック情報基盤の刷新にあたっては、前節で見たような点がポイントとなるものと思われます。実際にHRテックを導入するに際しても、考慮・判断するべき点があります。
その1つが、既存システムの拡張で対応するか、新規システムを導入するかです。多くの企業では、人事基幹システムや勤怠管理システムをすでに導入していますが、法改正への対応には、こうした既存システムの機能拡張だけでは不十分なケースがほとんどです。
現行システムの機能を評価する際には、家族情報の管理・更新機能、面談記録・要望管理の機能、多様な勤務形態への対応力、タレントマネジメントとの連携性、データ分析・可視化機能などの点から、総合的に判断する必要があります。たとえば、勤怠管理システムは単純な出退勤管理には適していても、個別の働き方を管理するための柔軟性に欠けていたり、タレントマネジメント機能と連携していなかったりする場合が多いです。
導入効果を高めるためにも、これらの多様なニーズを踏まえてシステムを選定しましょう。
今回の育児・介護休業法改正は総合的なものであるがゆえに、労務管理システムの刷新の機会とする事例をお聞きするようになってきました。こうした「法改正の機会活用」という観点はとても重要だと思います。
なお、2027年には労働基準法改正が予定されています。本連載の後の回でお伝えをする予定ですが、2027年の同法改正は、現状の人的資本経営ではあまり注目されてこなかった働き方や労務管理まで人材戦略に取り込み、組織価値の向上を目指すものといえます。こうした中長期目線でシステム基盤を考えていく姿勢も重要です。
